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於:奥の院 亜漕の部屋
「おはよう」「おはよう。早いのね!」亜漕のもとに、金隠氏がやって来た。二人は夫婦で有る。
「今日は、あんたが言ってた部屋の内装をやって、あと簡易トイレを持って来たよ。」「ありがとう!」「いつまでいるのかい?」「もうアタシは死んだ事になっちゃってるし、もうずっとここでいいわ。」「行きたいところとか無いのかい?」金隠氏は聞いた。「別に無いし、戸籍だって幻覚寺の門跡になった時に、無くなったのと同じよ…」「まあそれは私達の宗教家はみんな同じだけどナ…」
満腹寺を大本山とする、この新興仏教は何でも同系列の寺通しで動く。海外旅行は無いが、行きたければ、海外の寺に視察を申し込み、集団の旅行扱いで出かける。東南アジア、西アジア、中東、近隣ならモンゴル、中国辺りであった。大本山への交換留学生もこの国々からやって来る。
「え〜、ここの仏教が何故新興宗教かわかりますか?」皆、門跡になった時に聞かれる。「同じ経でも、日本語の経はインド、ネパールでは通じません。それで交換留学生を受け入れてコミュニケーションを図る訳です。祈りの時間には色んな言語の経が読まれます。それで良いんですよ。日本語で学ば無いとなんて言ってると、仏教は日本で興こった訳では有りませんから、入信者も減ってしまいますから。」満腹寺大僧正 運功師の弁。
「とにかく、あたし達は運功のスケベ坊主のフトコロが痛む事を考えなきゃ。搾取されっぱなしよ。」と亜漕は金隠氏に言った。「それからね、幻覚寺に行った時に、私の話題は出さないで。山富士さんにも言って有るから…」
亜漕は何か企んでいるようだった。
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saza
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#掃除
月城 蓮桜音
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水羽
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コメント
1件
「おはよう」から始まる夫婦の会話、沁みました。死んだことにされているのに「ずっとここでいい」と答える亜漕さんの静かな諦めと、それを咎めず聞く金隠氏の距離感が好きです。経が日本語だけでは通じないという新興仏教の理屈も新鮮でした。最後の「何か企んでいる」で、穏やかな朝にすっと影が差すのが巧い。その企みがどこへ向かうのか、続きを静かに待っています🌷