「ただいまー」
「おう、おかえり」
帰って来て、ふと兄さんに 目線をやれば、
なんと 猫を抱っこしていた。
見慣れない光景に僕はびっくりして、
咄嗟に指を指した。
「えっ、何この猫ちゃん!!!飼ったの?」
「いや違う。隣の家の人がしばらく 出かけるからそれまで面倒見て欲しいって。 あと人に指さすな」
「へー!そうなんだ。とっても可愛いね。
僕にも触らせて!!」
「ああ、いいぞ」
そう言うと、僕は兄さんに
抱っこされている猫を 触ろうとした。
「シ”ャ”ー!!!!!」
「いたっ!!!」
猫を触ろうとした瞬間、何故か 警戒され、
爪を立てて僕の腕を猫が 引っ掻いた。
「みゃぁ~♡♡」
猫は引っ掻いた後、僕を睨みつけ、
兄さんに甘えた。
何故か僕、猫にすごく嫌われている気が
する。
「……ぷぷ、無一郎お前嫌われてやんの」
「…………何この子、全然可愛くない!
なんで兄さんは良くて僕はダメなの!?
同じ顔なのに!」
「無一郎のオーラが怖いんだろ。」
「はぁ!?なにそれ!」
「にゃあぁ~っ♡」
「は~……。猫かわいい」
兄さんは少し猫に微笑んだ後、猫吸いを
し始めた。流石に少し嫉妬する。
僕の兄さんなんだけど!?
しかも兄さんが猫に向かって微笑むなんて。
許せない……。
「……猫ずるい!!僕だって兄さんに
甘えたい!」
「はぁ?お前はいつも俺に甘えてるだろ。 」
「そうだけど……!!」
「にゃあ……」
「……ん?どうしたんだ?……って、
はは、くすぐったいからやめろよ」
僕と兄さんが話している途中、
なんと猫は空気を壊すかのような
タイミングで入ってきて、
猫は兄さんの顔を舐め始めた。
「にゃ~♡♡♡」
「はは、ほんとに可愛いな。よしよし」
「………………」
僕はただこの光景をじっと見つめること
しか出来ない。
はぁ、本当に嫉妬する。 猫の癖に……!!
それに確実で猫は兄さんに恋してる。
そうに違いない。 言っとくけど僕は
兄さんの恋人なんだぞ!!
僕の方が上だし!!!
「みゃあっ♡みゃあっ♡」
「はいはい。よしよし」
……なんなの。ほんとに。
猫は一生兄さんの顔舐めてるし。
しかも兄さんはそれ受け入れてるし。
僕がやったらやめろって言うのに!
もうダメ、これ以上見ていられない。
「…………僕部屋戻るから」
「……え、ちょっ、無一郎!」
兄さんに声を掛けられた気がするが、
僕は 気にせず自分の部屋に戻った。
*
「はぁ………………」
さっきからずっとため息が止まらない。
悪いのは猫ばっかり構っている兄さんが
悪いんだ。少しくらい僕にだって
構ってくれてもいいじゃないか。
コンコン
突然ドアを叩く音が聞こえた
「──────おい、無一郎」
兄さんの声だ。でも 僕は拗ねたからね。
「…………こないで」
「………………開けるぞ」
この人日本語通じないのかな。
来ないでって言ったのに……、
ほんとそういう所だよ。兄さん
「……………………なに。何しに来たの」
僕は冷たい目で兄さんを見つめる。
兄さんは少し困っている表情をしていた
「……なあ、何もそんなに怒らなくても」
「怒ってないけど。」
「いや怒ってるじゃないか……」
「もう兄さんなんかだいきらい、
僕だって兄さんに甘えたかったのに、
かまってほしかったのに。もうやだ
きらい、だいきらい、もう知らない。」
「…………ごめんって、な?」
「………………グスッ、」
兄さんは僕にそっと口付けをしてきた。
しかも、今日は自分が悪いと思ったのか
いつもより長めのディープキス。
「……んっ、ンっ、ふぁ……やっ……
はふっ……」
数十分後、僕の息がすごく荒くなった
のを聞いて、やっと兄さんは口を
離してくれた。
「……はーっ、ぅ……はぁっ……
ちょっ、ちょっと……!!
なに、するの……!」
流石に数十分もされたので、
僕は 息がはふはふと熱くなった。
しかも苦しかったので、僕は少し涙目に
なってしまい、なんだか少し
恥ずかしくなった。
だからといって許した訳では無い。
「……無一郎、かわいい」
「……っ、それで誤魔化したつもり?」
「ホントの事だ。怒っててもその顔だから
なんにも怖くないしな」
「……うるさい」
「…………俺はお前が1番だから。
猫よりお前の方が可愛いよ」
「じゃあかまってよ……、ぼく嫉妬深いって
付き合う前に言ったでしょ」
「……ああ、ちょっとイタズラしただけなんだが、 まさかお前こんなに嫉妬深いとは
思わなくてな……、悪かった」
「……もう、兄さんのバカ」
「なんとでも言え」
「………………嘘すき」
「俺も好き」
「さっきは嫌いなんて言ってごめんね
ぼく嘘ついたの」
「知ってる」
「猫に構うのはいいけど、
猫より倍、僕のこと愛してね。首絞めても
殺してもいいから。僕それくらい
兄さんのこと愛してるから」
「怖いこと言うなよ…………」
「ふふ、ごめん。ねぇ、今日の夜やりたい」
「………………抱き潰してやるよ」
「えへへ、もっとしていいよ。兄さんなら」
おまけ
リビングに戻ったあと、猫はお昼寝
していた。僕はその猫にイライラ
していたから、猫に向けて言葉を
言い放った。
「僕、兄さんと夜えっちするから。
可哀想だね君は。やっぱり僕が1番
なんだってさ。やっぱり所詮猫だね」
「おい無一郎!!猫相手に煽るのはやめろ」
「あれっ、聞こえてたの?」
「当たり前だろ…………」
「だっていらついたんだもん」
「言葉が分からない猫に罪はないぞ」
「……ぅ~、ごめんなさい」
おわり
コメント
3件
にゃんこに嫉妬するむいくんかわいい…🫶
猫に嫉妬する無一郎かわいいなw
猫に悪意を感じる······ いいぞ有一郎!!抱き潰しちゃえ!!