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「どの面下げて来たの?」
突き刺さる声。教壇の横にいた、クラスの中心グループの女子が冷たく言い放つ。
クスクスという忍び笑いが、さざなみのように教室に広がった。
「昨日あんなに惨めに逃げたくせに。……ねえ、恥ずかしくないの?」
一歩、また一歩と彼女たちが距離を詰めてくる。
足が震える。喉が乾く。
怖い、逃げ出したい、消えたい・・・
今までの「Amia」なら、ここで最高の笑顔を作って冗談で返しただろう。でも、今の私にその機能はない。
「……恥ずかしいよ」
掠れた声で、答えた。
予想外の返答に、女子たちの動きが止まる。
「逃げたのも、嘘ついてたのも。……この汚れた制服も。全部、痛くて恥ずかしい」
下を向かず、真っ直ぐに相手を見る。
その瞳には、今にもこぼれそうな涙と、それを上回る強固な意思が宿っていた。
「でも、これ……私なんだ。嘘じゃない、私。だから……私は、ここから始める、始めてやる!」
その時、教室の隅で、ずっと下を向いて消しゴムのカスをいじっていた一人の女子が、ガタッと椅子を鳴らした。
彼女もまた、この「ハードモードな教室」の底辺で、息を潜めていた一人だった。
「……おはよう」
消え入りそうな、でも確かな声。
女子が一人、顔を上げる。
その目は、「Amia」ではなく、「一人の人間」としての彼女を、初めて捉えていた。