「ゾム、どうしたんやそれ」
昼休み。
購買から戻ってきたゾムは、何故かニャオハの首根っこを摘んでいた。
「拾った」
「はぁ?」
鬱先生は意味がわからず首を傾げる。
「何か知らんけど、購買行ったらこいつにめっちゃ威嚇されてん。しかもめっちゃ攻撃表示で飛びついてくるし、無視しても追いかけてくるから捕獲した」
「に”ゃぁぁぁぁぁッ!!!!」
首根っこを摘まれながらも、ゾムを睨みつけ引っ掻こうとするニャオハ。
しかし届かずその爪は空を切るばかり。
「…何かしたんちゃうの」
「何もしてへんよ。初めて見たし」
「じゃあ何でこんな嫌われてんの」
「知らん」
鬱先生は毛を逆立て威嚇するニャオハを見つめる。
「どうすんのその子」
「大先生いる?」
「いや、いる?って言われてもなぁ…」
「俺にだけかもしれへんで、こんな威嚇すんの」
ほら、とゾムはニャオハを鬱先生に渡す。
恐る恐る手を近づけ、抱きかかえてみた。
ニャオハは腕の中にすっぽり収まり、抱き抱えられたままゾムを威嚇し続けていた。
「ほら、大丈夫やん」
「…いよいよ何でお前が嫌われてんのか謎なんやが」
「えー、俺なんかしたっけ?」
忘れてるだけちゃう?と話す鬱先生の背後が急速に冷たくなる。
ゾクッと背筋を震わせていると、後ろからユキメノコに抱きしめられた。
「メノ…?」
「あ、ユキメノコ、ちゃうねんこれは、あ…」
ユキメノコの嫉妬により、鬱先生は凍った。
ニャオハは腕から抜け出し、ゾムの座っていた席の机の上に降り立つ。
「に”ぁぁぁぁッ!!!」
「…何でそんな絡んでくるんや、お前」
ニャオハは毛を逆立て、爪を伸ばしゾムに飛びかかる。
サッと避け、ゾムはモンスターボールを取り出した。
軽く投げたボールから出てきたのは、オオカミポケモンのルガルガン(まよなかのすがた)。
ルガルガンはゾムに襲い掛かろうとするニャオハをひょいっと摘み上げた。
「に”ぁぁあぁぁ!!!」
「もう授業始まるから、大人しくしとけ」
ルガルガンはクンクンとニャオハの匂いを嗅ぐ。
自分より何倍も大きいルガルガンに物怖じせず、ニャオハは威嚇し続ける。
「ゾムー、大先生来てなーい?」
何も知らないシャオロンがやって来た。
「そこに凍っとるから回収してってくれ」
「何で凍っとるん?」
「さぁ、日頃の行いちゃう?」
なるほど、と納得し、シャオロンは氷漬けの鬱先生を滑らせながら運んでいった。
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