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中学生になってからもう1ヶ月が経った。今思うと本当に短く感じた1ヶ月だった。それくらい楽しかったんだろうなと思う。
「そろそろ席着いてよ〜!」学級委員の小田さんが呼びかけた。次の授業 は席替えだ。正直今の席のままがいい。
「もう5月か〜!」宮口が言った。もう宮口とは、いじり合うくらいの仲だ。席替えは私達にとって大イベントだ。
「マジで席後ろがいいな〜。」私がそう言うと「お前は一番前がお似合いやろ笑笑」と、瀧本にいじられた。チョークで書いていく発表方法なので、一気にプロジェクターで発表するよりも緊張する。
なんと宮口と前川は私の後ろだった。私の左は遠藤という桜小学校の男子生徒、結構面白い。右は1度も話したことのない白鳥という男子生徒だ。正直あまり仲良くないし。隣の席はもっと仲のいい人が良かった。白鳥と宮口、前川は小学校が同じらしい。
白鳥さんと関わることは今までほとんど無かった。初めて話したのはいつだったっけ、初めてて話したのは多分この前の音楽の授業の時。
「お前ピアノマジで上手いよな〜!」
「だって魔王弾けるんやろ?!」
こんな会話が聞こえた。実は私はピアノを習っている。気になって初めて話しかけてみた。
「魔王弾けるん?」
「うん。」
意外すぎてびっくりした。でも魔王くらい私でも弾けるか〜。それに私より長く習ってる人なんて居ないよね。と思っていた。
せっかく隣になったんだし話してみようかな、仲良くなれるかも。
「ピアノ何年習ってるの?」
「10年」…?!え?
「え?」と言うと白鳥さんは笑っていた。いつも真顔で静かなあの白鳥さんが笑っていた。
「お前も習ってるんやろ?」前川に言われた。
「まぁ、それで何弾けるの?」正直自分が1番だと思っていたのが恥ずかしくなった。
「愛の夢」と、白鳥さんが言った。
家に帰っても白鳥さんが頭から離れない。あの笑顔が頭から離れない。いつの間にかスマホで愛の夢を調べてた。本当に素敵な曲で狂ったように何回も繰り返し聴いた。
私は学校に行くときも、授業を受けている時も寝る前も、ずっと小学校の時のあの人を考えていた。学校に行く途中も、あの人が居ないかずっと探している。でも白鳥さんの隣の席になってからは少しずつ君のことを忘れていった。
3時間目の英語の時間、ALTの先生は名前が分からないので謎の紙にみんなローマ字で書いたネームプレートを立てている。席は窓側の前から2番目だ。ふと隣を見ると、水色のネームプレートに「Rui」と、書かれていた。初めて琉生という名前だということを知った。