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手と手がそっと触れた。それに驚きばっと手を引く、触れたくなかった。触れてほしくなかった。

俺は汚い奴だから、汚い俺を神のような存在のやつに触れては欲しくなかった。

でも顔を見ると少し、寂しい目をしていた。

寂しく心乱す愛

なんでそんなに悲しそうな顔をするのか意味が分からない、分かりたくもない…

『飴村くん…』

『えっ、なっなに?』

肩を触られ呼ばれる。驚きを隠せず慌てて振り向くもその寂しい目を目の前にして頭が真っ白になった。

(お前は一体何を求めているんだ…)

何を求めているのか分からない目、嫌いなはずの俺に触れる理由、訳が分からなくて何をしてあげれば良いのか、深く深く考える。

『前のようには、なれないのかな』

『…は?』

前のように、とはThe Dirty Dawgの時のようなベタベタとした時のことだろう。

『あの時はたまにはいいなとか、新鮮で興味深いと思っていたのですが衢くんが昏睡状態になってからは君を避けるようになりました』

『いや、知ってるよそんなん』

俺が衢を昏睡状態にした。その事実は変わらない、だからこそ俺は罪を償わなければいけないはず、それなのに。

『許せないのじゃなくて許したくないのだと思いまして、一二三くん達に相談したんです』

一二三とは伊弉冉一二三のことであり、寂雷のチーム麻天狼の2番手だ。

俺が昏睡状態にさせた、きっとそのことで相談したのだろう。

『そしたら、向き合った方がいいのだと気付かされました。』

『で……?全っ然話が見えないんだけど?』

『無性に寂しくなったんですよ…』

『……………』

は?

声がそれ以外でない、何が寂しいのやら俺が嫌いなら別にいいじゃないか、とか話が見えない状態であたふたする。

するとまた手を伸ばされ握られた。

『え、いや、え?なに、え?ジジイやめてくんない??』

『君がどういう理由であんなことをしたのか、君がどういう存在か、君の素をちゃんと見れた時、またあの時のような関係でいいなと、寂しく思ってしまったのです』

『…………………』

バシッ

音が響く、それを全く耳にせず手を振り払った。

殺し屋だったとしても今何人もの人を助けてきている神聖な手のようなもの、それを汚い俺が触れてはダメだ。

俺は……汚い奴だから

俺はっ

俺はッ

『やめてくれよ…冗談でも』

頬を蔦る冷たい雨は振り払った手にポツポツと落ち地面に落ちてゆく。

『俺の事、嫌いだろ?なぁ、そう言ってくれよ』

『違います』

『…好きだなんて冗談よしてくれ』

『それでも』

『君を守りたくなってしまったんだ』

高い身長であり上からそう言われる。俺の低い身長では到底届かない、頭に手をやってくれた時はまるで子の頭を撫でる親のように優しく暖かい手だった。

『五月蝿い!』

『お願いします、話を』

『お前から聞くことなんかッ何一つない!』

謝りたい許されなかったとしても、彼の大切な存在をあんなふうにしてしまったこと。

例えそれが俺じゃない俺がやったとしても

『どうせ興味があっただけなんだろ…』

『違います、私は』

『だとしてもっ!もっといい奴がいるだろ!!』

『………』

チャラチャラ

音を鳴らして出てきた鍵。そこには俺があの時あげたドーナツのキーホルダーが残っている。

☆彡.。☆彡.。☆彡.。

『ねねっ!じゃーくらいっ!』

『?なんですか飴村くん』

『これあげる!ペアレントフレンドって証!』

『…ドーナツは甘くてあまり好みではありませんが…』

『正直過ぎない?!ボク、泣いちゃう、えーん』

『…飴村くんがくれた物ならなんでも嬉しいですよ』

『ほんと?よかったー!』

☆彡.。☆彡.。☆彡.。

頭の中で蘇る過去の記憶。たったそれだけで胸が締め付けられる。

『………は?ドーナツ嫌いだっただろ?それと、俺のことも…………』

『ずっと付けていますよ…君がくれたものですから』

『ッ』

『これで信じてくれますか…?』

だとしてもそれでもこいつが俺のことを好きだなんて認めたくなかった。

嫌だった。

嬉しさとの感情がごちゃ混ぜになり頭が混乱する。周りの目も気にせずあーだこーだ言い合っていた。

あぁ、今中王区のことを気にせず好きだと言えたら、なんて考えても無駄だった。

『バッカじゃないの…そんなの、そんなの嬉しくない!』

『嬉しいという問題ではありません』

『じゃあなんだよ!』

『君が私のことを嫌いでも好きにさせます』

『そんなの無理だ!』

『好きだと言ってくれたじゃないですか』

そう言われるももう過去の俺では無い、The Dirty Dawg解散の源でありもう元には戻れない。

『昔のことなんてボク、忘れたよ』

『…ではなぜドーナツが好きでは無いと覚えているんですか…?』

『それはっ!』

『いつ、私が興味があっただけなんて言ったのですか?』

どんどんと論破されてゆく、それがとてつもなく嫌で逃げ出す。

路地裏に逃げながら息を殺す。

『飴村くん』

『あ……』

逃げられない、そう実感した。

バッと手を捕まれ動けない、叩かれでもするのだろうか?でもそれは寂雷にはありえない、やりもしない事だ。

ちゅ

『んっ』

口をキスで塞がれ頭が?で埋め尽くされる。

『これで本当に信じてくれますか?』

『知らないッ』

『飴村くん』

『俺だって、好きだよ、嫌いじゃなかったよ、嫌じゃなかったよ…お前との生活』

涙で溢れかえる。胸は泣き叫びそれを表すかのように涙はどんどん俺のシャツを濡らす。

『ふふ、そうですか』

そう言うと寂雷は自分のポケットからハンカチを出しては俺の涙を拭った。

〜あとがき〜

1話終わり✨あと2話くらい続きそうこの話✨全然1話で終わりませんでした☆

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