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羅刹学園に戻り、数日がたった。
海はノートを広げ、黒板に書いてある説明を写し、そこにメモしてした。
「卒業したら偵察、援護、戦闘のどれかの部隊に入ることになってて…」
只今座学の真っ最中。無陀野の代わりに守が今回の授業で教鞭を取っており、 黒板に図を書きながら不気味なほどにこにこ笑っている。
何故そんなに笑っているのか。
「桃華、やっちゃって」
それは、矢颪碇と一ノ瀬四季という名の居眠りをする奴とうるさい奴がいたからだった。
「はーい!」
桃華は元気よく返事をするとホイッスルを手に取り、息を大きく吸う。
途端、けたたましい音が響き、矢颪と、巻き添えに四季の鼓膜を突き刺した。
とどめとでも言うようにチョークを二人の眉間に的中させ、守はにこりと笑った。
「まさか、ない兄…ムダ先の授業でも寝てたり、五月蝿くしてる訳じゃないよね?」
遠い目をして明後日の方向を見る二人に拳骨をし、悶え苦しむ姿を見下ろす。
手術岾と屏風ヶ浦が「ひえっ」と声をあげた。
「じゃあ、今回はここまでにしよっか。担任から言われているだろうけどLHRは寮の部屋決めだから、お願いね」
そう言うや否や無陀野が教室に入ってきた。
「守に聞いただろうから説明は省く」
「言ってなかったの!?」
「お前のことだから言うだろうと思ってな」
「ない兄!…まあいいや。あ、女子は三人部屋ね」
担任と副担任の愉快な言い合いを見ながら海が息を吐くと、隣にいた屏風ヶ浦が声をかけた。
「ど、どうしましたか?神示さん…あ、私が聞いても嫌ですよね…すみません…」
海は少し慌てて「い、いや…」と少し吃りながら言った。
「多分、誰かが先生と同室になってしまうだろうと思ってな…。御愁傷様」
静かに合掌すると、「あの…」と遊摺部が起立して手を挙げた。「男子が一人余るが、どうするのか」ということだった。
(あ、やっぱりか…)
遊摺部の顔は真っ青で、どうしてか海には容易に想像できる。
無陀野は冷酷に返した。
「男子は俺か守と同室だ」
その言葉にざわりと男子がざわめいた。
その心の声は皆同じ。
「「「ムダ先と同室は監獄行きと同等…!」」」
かと言って守と一緒というのも桃華という名の幼女と同室ということなので優しい地獄だ。守達なら気を使ってくれるだろうが、気まずい。というか仮にも異性だ。
視線だけで語り合っていると、四季が拳を掲げた。
「グッチョッパーで決めようぜ」
そして組分けされ、先生のどちらかと同室になることが確定してしまったのは。
「はうぁぁぁ…」
可哀想に。遊摺部従児であった。
桃華は背中を撫でながら慰め、問う。
「ぼく、たのしみですよ?かぞくじゃない人といっしょにくらすの」
はにかむように笑いながらそう言う桃華を抱きしめ、遊摺部は言った。
「守先生と同室でお願いします」
きらきらと澄んだ瞳で言う遊摺部に多少顔を引きつらせながら守は「じゃあよろしくね」と笑った。
こんにちは、作者です。もう少しで第1クール分が終わりそうで安心してます。
原作と違うところがあったとしても、大目に見てくださると嬉しいです。
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