テラーノベル
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※nmmn(二次創作)作品です。
実在の人物・団体・関係者様とは一切関係ありません。 創作上の解釈・妄想を含みます。
誤字脱字、口調の違和感など、暖かい目で見ていただけると幸いです。
※書き始めから月日が経過しているため、季節感がおかしいです。ご了承ください。
今日はいつもより街の空気が冷たかった。
吐く息が白く、服の中までに冷気が入り込んでくる。
こんな日は好きな人と一緒に暖まりたい。
叶わないことだとしても、誰だって、そう思うだろう。
そんなことを考えてると背後から聞き覚えのある男の声がした。
「お前、今日の忘年会来るの?」
不意に声をかけられ、驚いて振り返る。
目線の先にはまさに今、考えてた人物が立っていた。
「え、あぁ…行きますよ、そりゃぁ。」
間が抜けた返事になったのを誤魔化すように、当たり前だろ、というように返す。
その様子を眺めて、青井はつぼ浦の格好に視線を落とした。
「てか、お前元気だねーー。寒くないの、それ」
「裏起毛だからな!!!全く寒くないぜ」
胸を張った、つぼ浦を見て青井は目を細めた。
その表情に思わず胸が飛び跳ねる。
「……バカってほんとに風邪ひかないんだ笑」
「あぁ?アオセン、なにか言いましたか?」
自分の心の奥がバレないように、少し喧嘩腰に返した。
「べ、べつにー笑」
青井が誤魔化すように視線を逸らす。
その態度が、声色が、いつもと変わらない様子に胸を撫で下ろす。
つぼ浦匠は、青井らだおが好きだ。
着込んだ服から、僅かに覗く色白の肌も、あの鬼のマスクからは想像できないような素顔も、彼の仕草、表情一つ一つがつぼ浦の頭をおかしくさせる。
「そう、じゃあ待ってるから」
そう言って、その場を去っていく青井の背中をしばらくつぼ浦は見つめていた。
「待ってる」そう言われると嬉しくなると同時に、その言葉が胸に刺さって、ズキズキと痛む。
一緒に店に向かう訳でもないし、ましてや2人きりの食事に、誘われた訳でもない。
これはただの職場の忘年会だ。
同じ仕事を共にする同士として、たまたまそこに居た俺が声をかけられただけ。
(早く片思いなんて…やめちまえよクソ……)
先程までの好きな人との会話で暖かくなっていた心の奥が、周りの冷たい空気のせいで、心臓が張り裂けそうなくらいに凍ってしまった。
─────────────────────
「こんばんはーーー」
指定された居酒屋に、少しだけ遅れて到着すれば、用意された食事の半分は既に無くなっていた。
もうすでに飲みの場は、十分なくらい温まっていて、長机の上には空になったグラスが机の大半を占めている。
頬を赤らめた署員たちが、来年の抱負だとか、今年の反省点だとかを楽しそうに話していた。
「あ、つぼ浦じゃん…やっほーー」
座敷に上がって席に目をやると、目の前には顔が赤くして、ほんの少し酒に酔っている青井らだおの姿があった。
普段滅多に見ることの無い、好きな人の姿に嫌でもドキドキしてしまう。
「ほら、ここ…俺の前座りなよ」
自分の目の前にある座布団を指さして、そこに座らせられる。
いきなりの展開に心臓の音が自分でも分かるくらいにうるさい。
そんなつぼ浦とは裏腹に、楽しそうな青井はわざとらしく、こちらに身を乗り出して言った。
「ここの唐揚げすっごい美味しくてさー」
「つぼーら何飲むー?ビール勝手に頼んでもいいー?ねぇ、聞いてんの?なんか、テンション低くない???」
と、酒のせいかいつもより話しかけてくる青井に驚く。
「あーー、、じゃあ唐揚げにします。
てか…アオセン酔ってんのか?」
「うん、酔ってる笑 お前が来てくれて嬉しいし」
こちらの胸の高鳴りを悟られないように、平然を装い、意味もなく店の注文パッドをスライドする。
少し待てば、頼むのを予想してたと言わんばかりに、素早く唐揚げと頼んだ覚えのないビールが、2つ運ばれてくる。
「あ、それ俺の分」
「え?あぁ」
この人まだ飲むのか……と驚きつつも、もう1つのグラスが自分の目の前に差し出されて完全に理解した。
「ほら、乾杯しよ?おれは、もうみんなと飲んじゃったけどさ」
(あーー、ムカつく。やめてくれよそんなことするの。ズルいだろ……)
「か、乾杯」
「かんぱーい笑」
目の前に頬を染めた、アオセンが目の前にいる事実だけで、どうにかなりそうだ。
こんな他の署員が大勢で盛り上がってるのを横目に、2人きりで会話をするなんて、平然でいられるわけ___
「ねぇ、てか最近また銀行強盗でひと暴れしたらしいじゃん?」
グラスを揺らしながら、青井が言う。
その声は完全に上官として、ではなく、久しぶりに会った親戚のようだった。
「もうさー、尻拭いさせられるのは、俺なんだからね、まぁ、いいけど笑」
頬ずえをついて、こちらを真っ直ぐ見ている青井が目に入り思わず心臓が飛び跳ねる。
「てかなんで知ってんすか?」
そう聞くと、わざとらしく視線を逸らして青井が言った。
「別にー、風の噂だよ」
大方、署長や他の署員から聞かされたのだろう。別にこんなのは日常茶飯事だ。
って───
(でも、あの日アオセンは非番のはずじゃ…)
そう考えていると、次から次へと質問攻めをされ、考えることを放棄する。
「てか最近ちゃんと食べてる?」
「食べてますよ、現に今唐揚げ貰ってますし…」
体が資本の特殊刑事課。
そのルールは空腹で職務に当たらないことだ。
それより、食事を疎かにしているのは、青井の方である。
最近ゼリー飲料のみで食事をすませていた姿を、つぼ浦は目撃している。
「そういうことじゃなくてー!バランスが大事だって言ってんのー」
そう言うと、目の前にあった野菜を箸でつついて、つぼ浦の小皿にぽいっと乗せた。
「てかアオセンなんスか〜?急に上官みたいなこと言い出して、」
酔いのせいか、いつもの倍小言が多い青井に違和感を覚える。
まだ胸の高鳴りが止まらないつぼ浦は、青井から小皿に放り込まれた野菜に箸をつけ始める。
「いや笑 俺一応お前の先輩でしょーふふっ…」
こちらを見てつぼ浦を茶化すように、わざとらしく青井が笑って言う。
「俺思ったんだーー、つぼ浦にはちゃんと幸せになって欲しいなーってさ」
「……は、」
つぼ浦の声は、居酒屋の騒がしさでかき消され、青井には、届いていない。
(何言ってんだこの人…)
「だからね?上官としてお前のことは、それなりー、、に気になっちゃうわけ、笑」
その瞬間何も聞こえなくなった。
居酒屋特有の周りの騒がしい声も、グラスがぶつかる音も全てが遮断される。
この人の優しさなのか、果たして無意識に出た言葉なんだろうか。
どちらにしても好きな人からこんなこと言われては、たまったものではない。
(オレを幸せにできるのは、アンタしか居ないのに…)
幸せになって欲しい。
これが自分だけに向けられた言葉ならまだ救いだろう。
でも、きっとこれは誰にでも言える言葉だ。
上官が後輩の幸せを願うなんて、おかしいことじゃない。当たり前のことだ。
それが誰であっても……
(だから、片思いなんて……)
少しだけ、本気になって勝手に盛り上がってた自分がバカみたいだ。
その後も意味の無い会話を交わし、青井は酒に酔ったのか、年末特有の疲労のせいか、机に伏せてぐっすりと寝てしまった。
俺は、あの後もうどうでも良くなって、周囲に挨拶だけして居酒屋を後にした。
あの無防備なアオセンを誰が家まで送り届けたのか、俺は知らない。
─────────────────────
青井が酔いから覚めて目を開けた時、つぼ浦はいなくなっていた。
一瞬状況が分からず天井をぼーっと見つめる。
頭がズキズキと痛む。
呑みすぎた。
(これ、次の日最悪なやつじゃん)
辺りを見渡せば、店の中は完全に解散モードになっていた。
完全に酔いつぶれている者をどうするか、飲んでいないマトモな署員たちが淡々と後片付けを行っていた。
「あ、目ぇ覚めたー?」
「え、あぁ、ミンドリー」
ぱちぱちと瞬きをして、辺りを見回す。
「ねぇ、つぼ浦は?」
声をかけるとミンドリーは机に乱雑に置かれた、グラスを手際よくまとめていた。
「あぁ、つぼ浦くんなら、らだおくんが寝ちゃった後帰るって言って、すぐ帰ったよ~」
「え、あぁそう、なんか言ってた?」
「別に何も言ってなかったかな、らだおくんなんか変なこと言っちゃったの~?笑」
茶化すように、ミンドリーはこちらを向いてニヤニヤと笑う。
「言ってないけど、、、、でも」
言いかけそうになって、とっさに言葉を濁す
「らだおくんさ、酔うとめんどくさくなる所あるから、気をつけてよね」
そう言われて、何も返せず返事に困る。
「ェ゛ッ……」
図星だ───。
前々から周りに言われて自覚はあった。
酔うと小言が多くなるとか、ジジくさくなるとか
……ジジィってまだ33歳だぞ。
まだギリギリアラサーだぞ。
「らだおくんも疲れてるでしょ?早く帰りな」
「いや、俺も手伝うよ」
「いいって」
「いや…」
「いや、いや、いや笑」
そんな会話を繰り返しながら、あれよあれよと言い合ってるうちに、ミンドリーに言いくるめられ青井は、申し訳なく居酒屋をあとにした。
忘年会ネタを書き始めてから、約3ヶ月も経っちゃいました。
ぼちぼち後編もあげていこうと思います。
前作への♡、コメント等ありがとうございます。とっても嬉しかったです^_-☆
コメント
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好きすぎます!!!!!!🫶🫶🫶 微妙な恋愛のズレ感、天才ではないですか、??続きが楽しみすぎる(泣) この恋実れ〜〜ッッッ!!💕🫶💘 応援してます!!🫶🪽✨
