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初バイト
干潮。
シャケの数は少ないが、足場が不安定で動きづらい。
ミナミは、支給されたブキを構えながら、少しだけ焦っていた。
「え、これってどこから来るんですか!? あ、あっち!? え、納品ってどこ!?」
ひろは、すぐ近くにいて、静かに指をさした。
「コンテナはこっち。金イクラは投げられるから、拾ったらすぐ投げて。」
「な、なるほど……! あ、来た来た来た!」
ミナミがバクダンに向かって撃ち始める。
「これ、どうやって倒すんでしたっけ!?」
ひろは、落ち着いた声で答える。
「横から。正面は無理。」
「横……横……あ、いけた! やった!」
ひろは、何も言わずに次のシャケに向かって動き出す。
ミナミは、慌てて後を追う。
少し離れた場所で、恒がその様子を見ていた。
納品を終えたあと、ふたりのやり取りに目を向ける。
ひろが、ちゃんと説明してる。
言葉は少ないけど、伝わってはいるだろう。
少しだけ口元をゆるめた。
「……なんか、いいな。」
ウェーブ終了のアラームが鳴る。
ミナミは、息を切らしながらコンテナの前に戻ってきた。
「終わった……! でも、なんか楽しいかも……!」
ひろは、ギアを整えながら言った。
「次はもっと忙しくなるよ。」
ミナミは、目を輝かせてうなずいた。
「はいっ!」