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目 を 覚ます と 、 真っ白 な 天井 が 目 に 映った 。
まるで 気 を 失う 前 に 見た トラック の 光 みたい だ 。
… そう だった 。
全て が 蘇って くる 。
「 … 赫 … 」
軋む 身体 を 起こして 辺り を 見回す 。
… やっぱり どこ にも 居ない 。
赫 は … 俺 を 庇って 、 先 に 逝って しまった から 。
「 置いて いかない で って … 言った の に … っ … 」
俺 の 目元 が 涙 で 濡れる 。
掛け布団 に ぽた ゞ と 染み が できる 。
どう して 、 1人 に した の 。
何で 、 俺 だけ な の 。
神様 なんか … クソ 喰らえ 。
赫 は 俺 の 生き甲斐 な の に …
「 … ! 桜庭 さん 」
看護師 さん が 、 病室 に 入って きた 。
「 … 色々 検査 したい こと が ある の です が 、 その 前 に 。 」
そう 言って 、 机 の 上 に 視線 を 向ける 。
「 … 桜庭 さん に 、 贈り物 です 。 」
俺 の 視線 は 机 に 引き 寄せられる 。
俺 は すぐさま 机 に 手 を 伸ばして いた 。
俺 の 手 に 触れた の は …
『 桃 の 観察 日記 』
赫 の 字 で 、 表紙 に 書いて ある 。
… 赫 から の ?
そんな の 、 有り得る はず ない の に 。
でも 気づく と 俺 は 震える 手 で 、 ゆっくり と ページ を 捲って いた 。
『 〇 月 △ 日 』
『 桃 が 手 を 繋いで きた 。可愛い 。 まじ 可愛い 。 』
『 〇 月 ✕ 日 』
『 映画 を 見た 桃 が ぼろ ゞ 泣いて いた 。 可愛かった 。 また 見 に 行こう な 。 』
… 赫 の 字 だ 。 1文字 ずつ に 、 赫 の 想い が 籠って いる 。
いつも 、 こんな 調子 で 喋ってた っけ 。
俺 の こと … すっごく 大事 に して くれた の を 心 も 身体 も 覚えて いる 。
「 あれ … 」
毎回 、 日記 の 1番 下 に 『 また 明日 』 って 書いて ある 。
… 最後 の ページ を ゆっくり 捲る 。
白紙 な の は 分かって いる 。
でも 、 確かめない と 。
そこ には 、 滲んだ 字 で 、 一言 。
『 また あした 』
日付 は … 事故 の 日 と 重なって いた 。
「 あ 、 ぁ … 」
涙 が 零れ 落ちる 。
看護師 さん は いつ の 間 に か 、 察して 席 を 外して くれた よう だ 。
部屋 には 、 俺 の 泣き声 だけ が 響き 渡る 。
もう 隣 で 慰めて くれる 人 は 居ない 。
「 赫 … っ … 」
ふと 、 机 の 上 に まだ 何か ある こと に 気 が ついた 。
それ は 、 あの 時 の 風船 の 紐 だった 。
… これ が 、 赫 の 『 明日 』。
赫 が 俺 の ため に … 守って 残して くれた もの 。
「 … ありがとう … 赫 … 」
静かな 病室 には いつ まで も 、 俺 の 嗚咽 が 溶けて いった 。