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「………はぁー……!」
………あぁ………、
ーどうしよう………っ………!
ーうちは、さっきから、感嘆のため息を、吐いていた。
ーうちが、見ているのは、一枚の、パンフレット。
ーそこに、うちが、大好きな、国民的 人気俳優ー「仲川 拓人」様が、載っており、此方に向かって、ウィンクしている。
(………あぁ………、
ー拓人様あああああ………っ…………!)
ー何時見ても、格好いいよおおおおおおおお…………っ…………!!
ーもう、本当に、好きです、大好きです…………っ…………!!
ー心の中で、うちが、鼻血を、大量に出して、悶えていると……………、
「ー皆さん、お早うございます………!」
ーという、元気な声と共に、うちらの、クラス、「1年5組」の、担任、木邨 透
(きむら とおる)先生が、教室へと、入ってきた。
(………あわわ………っ………!)
ーうちは、慌てて、ポスターを、机の奥底に、仕舞い込んだ。
ーうちは、「内弁慶」な、性格だから………、
ークラスメート達に、自分が、「仲川 拓人」様の、大ファンなんてこと…………、
ー絶対に、言えないんだ…………………………。
「……えー、
ーホームルームを、始める前に、転校生を、紹介します………!」
ー木邨先生が、突然、そう、宣言したものだから…………、
「………誰だろう?
ー女子かな、男子かな………?」
「……男子が良いわ………!」
ークラスメート達が、口々に、そう言い始めた。
(………それは、うちも、同感………!)
ー皆の会話を、聞きながら、うち、国城 花華(くにしろ はなか)は、心の中で、うんうんと、頷いていた。
ーうち、国城 花華。
ー東京都では、有名な、私立高校、
「儚苑 高等学校
(ぼうその こうとうがっこう)」
ーに、通っている、高校1年生。
ー両親と、2つ年下の、妹との、4人暮らし。
ー父さんは、日本で
ーううん、世界で、有名な、大財閥、
「国城 財閥」の、総裁
(ー総裁は、トップという意味………!)。
ーなのだけれど………、
ー父さんの、人材を選ぶ目が、厳しいため、国城 家では、今まで、1人も、使用人
ーメイドさん達や、執事さん達ー
を、雇ったことが、ないんだ………………………。
(………父さんも、真面目すぎるから、困っちゃう…………。)
ーうちが、思わず、ため息を、吐いているとーー、
「…このクラスには、イケメンが、3人も居るんだから、次は、女子が良いよな………!」
ークラスの、男子の1人が、皆に聞こえるよう、大声で、そう言った。
「……うん、確かに……!」
「……もし、可愛い女子だったら、嬉しいよね……!」
ー彼の、意見に、他の子達が、一斉に、同意する。
(………確かに、その通り………!)
ー彼に、賛同したうちは、ちらりと、イケメン男子3人に、視線を走らせた。
ー茶髪の髪に、やんちゃな雰囲気を、漂わせている、美男子………!
ー赤塚 グループの、御曹司
(おんぞうし)、
赤塚 翼
(あかつか つばさ)
君。
ー柔らかな雰囲気に、伊達ぶち眼鏡が似合う、イケメン……………!
ー凛崎 グループの、御曹司、
凛崎 惺
(りんざき さとし)
君………!
ー………そして………………、
ー3人の中では、1番、顔立ちが優れている、冷静沈着な、執事、
月村 冬輝
君……………!
ー噂だけれど、月村君には、まだ、主になる、お嬢様
(おじょうさま)
が、居ないとか………………。
ーどの彼も、本当に、高校の、女子達に、人気なんだ…………………………!
ー因みに、うちは、月村君のこと、結構、苦手なんだけど………………………………。
「ー皆さん、静かにしてください!
ー転校生が、入ってこられませんよ…………!」
ーと、木邨先生が、黒板を、バンバン!と、右手の拳で、叩いたことで、うちらは、直ぐに、静かになった。
「ーでは、入って来て下さい………!」
ー一気に、水を打ったように、静まり返った教室で、彼が、教室のドアに向かって、呼び掛ける。
………ガラガラガラ……………!
ー教室のドアが、音を立てて、開いて…………………。
「………っ………!?」
ー教室に、入って来た、その、転校生の、女の子に…………、
ーうちらは、大きく、息を呑んだ。
ーさらさらとした、黒髪が、ふわっと、背中にかかっている。
ーその髪は、つやめいていて、黒真珠よりも、濃い色をしている。
ー大きくて、はっきりとした、黒目がちな瞳は、まるで、宝石のごとく、輝いていた。
………ほんのりと色付いた、桜色と、あでやかで、つやっぽいばら色が、上手く、混ざった、色合いの、唇…………………。
ーそして、それらを縁取る、端正な目鼻立ちと、真珠よりも、純白の肌……………………。
「………嘘、だろ…………。」
「……か、可愛い過ぎる…………!」
ークラスの、男子達や、女子達が、その転校生を見ながら、ひそひそと、囁いている。
(………う、嘘、でしょ………っ……………!?)
ー………うちは、と言えばーー、
………彼等とは、別の意味で、固まっていた。
…………誰かと、見間違ってる…………?
………ううん、見間違う、はずがない………………!
(………い、妹が………、
ーどうして、うちの、教室に……………っ…………!?)
ー混乱する、うちに、構わず、
「ー自己紹介、してくれるかな………?」
ー木邨先生に、そう聞かれた、その女の子は………、
ーううん、うちの妹の、美虹(みこう)はーー、
「ー………皆さん、初めまして………!
ー2年だけ、飛び級をして、転校してきました………!
ー国城 美虹
(くにしろ みこう)
ーと、申します………!」
ーと、さらっと、とんでもないことを告げた。
(………と、飛び級……………!?)
ーそれって、中学生で、飛び級出来たのは、日本人の中で、美虹が、初、ということに、なるんじゃ………………。
「………1年間、どうぞ、宜しくお願いします………!」
ーうちらに向かって、ぺこりと、頭を下げた、美虹は……………、
ー因みに……、と、にこっとした。
「………私と、国城 花華 さんは、実の、姉妹です…………!」
「……えええっ!?」
「………正直、あんまり、似てなくね………?」
ーちょ、ちょっとおおおおおおおお…………っ………………!!
ー一気に、ざわつき始めた、教室の中で、うちは、思わず、頭を抱える。
………出来れば、皆の前で、それを、言ってほしくは無かったのにいいいいいいいいい………………っ……………………………………!!
「………ーお姉様、ごめんなさい………。
ーお姉様の、お気持ちは、分かってはいたのですが……………。」
ー後々から、言うよりも、今、このことを、言った方が、良いと思いまして……………。
ーいつの間にか、うちの席に、やって来ていた、美虹が、申し訳なさそうに、そう囁いてきた。
(………うっ………、
ー相変わらず、鋭い………っ………!)
ー冴えすぎている、妹に、うちは、思いっきり、ゴホッとむせる。
「……えー、では、皆さん、お楽しみの、数学の、小テストです……!」
ー美虹が、席に、着くのを見た後、木邨先生が、クラスメートの、抗議を他所に、楽しげに、そう宣言する。
………うちが、ちらっと、妹の方を見るとーー、
………直ぐに、視線に、気付いたのか、彼女は、うちに向かって、小さく、微笑んでみせた。
(…………一体、これから、どうなっちゃうの…………っ……………!?)
ーうちの、心の悲鳴は、頭の中に、大きく、木霊していったのだった………………。