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キャラ崩壊注意
・
談話室。先ほどの騒ぎが少し落ち着き、
全員がそれぞれ飲み物を手にしていた。
——はず、だった。
センリツは紅茶を持ったまま、
少し手元が震えている。
センリツ 「……すみません、
また少しこぼして……」
カップの縁から、
雫が一滴、机に落ちる。
その瞬間。
クラピカの中で、
何かが完全に切れた。
クラピカは、
考えるより先に動いていた。
センリツの前に立ち、
両手で、そっと彼女の頬を包む。
全員 「…………」
ビスケ 「え?」
キルア 「え?」
レオリオ 「え???」
センリツ 「ク、クラピカ……?」
驚いて見上げる彼女の顔が、近い。
近すぎる。
クラピカは、
真っ赤になりながらも、
目を逸らさない。
クラピカ 「……可愛いな」
静かで、
逃げ場のない声。
センリツ 「……!」
心音が、
一気に跳ね上がる。
ビスケ 「ちょっと!?
今ここに何人いると思って——」
クラピカは聞いていない。
親指で、
彼女の頬の端をかすめる。
クラピカ 「不器用で、
すぐ自分を責めて……」
声が、少し低くなる。
クラピカ 「それでも、誰よりも優しい」
そして、
耐えきれなかったように。
彼女を、軽く抱きしめる。
力は弱い。
だが、確実に守る腕。
クラピカは、
彼女の肩に顔を埋めた。
キルア 「……うわぁ」
レオリオ 「見ちゃいけないやつだろこれ」
ビスケ 「理性どこ置いてきたの?」
クラピカは、
センリツの耳元に顔を寄せる。
声は小さい。
だが、はっきりと。
クラピカ 「……本当に、可愛い」
センリツ 「……っ」
センリツは、
完全に固まっている。
クラピカは、
はっとして、
ようやく我に返る。
クラピカ 「……あ」
ゆっくりと、腕を解く。
——やってしまった。
——全員の前で。
彼は、
耳まで真っ赤になり、
視線を逸らす。
クラピカ 「……今のは」
一瞬、言葉に詰まる。
クラピカ 「……撤回はしない」
キルア 「しないんだ」
ビスケ 「しないのね」
レオリオ 「しないのかよ」
センリツは、
胸に手を当て、
小さく息を整える。
センリツ 「……クラピカ」
彼を見る。
センリツ 「心音が、
とても正直よ」
クラピカ 「……分かっている」
沈黙。
ビスケは満足そうに頷いた。
ビスケ 「はいはい、
もう“夫婦未満”とか言わせないわね」
キルア 「記念日だな」
レオリオ 「歴史的瞬間だ」
クラピカは、
まだ赤いまま、
小さく言う。
クラピカ 「……二度と、
同じことはしない」
間。
クラピカ 「……多分」
全員 「多分!?」
センリツは、
困ったように、
でも少し嬉しそうに微笑った。
——自己否定の音は、
——もう、聞こえなかった。
・
終わり。