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音楽室で2人が演奏をしている。其れは今度の 音楽会の課題曲だ。2人で演奏して、どっちの演奏の方が良いのか、お互いで確かめるためだ。
2人だけの空間で、美しいピアノとフルートの音が響く。どちらとも狂いは無く、誰が聴いても口を揃えて完璧と言える程だ。
暫くし、演奏が終わる。2人とも疲れきった様子だった。その後、男の方が言った。
「だから言っただろ?君の演奏は完璧だって。」
「いいえ?貴方の演奏の方が完璧よ。」
「誰がなんと言おうとも、君の方が完璧だ。」
「貴方の方が美しい音色で完璧だったわよ。」
なんて下らない事を言い乍、男が女に近づく。
「君はどうして自分の演奏が完璧じゃないと言うんだい?」
「全てが可笑しいからよ。其れに間違えた所もあるわ。」
「やれやれ、そんな事ないってのに。 」
「じゃあ、こっちも聴くけど、どうして私の演奏が、完璧だと言うの?」
「指の動きや真剣な顔が演奏を際立たせて居るのだよ。其れでも完璧じゃないと言うのなら、其の演奏は完璧じゃないのが正解何じゃないか? 」
「完璧じゃないのが正解?」
「そう、完璧じゃないのが正解かも知れない。別に完璧じゃなくても、自分なりに弾いて、満足すれば良いじゃないか。」
「自分なり、ね。考えた事なかったわ。貴方もそうしているの?」
「まぁな。僕は其れで満足しているし。」
「そう…私もやってみようかしら。」
「良かったら参考にしてくれ。」
彼女は完璧になる為ならなんだってする、みたいな感じの人だ。其れで偶に無茶もする事がある。たからそうなる前に止めてよかった、と安心している。