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「あとちょっとだけ休んでから戻る。」と若井に告げて下着だけ履き、ベッドの背もたれの端っこにクッションを置いて座った
足を伸ばして、さっき若井がかけてくれたブランケットをかけ、
「若井…こっち…」と言って、自分の太腿をポンポンっとすると、始終をみていた若井が仰向けに頭を預けてくれる
少しの間、頭をなでたり、手を持ってきて自分の頬にすりっとしたり、お互いの人差し指同士を合わせたりして若井で遊んでいたら、
ふと、さっき若井について考えていた時に、感じた思いが再燃した
「……ね、若井はさ、なんでそんなにエッチが上手なの?」
あんまり考えず、ストレートに聞く俺
冷静な頭で考えれば、タブーのような質問で、それを聞いても大抵はロクな事にならないとわかる
でも、若井の愛情を感じた直後で浮かれてたのか、約3年間、ずっと潜在意識として思っていたことへの好奇心がそうさせたのか、とにかく俺は軽率だった
「…んー?」
俺に聞き返すような、若井のんー?…
「………」
なんで??というように若井の目をじっと見つめる
「うーん…」
今度は、時間稼ぎのような、回答を濁すようなうーんだった
「……いや、うーん、じゃなくて」
俺の言葉に、相変わらずちょっと考えた様子で、了解の「…うん」としか答えない若井
「俺ってそんなにエッチ上手い?」 「元貴いつも気持ちい//??」と照れたように微笑んで、とぼけたようにふざけて聞いてくる若井にだんだんと腹が立ってきて、 俺の頭が考えだす
……前の彼女と、いっぱいエッチしたから?
周知の事実、若井には以前、長くお付き合いをしていた彼女がいて、 きっと若井の事だから、その人の事もちゃんと大切に扱って、経験を詰んだんだろうとは容易に想像がついた
でも、考えてみれば、男同士のそれなんて初めてのはずなのに、若井は最初から俺のペースに合わせてちゃんとリードしてくれて、気持ち良くしてくれた
若井がもともと男性を恋愛対象としてみれるのかは知らないけど、俺の知る限りではその元恋人と別れて以来の恋人の存在は知らなかった
…天性の才能?
……それとも、俺が知らないだけで、若井は男性を含むたくさんの人と経験してきたのかも…
事実、若井は、かなりモテた
ありがたい事に、確かに俺も世間にキャーキャーと言って貰える事が多いし、そういう自分でありたいと努力もしたし、今もしてる
だけど、俺や周りに言わせれば、本当に実際モテるのは確実に若井だった
元々、スタイルがいい上に、休止期間中に肉体改造に取り組んで、シュッとしてるけど男らしかった
色気ただよう雰囲気をみせたかと思えば、少年心をわすれない無邪気さをみせたり、 性格は素直で、おだやかで、前に出過ぎない
そんなのモテない訳はなかった
だから、実際問題、若井次第ではいくらでもそんな経験は出来る……
……若井とこうやって甘い時間を過ごした人がいっぱいいる…
考えてる内に、どんどん思考がエスカレートした
もやもやする。
「…誰か他にそういう相手でもいんの?」
ほぼ無意識に口から言葉がでた
う、わ……最悪。
何を口走ってんの、俺…
しかも、現在進行形…
若井にあまりにも失礼すぎるだろ…と思い、 目を合わせられず、視線を逸らす
だけど、自分が悪いと思っているから、若井の反応が気になって、すぐにちらっと若井をみた
若井は少しむっとしたような、困ったような、傷ついたような表情をしていた
あ…、_____。
本当俺、最悪。
胸が軋む音がする
「……っ、…」
すぐに謝れと、頭の中の俺が言ってきて、口を開くけど、俺の命令に反して、口は何もしゃべらない
「…違う」
「…じゃあ、なに」
……もう黙って、自分。
どうせ無理矢理理由を聞いたところで、納得しないか、傷つくだけなのに、何を求めてんの…?
謝る事は出来ないのに、若井を責める言葉だけは口からでて、自分が嫌になる
「……」
この頃には、自分が自らパンドラの箱を開けただけという事に気づいていた
わかっていても、無性にイライラする
「違うよ…。元貴のことが、好きだからだよ。」
若井の優しい声が、シン…とした部屋に響いた
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