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「何でだ、、どうして、こんな、」
彼が不貞をして別れてもう何か月が経つのだろうか、
勿論の事ながらも私は彼を愛していたし、心苦しく辛かった。
養うために無理をして仕事をこなした日々も、歓んでもらう為に仕事の合間を縫って選んだプレゼントも、全部、全部彼からしたらどうでもいいものなのだから
それを忘れるように仕事に熱中したが
あの笑顔が、あの白銀が、あのぬくもりが
今でも脳裏にこびりついて離れることなんて永久に無いのだから。
「はぁ……………………………」
私のどこが駄目だったんだ………?
誕生日や交際記念日には贈り物も贈り合っていたし、夜の方もある程度していた
でも、その笑顔は、幸せは、全ては嘘っぱちだったのか、?
数十日徹夜して疲労の限界に達した今。自分が馬鹿らしく思えてきて上半身だけを起こし隣へと手を伸ばす
「はは、こうなるくらいなら、」
殻になった瓶の中から睡眠薬の瓶を掴み、蓋を開ける
…………………………………………どれだけ愛しても意味なんてないのか、
なら、いっそのこと死んでしまおう
最期くらい、謝りに行ってもいいよな
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sideシグマ
「おはよ!!!!!」
朝から騒がしいなと思うが、それすらも愛おしい。
「お早う。ニコラーシャ」
今日はニコラーシャのオフの日らしい
仕事帰りにケーキでも買ってきてやるか。
私たちは、所謂βとΩだ。
しかしながら番になれなくてもそれでもいい。私たちは愛し合っているのだから
そう、思っていた
「愛してる」
「僕もだよ」
マーキングする様に彼の項を齧り付く
所詮番という関係には到底敵わないままごと遊びでも、嬉しかった。
ずっとずっと片思いしてたのが叶ったのだから
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sideゴーゴリ
「平和だなぁ」
今日は一日中フラフラと街を散歩していただけだった。
小洒落た街は何もせずとも見応えがあったから無理に買い物したりして楽しむ必要がないし気ままに散歩できる
人波を潜り抜けてきた先に不自然に人気のない道があった
不思議に思い知的好奇心が擽られた私はその道に近づいてみた、それが[[rb:失敗 > 莫迦]]だったのか
その瞬間道の真隣にあった路地裏の方に腕を掴まれ引き摺り込まれてしまった。
「何!?厭ッッ」
私を引き寄せた男は動けないように両手を抑える
片手で私のベルトへと手を掛けた
今から引き起こされるであろう惨劇を予想してしまって背筋が凍り絶望する
______僕にはシグマ君が居るのに、
「嫌だ!助けて!!!」
必死にもがくが、びくともしない
遂にはジーンズの中に手を入れられ下着越しに後孔を撫でられる
当然快楽なんて感じる訳等無く、今すぐにも嘔吐してしまいそうな程の強烈な不快感に襲われる
「たす…けて…」
その懇願虚しく、遂には下着越しではなく直接後孔に指を入れられてしまう
シグマ君とすら未だなのに、こんな奴に初めてを奪われるのだろうか
そう思うと悔しくて悔しくて仕方が無くて
欠けそうな程歯を食いしばりながらぽろぽろと一滴一滴大粒の涙を零す。
もぞもぞと臓器の中を掻き回されるのは不愉快でしかなく、指を増やされる度より一層と歯が食いしばられる
しかし、Ωとしての欲求に身体は抗う事は出来ないのか体液を出し続けている自分の身体が気持ち悪い
「ひ”ッ”ッ”、あ”、」
モノを挿入され余りにも酷い痛みに声が漏れる
早く、早く終われ、そう頭の中で何十回何百回叫び来ない助けを求める
「い”、や”っ”、や”だ”ぁ”、」
もしかしたらシグマ君が助けてくれるかも。そんな何とも淡い愚かな希望をずっと抱いて耐えた
でもそんな希望なんてなかったんだ。
男はただ貪欲に快楽を求め腰を振り続ける、まるで理性なんてない獣のように
どれだけ僕が屈辱的に思おうが、恋人がいようが奴には関係ない
紅く手跡が残る腕、赤く腫れ上がった醜い目、どろりと垂れる白濁。腰が抜けてただ、俯いて座り込むしか出来ない現状
意地汚くαを求め続ける躰が、気持ち悪くて気持ち悪くて消えてしまいたい
嗚呼、絶望とはこういう事を指すんだな。と静観する
辺りはもうすっかり闇に呑まれ更に追い詰めるように雨が降って
全身の傷跡に雨粒が浸み込んで激痛が走る
__________いっそのこと此の儘自害してしまおうか
そんな、時だった。
「ニコラーシャ?こんな所で何して………………………………………」
もう遅いよ。
「シグマ君?はは、なんでもないよ?」
おぼつきながらもへらりと微笑んで返す。嗤ってよ、本当に何にも無かったんだからさ
そっちこそ何でここにいるんだよ……………………こんな所、見られたく無かったのに
「嘘つけ、何年一緒に居ると思っている」
「……………………じゃあ抱いてよ。今直ぐ」
思ってもいない言葉が口から出てしまった
けれど早く上書きされたいのが本音だった。君にさえ怯えて逃げ出してしまう前にどうか、どうかすべてを忘れられるように
もう何が何だか解らない。それくらいに僕の感情はぐちゃぐちゃで醜かった
「悪いが、せめて家に帰ってからにしてくれないか?」
「……………」
シグマ君は会話を諦めた様で僕の方を担いで無理矢理連れていく事にしたようだ
もう、全部どうでもいいよ、
十分位経ち、辺りがより薄暗く染まった頃。家に着いて寝室に寝かされる
「疲れただろう?休んでくれ」
「いかないで、」
僕は部屋から立ち去ろうとする彼の服の裾を掴み引き留めた
困惑を顔に出さず、彼はベットサイドに腰掛けた
「抱いて」
「別にいいが、お前は大丈夫なのか?」
「大丈夫、」
その一言を聞いてシグマ君は僕を押し倒す
「ッッ!!??辞めて!!」
シグマ君があいつみたいに見えて突き飛ばしてしまう
違うのに、そんな訳無いのに、
「ぐすっ、いやぁ、こわいよ」
「、、、、、、、、、、、ごめんな、」
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ニコラーシャを慰め
服を洗濯しようとした時、紙切れのような物が落ちてきた
「なんだこれ?紙切れ?」
くしゃくしゃの紙を広げると
彼女さん複数の男に股開いてるよw?君たちが付き合う前からね
「は……?」
私はニコラーシャに騙されていたのか?ずっと?
全部嘘だったのか、?
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「ゴーゴリ、」
「どうし「お前はずっと騙してたのか?私を」
「え?」
「もう、別れてくれ、辛いんだ、」
「聞いて!僕は「五月蠅い!もう、声も聞きたくないんだ」
「………………………………分ったよ。
ごめんね、」
「ッ、」
バタンという大きな音がした為、きっと家を出ていったのだろう。
こんなつもりじゃ、なかったのに、
取り敢えず彼の私物を纏めて郵送しようと彼の書斎に入る
「君は、ほんと莫迦だね、」
数年前彼にあげたコスモス。今はもうすっかり枯れてしまっているかと思ったが、保存されていてドライフラワーのようになっていた。
他にも二人で撮った写真、交際記念日に上げた指輪の箱。優しい思い出がたくさんあった
「なんで、こうなったのかなぁ」
もう戻らないんだ、諦めなきゃ
でも、だけど、項に遺る噛み跡がズキズキと痛み、甘い夢から醒める
そっか、僕あいつに無理矢理番にされたんだ、
………………………………………………………僕らの愛情の形さえも偽物だって言いたいのかよ、
腰が砕けてふにゃりと床に座り込む
「ちゃんといい子にするから、言うこと聞くから、」
もうこれ以上僕らの夢を思い出を、全てを、無惨に壊さないで、
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埃被った部屋々の中、妙に綺麗に掃除されている。経営学の資料や思い出が詰まった誰かの書斎部屋
何時も其処にいる
木洩れ日が差す窓辺でぼんやりとお腹を擦っていた
神に愛されるほどの整った横顔は希望を夢を失い壊れた様でまるで生気の無い人形の様で物悲しい雰囲気を漂わせている。
妊娠したのか、膨れてきた腹を見て
「赤ちゃん、僕たちの子供」
腹を撫でた。愛おしそうに、壊れたように
「これで二人一緒になれるね」
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「は、?」
目の前に見える彼と同棲していた筈の家は燃え盛る炎に呑まれていた。
もう既に手遅れだと云われるほど炎の勢いは凄まじく茫然と立ち尽くす
こんな事している暇は無いのに、強張った身体は動いてくれない
眩しい程の閃光の中一つの人影を見付けて、軋む身体に鞭打って火の中に飛び込んだ。
私は其処に一筋の希望を見出した。
もしかしたら、まだ生きて、、、、!
しかし、その希望はまるで泡の様に淡く消え失せた。
「ニコラ!!!………シャ………………………?」
人影は無慈悲にも燃え尽きたのか、崩れ去る。
この地獄の業火の中で人間が生きて行ける筈等、無いのに
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”、ぁ、!!‼」
何が起こったのか分からなかった。
嗚呼、そうか。今叫んでいたのは他の誰でもない私なのか。
此処にいたら火事に私までも巻き込まれてしまうだろう
でも生憎今の私は只々泣き崩れることしか出来なかった