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─堕とさないと出られない館に閉じ込められました─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL（R18にはならないはず）
・zmさん総受け
・現mzybのメンバーのみ登場します
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
◇
夜だった。妙に静かな、深すぎる夜。
そこは夢の中だった。
湿った土の匂い。木々のざわめき。微かに響く、かさりという音。
足元を確かめる前に、肌がその空気を「危険」と判断した。
背後から、獣のような気配が這い寄ってくる。
冷たい汗が背を伝い、本能的に振り返る。
でも、そこには誰も──────
「･･･････っ！」
どくん、と鼓動が跳ねて、ベッドの上で目を覚ました。
寝汗に濡れたシャツが肌に張りついて気持ち悪い。
──────また、あの夢。
息を整えながらカーテン越しの空を見る。まだ夜明け前。
寝直すには不安すぎるけど、起きて活動するには早すぎる時間帯。
「はあ････くっそ、寝れへん･････」
枕元のランプに手を伸ばしたそのとき。
「動いたっ！？あ、起きた！うわ、ばれた！？」
シャッター音。
目の前には、フードをかぶったままのシャオロンがスマホを構えていた。
「･･････は？」
「いやいやいや今の超エモかったから！ 寝汗かいてうなされる美青年って最高やん？」
「･･･そろそろ盗撮も飽きたんやけど･････」
布団を引きはがして蹴りを飛ばすと、シャオロンは笑いながら逃げていった。
毎日この有様だ。まるで悪夢から現実に引き戻すための儀式のように感じる。
────･････いや、引き戻し方物騒なんよ。
◇
足音を立てないように気をつけて木製の階段を下る。
一階のリビングの窓から見えた満月が、煌々と輝く夜。
「･･･あー。腹減ったな」
冷蔵庫にでも向かおうと体の向きを変えて、玄関口の横を通った時。
ある事に気がついた。
「･････あれ。これ、トントンの？」
下駄箱の近くに乱雑に置かれた、赤色のもこもこしたスリッパ。
あんなに綺麗好きなトントンがこんな雑に置くわけがないだろうし、第一こんな夜に出かけるのだろうか。
･･･やば、これホラゲーの選択肢で草。
「『A. 寝直す』『B. 忘れて冷蔵庫へ』『C. 怖がりながらも外を確認』･･････はい、C選びます〜」
腹の虫なんてどうでも良くなってきて、第六感言う通りに、そっと夜の館を出た。
◇
外は冷たかった。
ひやりと肌を刺す空気。月明かりだけが照らす夜道。
館の裏手に広がる林の中、踏みしめる枯葉の音がやけに耳に残る。
「さすがに選択肢ミスったか･･･？普通に寒いし怖いんやけど････」
薄暗い木立の先に、ひときわ明るい場所が見えた。
ぽっかりと空が開けた丘の上。月光が降り注ぐその中央に、誰かが立っている。
──────背中だった。
深紅の上着に、きちんと整えられた黒髪。
スリッパなんて脱ぎ捨てたのか、素足のままで土の上に立っていた。
やっぱり、トントンや。
そう確信した瞬間、足が自然と前に出る。
「････おーい。こんな時間に月光浴？」
声をかけた途端、トントンの肩がぴくりと揺れた。
「･･････なんや、ゾムか」
けれど、トントンは振り返らずに月を見上げる。
まるで相手にしてくれないように。
「まさか後つけてきたんか？･････あほやな」
「せやな、あほやわ。でも気になったんや。トントンが夜中に外出るなんて」
月明かりが、トントンを包むように差す。
さくり、ともう一歩近づいた。
「･･････たまにこうやって、無理やり思い出しに来るんや」
「思い出す？」
「忘れたくないんやけどな。･････放っといたら、勝手に薄れていくねん。感情とか、思考とか、匂いとか」
風が吹いた。
ふわりと漂った匂いに、思わず背筋がぞくりとする。
鉄。息の詰まるような、血の匂い。
それに気づいて声を掛けようとした瞬間、トントンがこちらを向いた。
「･････せやから、こうして月の下に立って、“人間のふり”するんや」
にこり。
凍てついたような笑みを浮かべて、トントンが笑う。
何もない、感じていない、空っぽで壊れかけの作り笑い。
「･･････え･･･？」
風が二人の間に抜ける。
ばさりとはためいた上着が、満月に影のように映えて綺麗だった。
「･････昔のこと。今の俺への、戒め。」
ひと段落置いて、ひゅ、と喉元がおかしな音を立てる。
突然に頭の中でがんがんと警報が鳴り始めて、くらりと眩暈がする。
ああ、だめだ。この色は。
あの人を思い出す。血まみれのあの人。
目の奥がずきりと痛む。
･････やっぱ、選択肢ミスったかも。
───────ゆっくりと振り返ったトントンの瞳が、血のような紅だったから。
◇
なんかうちの学校テストの振り返りノートみたいなのやんなきゃいけないらしくてﾀﾋんでる
まじで三度見ぐらいしました･･･！謝謝！！
リア友に自慢してきますん
コメント
10件
食べていいですかぁ？？(...？)
毎回ある旧海賊の絡みに嬉しさを隠せない。 tnさんまさかの、！？ 続きまってます！！
まさか？ トントン吸血鬼？ まてー?! びっくりよ?! 続き楽しみッスワ？(´｡✪ω✪｡ ` )
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