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お湯の中の葉っぱ
206
#学園
たまごさんど
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「今日は実戦授業を行う。」
担任の一言で、教室がざわついた。
「えっ、もう?」
「入学してまだ三日だぞ。」
「本当に戦うのか?」
雷斗も思わず肩を震わせた。
「じ、実戦……。」
担任は黒板に大きく「模擬戦」と書く。
「ルールは簡単だ。」
「一対一の模擬戦。」
「相手を場外へ出すか、武器を落とすか、降参させれば勝ちだ。」
「致命傷は禁止。」
「異能、魔法、武器は使用を許可する。」
生徒たちは次々と訓練場へ向かった。
広い石造りの闘技場。
周囲には観戦用の席が設けられている。
「最初の試合。」
担任が名簿を見た。
「天城雷斗。」
「木村剛志。」
「前へ。」
「は、はい。」
雷斗は緊張した面持ちで歩き出す。
向かいに立つ木村は雷斗より三十センチ以上背が高い。
「お前、本当に男か?」
教室から笑いが起こる。
「小さすぎるだろ。」
「女の子じゃないのか?」
雷斗は何も言わなかった。
言い返しても意味がない。
昔から言われ続けてきた言葉だった。
木村は木剣を肩に担ぐ。
「悪いけど、一撃で終わらせる。」
雷斗は短剣を握り直した。
「よーい……始め!」
開始と同時に木村が一直線に突っ込んでくる。
「おおおおっ!」
木剣が振り下ろされる。
雷斗はギリギリまで動かない。
(まだ……。)
(今じゃない。)
木剣が目前まで迫る。
「《神速》。」
右脚だけに異能を流す。
ドンッ!!
一歩だけ爆発的に加速し、木村の横へ抜ける。
「なっ!?」
観戦していた生徒たちが驚く。
「速っ!」
「今見えたか?」
しかし雷斗は攻撃しない。
そのまま距離を取った。
(右脚はあと一回……。)
反動が残っている。
無駄には使えない。
木村は笑った。
「逃げるだけか!」
再び突進してくる。
雷斗は周囲を見渡した。
訓練場の端。
石畳が少しだけ盛り上がっている場所がある。
(あそこなら……。)
雷斗はその場所へ向かって走る。
木村は追いかける。
「追いついた!」
木村が大きく踏み込んだ瞬間。
ガッ。
「え?」
足元の盛り上がった石に気付き、体勢を崩した。
その一瞬。
「《神速》!」
ドンッ!!
雷斗は懐へ飛び込む。
短剣ではなく、柄で木村の手首を叩いた。
カンッ。
木剣が宙を舞う。
地面へ落ちた。
静寂。
担任が口を開く。
「勝者、天城雷斗。」
観戦席がざわつく。
「今の狙ってたのか?」
「石につまずかせた?」
「正面から戦わなかったぞ。」
木村は木剣を拾いながら苦笑した。
「まんまと引っかかった。」
「俺の負けだ。」
雷斗は慌てて頭を下げる。
「ありがとうございました!」
その瞬間だった。
ズキッ。
右脚に鋭い痛みが走る。
「っ……。」
少しだけ顔をしかめる。
だが誰にも気付かれないように立ち続けた。
試合後。
担任が雷斗を呼び止める。
「天城。」
「はい。」
「勝った理由は何だと思う?」
雷斗は少し考える。
「……相手が転んだから、です。」
担任は首を横に振った。
「違う。」
「お前は自分が勝てる場所へ誘導した。」
「正面から勝てないと理解していた。」
「だから地形を利用した。」
雷斗は驚いた。
そこまで考えていたわけではない。
ただ、勝てそうな場所を探しただけだった。
「異能だけが強さじゃない。」
「考えて戦うことも才能だ。」
「それを忘れるな。」
雷斗は小さくうなずく。
「……はい。」
担任は去っていく。
その背中を見送りながら、雷斗は右脚をさする。
まだ痛む。
まだ反動は消えない。
(もっと上手く使えれば……。)
(もっと無駄なく動ければ……。)
その小さな課題が、雷斗の胸に刻まれた。
その頃、教室の後ろでは一人の男子生徒が腕を組みながら試合を見ていた。
「なるほど。」
「面白いやつだ。」
その視線の先にいるのは、小柄な少年――天城雷斗。
コメント
1件
みたらし団子さん、読了したよ〜!今回の模擬戦、めっちゃ痺れた😭💕 雷斗くん、正面からじゃなく地形利用して勝つ冷静さがカッコよすぎる…「考えて戦うことも才能」って担任の言葉にグッときたし、実は右脚に反動ある伏線も気になる!!次はあの最奥で見てた男子との対決くるのかな…もう続きが気になって仕方ない⋆♡ 更新待ってるね🌸