テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(☆▽☆)
242
#意味怖
KOKO💖💫🦊
90
110
『隣の部屋』
大学生のAさんは、家賃の安い古いアパートに引っ越した。
部屋は203号室。
築30年ほどで、壁は薄い。
引っ越した初日の夜、ベッドに入ると、
**コツ……コツ……**
と壁を叩く音が聞こえた。
「隣の人かな」
そう思って気にせず眠った。
翌朝、大学へ行く前に隣の202号室の前を通った。
表札には何も書いていない。
健太が何気なくドアを見ると、
**ドアノブにチェーンがかかっていた。**
「留守なのかな」
そのまま大学へ向かった。
その夜。
午前1時。
また壁を叩く音がした。
**コツ……コツ……**
健太は少しイライラして、壁を2回叩き返した。
**コン、コン。**
すると――
**コン、コン。**
向こうから返ってきた。
「……なんだよ」
健太が笑うと、壁の向こうから女の声がした。
「ごめんなさい」
健太は固まった。
「……はい?」
「うるさかったですよね」
「いや、大丈夫です」
「ありがとうございます」
それだけ言って、声は消えた。
次の日。
健太は管理会社に会った。
「隣の202号室って、どんな人が住んでるんですか?」
管理会社の人は不思議そうな顔をした。
「202号室?」
「はい」
「ああ……そこ、空室ですよ」
「え?」
「もう半年くらい誰も住んでません」
健太は笑った。
「いや、昨日、女性と話しましたよ」
管理会社の人は少し黙ってから、
「……そうですか」
とだけ言った。
その日の夜。
健太は少し怖かったが、壁に向かって声をかけた。
「昨日の人、いますか?」
返事はない。
「……寝てます?」
やはり何も聞こえない。
健太が諦めてベッドに戻ろうとしたとき、
壁の向こうから小さな声。
「……いるよ」
健太は息を呑んだ。
「何してるんですか?」
「あなたを見てる」
「……え?」
「ずっと」
健太は壁から離れた。
すると女が言った。
「ねえ」
「はい……」
「**あなたの部屋、昨日と違うね**」
健太は部屋を見回した。
何も変わっていない。
机。
ベッド。
テレビ。
クローゼット。
「どこが違うんですか?」
女は答えた。
「昨日は――」
少し間があった。
「**あなたのベッド、壁のすぐ横だったでしょ?**」
健太の心臓が止まりそうになった。
確かにそうだった。
昨日、ベッドを壁際に置いた。
でも今日の昼、邪魔だったので少し動かしている。
「……それが?」
女が小さく笑った。
「ううん」
「ただ……」
「**昨日は、あなたが寝てる間、ずっと私の部屋の壁に頭をつけて寝てたから。**」
健太は動けなくなった。
「……どういう意味ですか?」
女は答えない。
しばらくして、
**コツ……コツ……**
と壁を叩いた。
今度は4回。
そして女が言った。
「ねえ」
「はい……」
「今日も壁の近くで寝てくれる?」
「どうして?」
返事はなかった。
その代わり――
健太のスマホが鳴った。
知らない番号から写真が一枚送られてきた。
写真には、
**健太がベッドで寝ている姿**が写っていた。
撮影した場所は、
どう見ても――
**隣の202号室。**
そして写真の端に、女の顔が少しだけ写っていた。
女は笑っていた。
その写真の下に、メッセージが届いた。
**『今日はちゃんと、こっちを向いて寝てね』**
健太は震える手で202号室を見た。
すると――
今まで一度も開いたことのなかった隣の部屋のドアが、
**ゆっくり開いていた。**
暗い部屋の中から、
**コツ……コツ……**
と、壁を叩く音がする。
そして女の声。
「……早く来て」
健太が逃げようと玄関へ向かった、その瞬間。
背後から、
「でも……」
女が笑った。
「**もう、あなたの部屋は私の隣じゃないよ?**」
健太が振り返る。
壁を見る。
そこには、昨日までなかった――
**「202」**
という数字が、内側から刻まれていた。
コメント
1件
うわ、これやばいやつだ…!! 最初は「隣の人の生活音かな」くらいの軽さだったのに、空室ってわかってから一気に空気変わったよね。 「今日はちゃんと、こっち向いて寝てね」ってスマホに写真付きで届くの、マジで鳥肌立ったわ。 202号室のドアが開いて「早く来て」…しかも自分の壁に「202」って刻まれてるの、もう逃げ場ないじゃん。 続きめっちゃ気になる…!!