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月の信託

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月の信託

22 - 第22話会場から大きな拍手が巻き起こった。

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2022年10月08日

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会場から大きな拍手が巻き起こった。

しかしそれも当然であろう。今この場には〈D.D.D〉のみならず、リーネ村での騒動解決に関わったギルドの多くが来ているのだ。アキバの街に住む多くのプレイヤーが注目していると言ってもよい。

その事実に気付いていないのか、あるいはあえて無視しているのか……おそらく後者だろうとシロエは思うのだが、ミチタカは堂々と胸を張っていた。

「さて、諸君。私は今からゲームを始めるわけだが、ルール説明の前にひとつだけ聞いておきたいことがある。このゲームには、プレイヤーにとって必要なものが用意されているだろうか?」

「……」

「質問を変えよう。このゲームのプレイに必要なものは何かね?」

「……」

「ふむ。では質問の仕方を変えてみよう。このゲームのクリアに必要なものは何かね?」

「……」

「よろしい。それでは質問を変えるぞ。このゲームをクリアするのに、プレイヤーは何をすれば良いと思うかね?」

「……」

「やはり、質問の方法を変えた方が良さそうだな。では質問のやり方を変えることにしよう。このゲームのクリアに最も必要のない要素は何だと思うかね?」

「……」

「なるほど。どうやら諸君は答えられないようだな。しかし安心するがいい。その気持ちはよく分かる。なぜなら私も同じことを考えていたからだ」

「……」

「そこで、私が考えた方法を試してみることにする。これは私自身の人生を賭けた実験でもあるのだ。どうか諸君の忌憚ない意見を聞き入れさせて欲しい」

「……」

「そうか! つまり、それが正解なのだな!」

「……」

「分かった。ありがとう。これで私の悩みも解決するだろう」

「……」

「それでは、ゲームを始めさせて貰うよ」

―――――――

『The Game』より引用 【プロローグ】

あるところに一人の青年がいた。

青年はある日突然、夢を見た。それは遠い未来のことなのか、あるいは近い将来の出来事なのか……。

そこは見知らぬ土地だった。

辺り一面に広がる草原。どこまでも続く地平線。青々と茂った木々の向こうには山々が見える。

空に浮かぶ太陽がじりじりと肌を焼く感覚があり、それが今は夏なのだということを教えてくれた。

青年は裸足のまま、その大地を踏み締めた。

一歩、また一歩と歩くたびに足元から伝わる感触が心地よい。土くれの柔らかさとひんやりとした石の硬さがある。

振り返るとそこには小さな村があった。石造りの家が立ち並び、煙突から煙が出ている。その家々の前にはたくさんの人が列をなしていた。みんな、手に持っている紙を見て何かを確認しているようだ。

僕はその人たちの間をすり抜けて村の広場に出た。広場には大きな噴水があり、水が噴き出していた。この村は綺麗な円形をしており、真ん中に大きな時計台がある。僕は時計台のほうに向かって歩いていった。


そういうわけで適当に見繕うことにした。欲しいものが見つかったところでレジへと向かった。そこで代金を支払うために財布を取り出したところ中身がほとんど減っていることが分かった。さっきまであんなに入っていたはずなのに……

不思議に思いながらも店員さんに手渡したところ、「お客さまこれでは足りませんよ?」と言われてしまった。なんのことかわからなかった俺は思わず聞き返してしまったのだが、そのせいで逆に怪しまれてしまい警察に通報されてしまった。

警察に連行された俺には取り調べが行われた。しかし何を聞かれても知らないものは答えようがないのだ。そうして黙秘を続けた結果釈放されたのだが、帰り際に警官の一人がこんなことを言ってきた。

「君ねぇお金を使いすぎだよ!一体いくら使ったらこうなるのかね!」

まったく身に覚えのない話だった。むしろ今日一日何も買わずにいたくらいなのだから。だが実際に財布の中には小銭しか入っていなかった。しかもそれは一円玉ばかりで百枚近くあった。それを聞いて警官たちも困惑していたようだ。

それからというもの俺の周りでは不思議なことが起こるようになった。まず初めに自分の部屋にあるものが突然消えてなくなった。次に街角ですれ違う人がみんな俺のことを振り返った。しまいには電車に乗っていても隣に座っていた女性が俺の方を見て顔を赤らめていた。

どう考えてもおかしいと思ったので病院に行ってみたが特に異常はないと言われた。

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