次の朝がやってきた……
正直、昨日、あれからのことはあまりよく覚えていない。
本当なら楽しかったことを日記に書いたはずなのに、ノートすら目に入らず、私は、お風呂でも、ベッドでも、ずっと泣いてたような気がする。
おかげで顔が変だよ、目が腫れて赤いし。
会社、行きたくない……
誰にも会いたくない。
だけど……
プライベートと仕事は関係ない。
プロジェクトに尽力したいって決めたんだから、ズル休みはできない。
自分の心を必死に励まし、鉛のように重たい体を引きずるようにして、私は何とか会社に向かった。
当たり前だけど、社長室には柊君がいる。
昨夜はもう、柊君からの連絡はなかった。
もちろん、その方が良かった。きっと電話が鳴ったとしても何も話せなかっただろうし、メールも返せなかっただろうから。
樹さんも、出勤していた。
早速、2人で仕事モード。
柊君は、私が居ることに気づいてるんだろうか?
一体、どんな思いでいるんだろう……
「柚葉ちゃん、これコピーね」
山下専務が、また私にコピーを頼んできた。
「はい……わかりました」
軽く返事をして、ため息をついた。
「あれ? 柚葉ちゃん、目が赤いね。もしかして、社長とケンカした?」
周りに聞こえないように、私の耳元で小声でささやく。
「ち、違います。コピーすぐします」
私は、慌ててコピー機に向かった。
専務の声に、いつも以上に嫌悪感を感じてしまった。
「柚葉おはよう」
「あっ、真奈。おはよう」
真奈は、私の顔をじっと見てる。
「さあ、今日も1日頑張ろ! そうだ、柚葉、今日、飲みに行かない?」
真奈は、この腫れぼったい顔を見て何か察してくれたんだろう。
やっぱり優しい人、本当にすごい。
「ごめんね、今日は……ちょっと」
今夜は、柊君と話さないと……
結婚式のこととか、いろいろ……
本当は逃げたかったけど、絶対に向き合わないといけないから。
「わかった。いつでも声かけてよ。待ってるから」
「真奈、ありがとう。うん、わかった」
心遣いが身に染みる。
でも、今はまだ真奈にも話せない。
こんな気持ちを、どうやって話せばいいかもわからなかった。
コピーをして専務に届けた後、私は会議に参加し、とにかく、仕事に専念して余計なことを考えないように努力した。
そうしたら、ほんの少し気持ちが落ち着いてきた。
きっと、マンションの部屋に閉じこもっていたら、ずっと泣いてただろうし、やっぱり会社に来て良かった。
「柚葉。ちょっと手伝ってくれ」
突然、声をかけてきたのは樹さんだった。
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