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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第109話 - 第109話 【柔道部廃部の真実】大槻の暴力と奪われた青春!影の帝王の魂の叫びが最強の武器となる
49
3,110文字
2026年06月17日
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テラーノベル
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#主人公最強
ウサギ様
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麗太
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窓の外、冬の京都がガラスに散っている。最上階の静寂を切り裂くように、轟木剛造が低く口を開いた。
「二年前の七月。俺は高等部の一年だった。柔道部一人目の強化指定選手として奨学金で入学していた」
澄玲がうなずく。「続けて」
ミラー:「来たな。お前がスキャンで見た傷痕の、本人による証言だ」
奏:「ああ。データじゃない。魂の生の叫びだ。一言一句、聞き漏らさない」
「その日、一年六組の体育はバスケだった。うちのクラスに池松秀明ってやつがいた――運動が苦手なやつでな」
「そんな俺らのクラスの体育担当教諭は、大槻理人」
「池松が10回連続でレイアップ外した瞬間だ。大槻のスイッチが入ってしまった」
轟木は、掌をゆっくり握って見せる。
「『走れ』『吐いても走れ』大槻は、池松を倒れるまで走らせた。で、床に崩れた池松を――無理やり立たせて平手打ちだ。『甘ったれるな!』ってな。体育館中が凍りついた」
轟木の、その血気盛んな一年生の魂が、初めてこの学園の理不尽という名の巨大な壁を認識した瞬間だった。
「その折檻はしばらく続いた。俺にはどうみてもただのイジメにしか見えなかったんだ」
坂元が小さく舌打ちした。
「あの時の空気、覚えてるぜ。衝撃で誰も声を出せなかった」
ミラー:「七年前の三上卓哉。二年前の轟木と池松。そして、ついこの間のお前の体育の授業。あの男、やっていることが何も変わっていないな」
奏:「ああ。最低のクズだ」
澄玲は静かに先を促した。彼女はただの同情で聞いているのではない。証言の一つ一つを確認しているのだ。
「あなたが止めに入ったのね?」
「そうだ。見てられなかった俺は一歩、前に出た。『先生、それは指導じゃない。休ませるべきだ』と」
「大槻は俺にまでキレだした。何だ!その反抗的な態度は!ってな」
「そして奴はいきなり俺の顔面に拳を入れてきた。乾いた音が鳴る。二発、三発。でも俺は倒れねえ。俺は奴をにらみつけたまま、目を逸らさなかった」
ミラー:「はっ。かっこいいじゃないか。絶対権力にたった一人で盾突く一年坊主。いい絵だ」
奏:「影の番長の本質って、やっぱり芯が通ってるよな」
轟木は一度、言葉を切った。殴られた頬の熱が蘇ってくるようだった。
「俺は完全に頭にきた。だが殴り返したら俺の負けだ。だから待った。一週間後の柔道の授業をな。そのころ柔道を専門とする体育教師はいなかった。柔道部の監督は、外部からの出向者、部活のみを任されていた。だから大槻が柔道の授業も担当していたんだ」
彼のその若く、そしてあまりにもまっすぐな、正義感は最も危険な復讐の形を選んだ。
「来週、正々堂々、ルールの範囲内でやり返す。今思えば、歪んだ正義だった」
「翌週の体育の授業、俺は模範役に手を挙げた。そして大槻を挑発してやった。やつはまんまと勝負を挑んできた」
「最初は教科書通りだ。大外刈。次に内股。払腰。フォームは完璧、あえて受け身の取れない危険な角度で投げてやった。奴は無様に床を転がってたぜ」
「たぶん十回近く、連続で投げ続けた。受け身が取れねえ大槻は、肩と腰をやった。もちろんルールの範囲内だ。だが見え方は――生徒による報復・反逆だった」
俺は、彼のそのあまりにもクレバーな、復讐の手口に内心で舌を巻いた。
「面白い。正々堂々とルールの中でやり返したと」
「そして俺は完全に大槻から、目の敵にされることになった」
坂元の拳が、ギリと音を立てて握りしめられた。
「完全な逆恨みってやつだ」
柔道という正々堂々とした、戦場から轟木が最も苦手とする、汚い「政治」の土俵へと引きずり込まれていく、その記憶が語られる。
「10年以上前から、今もずっとバスケ部は学園の顔だ。そしてその最大の功労者が大槻なのは誰もが認めるとこだった。確実に結果を出す大槻には発言力があった」
「大槻は権力を使った。この件を理事会で騒ぎ立てたんだ。『生徒による危険な報復行為』で俺の退学を上申。PTA、風紀、バスケ部OB全てあいつの味方についた。池松も内申書を人質に取られ、黙っちまった。俺は孤立した」
「理事会では揉めに揉めたらしい。俺はせっかく入学できたこの名門校には残りたかった。必死に嘆願した。親を悲しませるわけにはいかない」
澄玲は静かに、そして冷たく相槌を打った。
「学園という組織が持つ、構造的な『悪』。その全てがそこに凝縮されているわね」
「結局、柔道部を廃部にすることで、騒動は落ち着くことになった。それが俺がこの学校に残るための条件だった。奨学生にしか過ぎない俺が何も逆らえるわけない。俺は誓約書にサインした。この件を外部に一切漏らさないってな」
「柔道部の強化指定選手の俺が、柔道部が廃部になったのに、隠蔽を条件に学園に残れることになった。皮肉な話だ。俺は完全に目標を失った」
坂元は、吐き捨てるように言った。その声にはどうしようもない無力感が滲んでいた。
「大槻は、くだらない復讐のためだけに、柔道部を廃部にまで追いやった。やつはさぞ満足していただろうよ」
轟木は自嘲するように鼻で笑った。彼の二年間の青春の全てを奪った男。その男が英雄として称えられたその結末。
「俺の柔道はあの日に終わった。そして大槻は専門外の柔道でも熱心な指導をする理想の体育教師だなんて評価を上げやがった。ふざけた話だろ」
轟木は全てを語り終えた。
社長室には重い沈黙が落ちる。
澄玲は、その全ての証言を聞き終えると、満足げに頷いた。彼女のその美しい顔には、同情の色はない。ただ完璧な駒が、手に入ったことへの喜悦だけがあった。
「バスケ部の活動外/違法手段なしの条件、全部クリア。使えるネタね」
ミラー:「これが影の帝王の原点。そしてお前が手にした最高の弾丸だ」
奏:「俺は、轟木のことを改めて見直したよ」
ミラー:「そうだな。だからあいつはあんなに一年坊主(長峯)のことを気にかけていたのか」
奏:「あいつは、長峯に二年前の夢を、果たせなかった自分自身の姿を重ねていたんだ。轟木が潰されたように、長峯も潰されるわけにはいかないと」
ミラー:「とにかく、これで証拠も動機も役者も全て揃いそうだな」
澄玲は、指を一本ずつ折りながら、俺たちの手持ちの武器を確認し始めた。
「証拠を確認しましょう。ひとつ、保健室記録。ふたつ、轟木先輩本人の証言。みっつ、誓約書(沈黙条項付き)の写し。よっつ、池松秀明の証言――これらは揃いそう?」
轟木は頷いた。
「池松には俺から話す。あいつは今でも目を逸らして生きてる。けど俺が隣にいれば立てるはずだ」
澄玲が即断する。
「素晴らしいわ。保健室記録の照会は、私が何とかするわ。その場にいた他の生徒の証言も取れそうね」
轟木が俺に視線を刺す。
「音無約束どおり潰せそうか。大槻を」
俺は短くはっきりと答えた。
「潰します。正義はこちらにあります」
その俺の力強い宣言に、唯一異を唱えたのは坂元だった。彼のその懸念は当然のものだ。
「待てよ。澄玲さん。告発した場合の、剛造の退学処分はどうなる?こいつは理事会と誓約書まで交わしている」
だがゲームマスターは、そのリスクすらもすでに計算済みだった。彼女は、絶対的な自信を持って俺たちに、その勝利への道筋を示した。
「安心して。そのために私はここまで待ち続けたの。少しは学園に対して影響力を行使できる立場になったわ。抑え込めないにしても、問題を先送りにはできる。理事会では退学処分について、延々と議論させておくわ。今は12月、あなたは3年生、先送りにしている間に卒業してしまいましょう。そのうち、あなたの退学処分問題なんて風化していくでしょう」
轟木剛造が奪われた二年間。
その喪失を、今度は俺たちの「武器」に変える番だ。
コメント
1件
轟木先輩の過去、重すぎて読んでて胸がギュッてなった……。大槻の暴力に耐えて、ルールの範囲内で正々堂々と反撃した姿、本当にかっこよかった。でもその結果、柔道部を廃部にされて、無理やり沈黙させられたってエピソード、切なすぎるよ。奪われた2年間の青春を、今度はシオンたちが武器にするって展開、めっちゃアツいし続きが気になる🌙