【注意と言うかお願い的なもの】
・下へスクロールすると物語が見れますが、その前に1話から見てないよ、という方は1話からご覧にください。注意書きも載っていますので、確認して貰えると幸いです。
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♢ side Watanabe Shota
『翔太!』
突然、名前を呼ばれて俺は目が覚めた。
「んぁ……?」
まだ眠たい目を擦りながら辺りを見渡すと、そこには阿部が身支度を済ませた状態だった。
Ab「おはよう、今から病院に電話掛けるから、翔太も準備しててくれる?あと、ふっかも起こせたら起こして欲しいんだけど……。」
「ん、了解。」
阿部はスマホを片手に仮眠室を出ていった。
俺は上着を着て、ふっかに声を掛ける。
「おいふっか、起きろ。」
Fk「……ん、……ん……、」
唸りはするが起きる事は無かった。だが、彼の身体に触れてみれば昨日よりも熱い事に気が付いた。
「は、お前昨日より熱すぎだろ……、」
俺は体温計を持ってきてふっかの脇に挟んだ。しばらくすると測り終えた音が鳴り、見てみれば「40.2°」と表示された。
「よ、40……!?」
流石にヤバいと思った。今までメンバーの体調不良は何度も見てきたし、俺だって倒れてた時期もあったけど、ここまで酷いのは見た事が無かった。
「……風呂じゃん……いや、そんな事言ってる場合じゃねぇな……。」
汗も酷くかいているので、とりあえず彼の服を脱がせてタオルで拭き、ふっかの着替えは無かったので俺の服を代わりに着させた。
「(あと冷えピタも貼って……これで少しはマシになるか……。)」
Fk「…………しょ、……た……?」
「!、」
ふっかが目を覚ました。だが彼は今40度も熱がある、まだ眠っていた方が良いだろう。
「お前寝とけって、熱あんだから。」
Fk「……らい、ぶ……やらなきゃ、」
と、彼は起き上がろうとする。
「ちょっ、こんな時にでもライブかよ!?」
俺は慌てて彼の身体をソファーに寝かせた。
Fk「ひかる、やくそく……した、から、」
「……はぁ……あのな、お前熱あるって自覚してる?昔にも熱出てた時に涼太に助けて貰ったことあんだろ?」
Fk「……、」
「お前まで倒れたら俺らどうにも出来ねぇからさ、せめて体調悪い時はしっかり休め。」
Fk「……でも、らいぶ……、」
「ライブの事なんか今気にすんな。そのまま無理したらライブの時に倒れたりとかして後悔すんぞ。」
Fk「…………わかった、」
高熱に魘されているのか、あまり頭は働いていないらしい。
そんな会話を終えたと同時に仮眠室の扉が開く。そちらを見てやれば阿部が帰ってきたようだった。
Ab「病院今から行ける?」
「あぁ……ちょ待って。」
と、俺はふっかに問いかけた。
「ふっか、今から病院行くけど立てる?」
Fk「…………がん、ばる、」
「いや無理なら無理って言えよ?」
そんな俺の言葉も無視して、彼はベッドから立ち上がろうとした。が、流石に40度も熱を出していれば自力で立つことは難しいのだろう。彼はふらふらとまたベッドに座り込んでしまった。
「ほら、おぶってやるから乗れって。」
Fk「……ごめん、 」
「良いって、病人なんだから甘えろ。」
Ab「……ねぇ翔太……。」
阿部は小さな声で俺の耳元に囁いた。
Ab「ふっか、今熱って何度あるの?」
「……40。」
Ab「…………40……?」
流石の阿部でも驚きを隠しきれていなかった。小声で聞いてきたのは、多分ふっかに自身の熱がどれくらいなのかを自覚させない為だろう。
Ab「……すぐに行こう。」
「運転頼んでいい?」
Ab「もちろん。」
♢
病院では、恐らくというかほぼ確実に疲れとストレスが原因だろうと診断された。解熱剤が処方され、後は暖かくして休めば熱も下がるとの事。
俺達は再び仮眠室へ帰ってきていた。そして彼をベッドに寝かせ、布団を被せてやった。
Ab「ふぅ……ひとまずこれで一安心かな、」
「だな。」
彼は苦しそうではあるが、ちゃんと眠れているのでこれで良いのだろう。
……だが、阿部がふとこんな事を言い出した。
Ab「……照、大丈夫かな。」
「……照?」
何故、照の事を話題に出したのだろうか。彼はライブの為に今リハビリに専念していると思っていたのだが。
Ab「……ふっか、ライブの事ほとんどやってくれてたでしょ?」
「あーうん……俺らが手伝うって言っても気付いたら進んでたしな。」
Ab「それを照に相談してたんだよ。俺だけじゃなくて他のメンバーもしてたらしいんだけど。」
「あぁ……めめとラウールが言ってたな。」
Ab「そしたら、「俺の所為だ」って……。」
「……。」
Ab「何で照の所為なんだろうってずっと気になってるんだけど……何かあったのかな。」
……そう言えばそんな話を聞いた事がある気がする。
「(……そうだ、さっきもふっかが、)」
Ab「……翔太?」
「……照と約束したんだってさ。」
Ab「……何を?」
「それは分からないけど、でもふっかが言ってた。」
Ab「……約束……そっか……。」
「……はぁ……しゃーねぇな、照の所行ってくるわ。」
あのリーダーの事だ。どうせ「ふっかが倒れたのは俺の所為だ」ってまた自責してるに決まってる。
……俺は立ち上がって照の居る病院に向かおうとした、が……がしり、と阿部に腕を掴まれた。
「うぉっ、何だよ……。 」
Ab「……翔太も無理しすぎね。」
「……え?」
突然何を言い出したかと思えば。そんな事を思っていたら続けて阿部が言った。
Ab「あんまり寝てないでしょ。目の下の隈酷いよ?」
「……え、嘘、」
そう言えば照が倒れてから自身の姿を一度も確認していなかった気がする。そもそもそんな事を気にする余裕も無かったのが正しいが。
Ab「せっかくの美容系男子なのに、睡眠不足で肌荒れしたら元も子も無いでしょ?」
「……俺……そんな、疲れてる……か、」
Ab「うん。翔太も倒れちゃう前に、しっかり休んどきなよ。照の事はこっちに任せて。」
そう思えば視界がくらくらしてきた。確かにあまり眠れてなかったかも知れない。
「……、」
Abe「……おやすみ。」
そんな阿部の優しい声を最後に聞いたのかも知れない。視界がすーっと暗くなってきて、意識 もはっきりしなくなって、遂には手放した。
♢ side Abe Ryohei
“おやすみ”と声を掛けたと同時に翔太も眠りについた。彼も色々と頑張っていたのは知っていたし、何より照の事も気にかけていたから自分の事を後回しにしていたのが分かっていた。
「……照の事なら大丈夫だよ。」
聞こえていないであろう翔太に、そう言った。
「……照は強い。何より、SnowManって言う強い味方が居るからね。」
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