テラーノベル
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入学式から一ヶ月が過ぎようとしている頃。
未だに何も取り柄のない私に、転校生は話しかけてくる。
「一緒にお昼食べよ」
いつも通り頷くと、いつも通りに笑顔になる転校生。
机の横に掛けていたランチバックを取り、転校生の後ろを少し離れながらついて行く。
「転校生だ〜すごくかっこいい!!」 「あの後ろにいる子って神崎くんの何?」などの声が自分の耳に聞こえてくる。
「…」
聞こえない、聞かなくていい。
屋上につくと迷わず日陰場所にブルーシートを敷いてくれた。
「ほら、座って」
転校生の隣に座る。
「いつも、ありがと」
小声でいつものお礼を言う。
「いえいえ。俺こそ…」
最後なんて言った?聞こえなかった。
顔を見るとニコニコしながらこちらを見ている。
大したことじゃ、ないか。
ランチバックからお弁当箱を取り出す。
「今日はなんだろう」
弁当箱をジッと見られながら蓋を開ける。
今日は動物園がモチーフのキャラ弁だ。
「可愛い」
白いお米と黒い海苔を使ったパンダと、人参を三角や丸に型どったライオンなどがいた。
「今日も莉愛さん作?」
「そう」
「すごいね幸美のメイドさん。すごく手先が器用なんだろうね。羨ましいよ」
私は学校だといつも人に聞こえないくらいの音量で話してるのに何故か転校生はそれが聞こえる。
転校生って結構耳いいんだよな…
「どうした?」
「なんでもない」
お弁当を少しずつ食べ進める。転校生は事前にコンビニで買っていたフルーツサンドイッチを食べながら自販機で買ったらしい、いちごミルクを飲んでいる。
毎日一緒に食べてると変に怪しまれそうなのに転校生は気にしてなさそう。やっぱすごい。
今から二週間前から毎日一緒に屋上で、お昼を食べるようになった。
一緒にお昼を食べる前は食堂でひとりで食べていたが、四週間前からお昼に誘われていたが、転校生といると視線がすごいので断っていた。
でも、それが二週間続いたので折れてあげた。
でも人目がある所は嫌だと言ったら、屋上で食べることになった。
でも屋上って関係者以外立ち入り禁止のはずなのになんで転校生が鍵を持ってるんだろう…
急に自分のおでこに手がきて驚く。
な、何!?
転校生の方を見ると、少し心配そうな顔をしていた。
「大丈夫?」
「大丈夫、だよ」
そんな顔色悪いかな?
「ずっとボーッとしてたから心配になって…」
「…」
転校生は慌てたように手をおでこから離す。
「ごめん。急に、驚いたよね」
「いや、大丈夫だから。気にしないで…でも心配してくれてありがとう」
転校生は笑顔で「うん」と答えた。
昼休みが終わり、五時間目の授業が始まった。
五時間目は体育で男女別のバスケで試合がある。
でも私は見学。理由は面倒だから。
体育館の隅っこで、脚を抱えながらポツンと座っている。
試合が始まり、数分。
女子の方を見るとみんな遠慮しがちで片方のチームの点があまり入っていない。
あの子は…
差を広げているチームのひとりに遠慮なしに戦っている人がいた。
走って、黒いショートボブの髪がなびく。
ブーーーっと終わりのブザーが鳴る。
その子は自分のチームの人に囲まれていたが、相手チームは嫌な顔をしながらコソコソと話している。
#溺愛
星キラリ

6,909
桔梗
129
66
「幸美」と横から話しかけられて見ると頭から垂れてくる汗を、首にかけたタオルで拭いている転校生がいた。
「俺の活躍見てくれた?」
どう答えればいいんだ。ずっとあの人を見てたなんて言いにくいし、逆に見てたなんて嘘をつけば自分の心が許さない気がするし…
「大丈夫だよ。見てなくたって気にしないから」
なんか逆に悲しませちゃった…
「次は見るから!」
焦ったせいでいつもより二大きい、普通の人の声量で言うと、転校生は笑顔に戻る。
「絶対だよ」
二試合目が始まる。
男子の方は誰も気を使わず、点差もあまりない。
ひとチーム一分に二シュート(ひとシュート=三点)も入っている。
どんどん点が両チームに入っていく。
残り一分。19:21で転校生のチームはあと三点取らなければ負けてしまう状況の中、転校生を見ると笑顔になっていた。
「…」
転校生はボールを相手チームから奪い取り、相手を交わしながらバスケットリングに向かう。
転校生の汗がキラキラと光に反射し、水も滴るいい男になっている。
「…」
ブーーーと試合終了のブザーが体育館中に響き渡る。
「うぉぉぉ!」
男子が騒ぎだし、みなが囲むように転校生を称賛している。
HRの最後。
「では来週も皆さん元気に登校しましょう!さようなら」
いつも元気な先生。クラス全員が「さようなら」と言いながら次々と帰っていく。
カバンに教科書などを入れている時、いつも通り転校生が話しかけてくる。
「ねえ、何部活入ってる?」
「入ってないよ」
「じゃあ一緒に部活見学行かない?」
私まあ暇なので「いいよ」と言った。
転校生と横並びになりながら廊下を歩く。
やっぱり転校生は運動部なのかな?バスケも上手かったし。
と、転校生の顔をジーッと見ていると気づいてこっちを見た。
「何部、見に行く?」
「うーん…」
青花私立高校には20もの部活がある。
運動部では、野球部、 サッカー部、 バスケットボール部、 バレーボール部、 テニス部、 バドミントン部、 卓球部、 陸上部、 水泳部 、剣道部、 柔道部、 弓道部。
文化部では、吹奏楽部、 美術部、 演劇部、 写真部、 書道部、 茶道部、 華道部、 科学部+帰宅部がある。
その中から自分に合ったものを選ぶのは難しいため青花高校には一、二年生の時だけは半年に一度、部活を変えることができる。
「何系がやりたいとかある?」
「んー…俺は」
「あれ、幸美じゃん!」
遠くから声がして、目線を前に戻す。
前から制服姿の、活躍していた子だった。
なんで私?転校生じゃなくて?
その子が私たちの前に立つと笑顔になった。
「この子誰?幸美の知り合い?」
いつもより少し低い声で聞かれる。
「えっと…」
私もバスケが上手いことしか知らないのでどうすればいいかいいのかわかんない。
「あぁ、ごめん。自己紹介まだだったね。僕は西村菜奈(にしむらなな)。よろしくね」
私に手を差し出す。
「は、はあ…」
その手を握ったら結構強く握り返された。
「知ってるかもしれないけど、私は柴村幸美」
それに続いて転校生も自己紹介もする。
「俺は神崎風真」
「それで私達に何か用ですか?」
「いや、体育の時僕のことずっと見てたから」
バレてた。…ちょっぴり寒い
「えっと、すごく上手くて…見とれちゃって…嫌な気分にさせたならごめん」
「いや、いや、そんなことないよ!すっごい嬉しい」
私の手を掴んで微笑んでいる。
笑顔、可愛い。
「そうだ、私たち友達にならない?」
「え、そんな…何も取り柄もない私でいいの?」
「いいよ!幸美は誰に対しても優しいじゃん!誰に対しても優しくできるのってよくできる事じゃないから」
それから私たちはRAMを交換をした。
そういえば転校生とはまだRAM交換してなかったっけ。
悲しそうにしている転校生は一瞬悲しげにご主人様が撫でてくれるのを待つ子犬のように見えた。
「転校生も、RAM交換、する?」
「うん!」
撫でてくれて嬉しくなってる子犬だ。
スマホをかざして転校生のRAMも交換する。
スマホを見て喜ぶ転校生…ちょっと可愛いかも。
「じゃあ僕も神崎くんとRAM交換したい!」
「は?」
「交換してあげなよ」
そう小声で言うと、転校生は観念?したように菜奈とRAMを交換した。
「それで幸美達は何してるの?」
「部活見学」
「俺に付き合ってもらってる」
「へぇ〜。じゃあうちの部活見に来ない?」
菜奈さんは運動系得意そうだがらやっぱり運動部かな?
菜奈の後ろについて行くと、体育館やグランドではなく部室だった。
ここは確か…
「どうぞ入って」
中に入るとそこには美しい手作りドレスを着た先輩がステージに上がっていた。
「私は諦めない、諦めたくない!…」
劇が終わると菜奈が。
「僕は演劇部に所属してるんだ」
「へぇー…菜奈さんは何をしているの? 」
「菜奈でいいし、敬語はやめて」
「分かった。菜奈」
「僕はあまり演劇には向いていないからいつも裏方。裏方の仕事は劇の風景を作ったり、服を作ったり…さっきの先輩のドレスを作ったのも僕」
裏方なんだ…菜奈だったら。あれ?
「菜奈は凄いんだな」
転校生は菜奈を許したようで、いつも通りの転校生に戻った。
「ねえねえ」
菜奈は私の腕に腕を巻き付けてくる。
「ん?」
「一緒に裏方やってくれない?」
「おい!」と、転校生は言うが菜奈は転校生を気にせず私にくっついてくる。
「裏方僕含め二人しかいないの」
菜奈はうるうるおめめ。
破壊力エグい…
「ユキは部活何も入ってないでしょ?だからお願い…」
うぅぅ…早くもあだ名をつけられた。この顔に負けてしまいそう…
「分かった」
「やった!」
菜奈は私の良い返事を聞いて何回もジャンプして喜んでいる。
翌朝。いつもより早く学校に来ると、学級委員の葉山さんが花瓶に入ったお花を生け花のように美しく見えるようにしていた。
葉山さんは私に気づいて「おはよう」と挨拶をしてくれたので私もいつも通りの声量で「おはよう」と返した。
葉山さんは華道部なのかな?
私は人を覚えるのが苦手。だからクラスメートの名前も顔も覚えていない人の方が多い。葉山さんも同じで、名字の葉山しか知らない。
「あの、柴村さん?」
「あ、はい」
急に話しかけられ驚く。見ると葉山さんだった。
「どう、しましたか?」
「柴村さん、クラスに馴染めてるか心配で…」
「大丈夫です。話せる人もいるし… 」
まさか心配されてたとは思わなかった。
「確かに。神崎さんと毎日話してますよね。なら良かったです。もう体調の方は良くなられたのですか?」
「はい、まあ」
「それなら良かったです」
優しく微笑んでくれる葉山さん。みんなが、葉山さんを信頼する理由がわかる気がする。
それから数分後がたち、転校生も教室へ来た。
「今日はいつもより早いね。どうして?」
「家にいても暇だったから、早く来て勉強でもしてようかなって」
「俺もこれからそうしようかな…」
「ん?」
「なんでもない」
笑顔で言われた。さっき何て言ってたんだろう。
「おはよう、ユキ!」
「おはよう」
菜奈も笑顔。なんでみんなそんな笑顔になるんだろう…私には到底たどり着けない領域だな〜。
「それでなんで私たちの教室にいるの?」
「え、」
ん?なんか私変なこと言ったかな?
「確かにお前なんでこのクラスにいるんだ」
転校生も言ってるし、私の言ってることも合ってるはず。
「え、ここ僕のクラスだけど。」
?私クラス間違えた?でも転校生も普通にいるし…
「教室でお前のこと見た事ないぞ」
「いや…いやいやいや!僕達クラスメートでしょ!」
「「え、」」
「二人共気づいてなかったの!?」
転校生と同時に頷く。
「え〜そんなに存在感なかったの!?」
「いや、そうゆう訳じゃないよ」
慌てて否定する。
「いや、二人共気づいてなかったなんてもう存在感がなかったとしか思えないじゃん!」
「私達はあまり記憶力が良いほうじゃないから」
「俺も」
「じゃあなんで二人は定期テストで、一位と三位なの!」
そう第一回目の定期テストが入学式の三週間後にあった。
その時の順位が、私が三位。転校生が一位だ。(二年生の人数:168人)
「勉強しかすることないから」
「俺も」
「勉強好きのリア充が!」
「リア充って何?」
「リア充知らない?」
菜奈がスマホでリア充を検索して、私の目の前にスマホをかざす。
えっと、身近な人に恋人がいる…か。ん?恋人?
「俺ら付き合ってねえよ」
「え、そうだったの!?いつも二人でいるから、二人が付き合ってると思ってた。嫌な思いさせたならごめん」
「嫌な思いなんてしてないよ」
「ほんと?」
「うん」
「良かった…」
キーンコーンカーンコーンっとチャイムがなる。
「じゃあまた後で!」
「うん」
授業中。
そういえば転校生て私以外喋っているところをあまり見ないし、菜奈も昨日から話しているけど私がいる時以外菜奈と話していない。
逆に菜奈もあまり転校生より私の近くにいる方が多い。なんだろうなこの違和感…
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第3話、読んだよ〜!!😭💕 ユキちゃんが少しずつ心開いてって、菜奈ちゃんっていう新しい友達もできて…もう尊すぎて胸がキュッとした!! 転校生くん(風真くん)が「子犬みたい」って表現、めっちゃわかる〜!飼い主に撫でられたい犬の顔、想像しただけで可愛すぎる🥺 しかも二人とも勉強できるリア充って…現実でもこんな青春送りたいよ…!! 続きが待ちきれないです、𝐚𝐨𝐢さん!✨