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これは、探偵社に森鴎外からの手紙が来る半刻前の事である。
「首領、中原です」
「中也くんか。入りなさい」
中原は緊急でポートマフィア首領、森鴎外に呼び出され、異能を使って最速で移動して来たのだが森の声が案外穏やかなものだから拍子抜けしてしまった
「いやぁ、実はね太宰君が今日ポートマフィアに戻ってくるからお迎えの警護を頼みたくて」
「青さ…太宰が!?え、どういう事ですか!弱みでも握りました?!」
「御免御免、一から話そうか」
余りに突拍子の無い話に絵に描いたように戸惑う中也を笑った後、森は話し始めた。
太宰は探偵社へ潜入任務へ行っていただけでポートマフィアを抜けていない事、極秘任務だった故にこの事は太宰と首領しか知らない事、その太宰が今日任務を終えてポートマフィア幹部の座に戻ってくる事。その為に必要な手紙を俺に届けて欲しい事。
そうか、太宰はポートマフィアを裏切った訳じゃない……そうか…
何故人虎や鏡花を探偵社に入れたんだとか、4年間も居ないくなるならなんで俺の告白を受けたんだとか言いたい事は山程出てきた。
出てきたが、それを上回る程の嬉々感と安堵感。
「やってくれるかい?中也君」
「承知」
首領命令だろうと無かろうと、中也は承諾していただろう。それを分かって森は“首領命令だ”とは言わなかった。
それは中也の心情を分かってか、知らずか──