テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
※nmmn(二次創作)作品です。実在の人物・団体・関係者様とは一切関係ありません。 創作上の解釈・妄想を含みます。
誤字脱字、口調の違和感など、暖かい目で見ていただけると幸いです。
※書き始めから月日が経過しているため、季節感がおかしいです。ご了承ください。
忘年会から3日が過ぎた。
明日で年が明ける。ギャング達もこの浮かれた年末の気分を味わっているのか、目立った犯罪もなく、いつもと違った本署の雰囲気に正月を感じる。
そんな中つぼ浦は、パトロールという名目で、街中で車を走らせながら、考え事をしていた。
法定速度気を気にする暇もなく、思い切りアクセルを踏み込めば、真冬の冷たい風にさらされ、 ハンドルを握る指先の感覚が鈍くなるのを感じる。
「さみぃな……」
頭を冷やしに来た、とでも言うのだろうか。
つぼ浦は、仕事に集中できない自分への戒めのため、わざわざ真冬に愛車であるオープンカーに乗っていた。
数日経っても、あの会話は、一言一句つぼ浦の頭に焼き付いている。
青井と酒を飲みながら、話した内容、脈ナシが確定したような、言葉を言われてしまったこと。
全ての出来事が頭から抜けることなく、ぐるぐると思い出される。
「幸せになって欲しい……か」
そう喉の奥に刺さった小骨みたいに、あの言葉をずっと飲み込めずにいた。
別に、叶わない恋だとはわかっていた。
だからといって好きな人に、こんな脈ナシなことを言われて傷つかないと言われれば、それとこれは別の話だ。
「ちくしょう……」
悔しさと、切なさと、悲しさ、色んな感情が入り交じってもう掠れた声しか出せずにいた。
さすがに寒さに限界を感じたのか、つぼ浦はハンドルを右に切って本署に戻るために車を飛ばした。
──────────────────────
この時期は気づけば日が沈みかけている。
さっきまで綺麗だった青空は、今は夕焼け色に染まっている。
ふと空を見て、つぼ浦のオレンジのシャツの色に似ている、なんて考えながら、青井はタバコを咥えて屋上に1人立っていた。
最近つぼ浦に避けられてる気がする。
青井はそう感じていた。
「んー……俺なんかしちゃったかな~」
避けられている、と言うよりもここ数日絡まれる回数が少ない。
別に心当たりがないと言われれば嘘になる。
だが、向こうが傷つくようなことを言ったのか? と言われれば、それはまた違う。
だがひとつだけ明らかになっていることは、あの日「幸せになって欲しい」
と言った瞬間、つぼ浦の顔が曇ったのを、青井は見逃さなかった。
この数日、忘年会の後から避けられているのを考慮すると、驚く程に辻褄が合う。
(でも…それって、なんかつぼ浦が俺の事好き……みたいじゃない……?)
今思えば、本人は隠しているつもりなのか、俺と接する時のつぼ浦は、少しだけおかしかった。
目線の配り方、他の奴と話す時とは、違う少し慌ただしい仕草を見れば、すぐに分かる。
(1ヶ月、いやもっと前…いつからだ??)
案外鈍感な、自分の愚かさに青井は腕を組みながら頭を悩ませる。
「なーんで、俺気づかなかったんだろ……」
気づかなかったわけではない、つぼ浦が向けてくる、好意に俺は確実に気づいていた。
だから、あんな言葉を吐いて、一線を引いた。
───だってお前には本当に幸せになって欲しいから。
忘年会をやる少し前の話
青井は、成瀬と暇つぶしにパトロールに出ていた。
車を停車させ、一服している時に青井は、市民の会話をたまたま聞いてしまったのだ。
つぼ浦が銀行強盗で市民を不安にさせるような、少し不適切な対応をしてしまったこと。
それに対しての市民のしょーもない愚痴。
彼は特殊刑事課だから、やることなすこと、全て特殊なのだ、と言ってしまえばそれで終わりになるが、 彼も1人の警察官であり、この街を守る重要な役割を担っているのだ。
だから、上官として青井にも頷ける点はあった。
だが彼は彼なりに正義を全うしている。
そんなつぼ浦匠という1人の警察官のことを知りもしないような他人に、アイツの全てを否定する権利はない。
だから青井は、思ってしまった。
つぼ浦には、彼の頑張りを応援して、側で見ていてくれるような人と幸せになって欲しいと。
(それが例え俺じゃなくても…………)
───そのはずだったのに。
「はっ…いつの間にこんなに拗らせてたっけ…?
最悪、笑」
青井のため息混じりの笑い声が、煙草の煙と共に、夕方の空に溶け込んでいく。
自分は、こんな歳にもなって、恋というものに振り回されていた。それすら気づかなかったことに、若干の嫌悪を覚える。
そんなことを考えているうちに、下の方から聞き覚えのあるエンジン音が響く。 下を見れば、パトロールに行ったつぼ浦が帰ってきていた。
────これはチャンスだ。
思い立つうちに、気づけばつぼ浦に電話をかけていた。
屋上から様子を伺うとつぼ浦は、スマホの画面を確認したかと思えば、焦ったように、不審に辺りを見回す。 そんなつぼ浦の姿に無意識に笑みがこぼれる。
(あー、俺やっぱ……)
もう誤魔化せない。
そうすると、ワンコールもしないうちにつぼ浦が電話に出た。
「なんスか、アオセン…」
警戒しているのか、抑揚のないつぼ浦の声が電話越しに響く。
「あぁ、つぼ浦?今ちょうど帰ったきたんだ、おつかれ」
「は?えっ、今アオセンどこにいるんスか、!?」
監視されているのが嫌なのか、つぼ浦がキレ気味にブンブンと頭を回して青井を探している。
「うえ、上見て」
自分の場所を伝えるように、小さなつぼ浦に向けて、ひらひらと手を振った。
「あぁ…?見下すとはアオセンいい身分スね…」
つぼ浦が上を見上げれば、いつもの鬼のマスクが目に入る。
距離が遠く、はっきりとした姿もマスクで表情も見えない。 だが、電話越しから聞こえる優しい声で、青井の表情を何となく想像する。
「ねぇ……あのさ、俺お前には幸せになって欲しいんだ」
強ばった声。
自分の手で幸せにしたいなんて、口が裂けても言えないことをひた隠しにして、 あの日と変わらない嘘混じりの本音を言う。
「ま、またそれかよ…」
それを聞くと消え入りそうな声でつぼ浦は、ポツリと言った。 青井の場所からは決して聞こえないつぼ浦の小さい声が電話越しでは、はっきりと聞こえる。
「うん、また…」
遠いはずなのに、近いとも感じてしまう距離に、思わず青井の声は震えそうになる。
「お、おれアンタじゃねぇと……アオセンに幸せにしてもらえねぇと……」
青井につられ今思っていることを、つぼ浦は、途切れ途切れに呟いた。
緊張のせいなのか、声が少しだけ上ずっている。
「なにそれ…っ
はっ…笑 プロポーズみたい」
つぼ浦の驚くほど臭いセリフに青井は、思わず吹き出しそうになる。 それが彼の、精一杯の告白だと思うと、胸の奥が急に熱くなる。
応えたくなった。
「そ、そうだぜ、俺……アオセンのこと……」
つぼ浦が何かを言いかけた瞬間…………
「待って、俺に言わせて?」
そう、青井が勢いよく割って入ってくる。
さっきとは違う、はっきりとした青井の声につぼ浦は、びっくりしてしまう。
「は…?」
「俺つぼ浦のこと、この手で幸せにする
お前のことずっと傍で見てたいんだ」
自分が今出せる一番の優しい言葉で、声で一つ一つ言葉を丁寧に紡いでいく。
「つぼ浦、好きだよ
俺と付き合ってください」
鬼のマスクを外し、つぼ浦の方を真っ直ぐ見て確実に目を合わせる。
あの日とは違う、自分の1番言いたかったことを、青井はしっかりと吐き出した。
「…………は…え、?あぁ??アオセンが俺の事…す、すきだって?」
つぼ浦は吐息混じりの声で、隠せていない焦りを慎重に隠そうとする。
そんな間もなく、屋上から真剣に真っ直ぐと大好きな顔がこちらを向いて頷いている。
しっかり目で焼き付けたいはずなのに、夕日を背にした青井が眩しくて、思わず目が眩む。
「うん、好きだよ。」
愛おしそうにそう言うと、ぷつんと会話が途切れたように、電話越しのつぼ浦は黙り込んでしまった。
下に居るつぼ浦を見れば、足が地面にくっついたみたいにその場に立って動かなくなっていた。
「…………」
こんなにも驚くのか。
想像より、自分は相手に想われていたのかと、無意識に空いた口が塞がらなくなる。
「今そっち行くから、待ってて笑」
今度はもっと近い距離で……
その瞬間、青井は急いで屋上を後にして、階段を駆け下りた。
警察署を出たその先。
駐車場で足をバタつかせ顔を真っ赤にして、慌ただしく動くつぼ浦と目が合った。
(あー、ほんとに)
可愛いなコイツ。
こちらの話は完結になります
♡、コメント等、本当に嬉しいです
🟦🏺、📡💊が大大大好きなので、また新しいものを書こうと考えています
投稿を初めてから1ヶ月ほど経ちますが、今後もよろしくお願いします
コメント
2件

本当に書き方大好きです!!🫶🫶 お上手すぎます〜!!✨✨✨ これからも応援してます!💕