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だけど、政宗先生が料理まで出来るなんてと一瞬いぶかるも、ふと最初にここを訪れた時に、二人分の朝食を作っていてくれたことをにわかに思い出した。
あの頃はまだ冷たいだけの人にも思えていたけれど、食事をわざわざ用意するような気遣いを見せてくれていたということに、今になって気づいた。
──改めて彼の作る料理に興味が湧くようで、キッチンの方へ首を伸ばして眺めた。
けれど私の座るリビングのソファーからはキッチンはだいぶ離れていて、何を作っているのかまではさすがに見えなかった。
ただ、時折りトントンという正確に包丁を刻む音や、油がジュッと焦げる音が聞こえてきて、同時に思わず食欲をそそる匂いも漂ってくるようだった。
聞こえてくる音と匂いだけでも、料理がうまいだろうことは容易に想像がついて、
(料理も、上手だなんて……)
一体どこまで完璧に何でもこなせるんだろうと、信じられないくらいにも感じた。