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《空き教室》
学校終わりに、リッパー先生にとある空き教室に呼ばれた部活部一行。
「ああ、皆さん集まりましたね。」
「先生、一体どうしました?」
「部室を紹介しておきたくて」
部室。
つまり―――
「ここが部室なんですね?」
「あ、いえいえ。違うんです」
「違うんかーい」
流れるようにツッコむイタカさん。
「あら、意外なとこからツッコミが」
同感。
「先生、じゃあ僕らの部室はどこなんでしょうか。」
「ナザニールくん、良い質問です。」
・・・逆に聞かれなかったらどうする気だったんだろう。()
「みなさん、こちらです」
僕らはリッパー先生の後をついていく。
「!?え、嘘でしょ」
部室を見て一番最初に声を上げたのはイタカさんだった。
理由は部室を見れば分かった。
「でっっっっっっっっっっっっっかァ!?」
ほんとにでかい。
お世辞とかじゃない。
体育館くらい有るよね?ここ。
「こんな所有ったんですね・・・」
「ここはもともと体育館として使われていたんです。二階に上がれば部屋もありますし、何やら規模がデカくなりそうな部活部とやらにぴったりかと。」
何だこの人気が利きすぎてるだろ
「「「「「[ありがとうございます!]」」」」」
まあ・・・と言って先生は続けた。
「この規模の部室が必要ないと思えば・・・移動になりますけどねぇ・・・」
「え、、それ困る、、、ちょうどいいのに・・・」
「い〜た〜か〜???」
「兄さん・・・なんでもないってば・・・」
この人絶対ここでサボろうとしたな?
部室はサボるために有るんじゃないんだけどな・・・
「イタカさん、ここでサボってはいけませんよ?」
「なんでみんなして僕がここでサボろうとしてたってわかるの!!?」
『[ちょうどいいって言う単語とこれまでの留年歴から考察した/ました]』
「君たち探偵に向いてると思うよ」
「探偵じゃなくてもわかるよ」
なぜかわちゃわちゃとなっていると、んんっ、と先生が咳払い一つ。
「ということで、部長にはこれから二回で部費などの説明を行うので、君たちは下で暇つぶしにバスケとかしてていいですよ。」
「良いんだ」
「ここは部活部の部室ですからね」
理屈になってない・・・
「そっかー。じゃ、みんな、バスケしよー!」
「え、えぇ、、、僕は、、、ちょっと、、、見学で、、、」
[できれば僕も・・・]
「私はやりますよー!!」
「僕も!」
盛り上がってる所悪いが、
「副部長は来ないの?」
と聞いてみた。
「え〜?行かなきゃ駄目なのかい?」
副部長、つまりルカはあからさまに嫌そうな顔をしている。
「別にいいですけどね?来なくても。エドガーくん、記憶力良いみたいですし。」
なんで知ってるんだ。と思ったと同時にこの間のやった記憶力テストを思い出した。
そういえばそんなんやったな。
意味があるかはしらんけど。
「じゃあ、別に来なくていいけど・・・」
そう言うと、ルカは
「じゃあ行かない」
と返した。
僕は先生と二階への階段を登り始めた。
ノートンSide
「さて、始めよっか!」
「あんまり強くやるなよ?」
「わかってるって」
強く?え?バスケするだけだよね?
「それじゃあ行くよ〜?」
「えっ、あ、は」
そこまで言ったところでボールが――
「いぃぃぃ!!!!?????」
・・・・くっそ早いボールが飛んできた。
「おっもい、、痛ったい、、はっやい・・・」
「だ、大丈夫!?」
ナザニールさんが走ってきた。
「もう!だからあんまり強くやるなって言っただろ!」
「ごめん・・・加減がわかんなくて・・・」
「だからバスケ部追い出されたんだろ?駄目なところは改善していかないと」
「わかってるよ」
「ちゃんと分かってる?僕お前が練習してる所見たこと無いぞ?」
「ちゃんとやってるから」
「じゃあちょっと此方に投げてみてよ」
「いいよ?」
そう言うとイタカさんはナザニールさんの居る辺りにボールを投げた。
またしても瞬速だ。
早い。当たったら絶対に痛いやつだ。
そんなことを思っていると、ナザニールさんが口を開いた。
「・・・分かってないだろ」
「・・・」
「おっと・・・これはまずい・・・」
ルカが小声で僕らに耳打ちした。
「私達は離れていたほうが良さそうだね。隅っこにでもよっておこう。行くよ。」
そう言うとルカが僕らを隅っこの、実況用の小部屋に――てか何で実況用の小部屋が有るんだよ――招いた。
「一応窓は開けておこう。割れたら大変だからね。」
と、ルカは何かを見通したかのように言った。
独り言なのか、何なのか。
「・・・わかってる」
「じゃあ今のは何?今の豪速球は何?」
「・・・」
険しい顔のナザニールさんと、さっきまでのニヤけヅラが引っ込んで、表情が無いイタカさん。
もう一度見直して分かった。
この兄弟、多分本気で喧嘩したらやばいことになる。
僕はスクールカバンから磁石を取り出して、いつでもぶん投げられるように警戒していた。
ルカも、口は笑っているが、目は笑っていない。
警戒している。若干手が前に出ている。
準備している。いつでも感電させられるように。
ビクターも携帯を使って、いつものようにウィックにこちらへ来るよういつものメッセージ(?)を送っている。
・・・・能力が能力なので、コンクリに潜ろうとしてるアンドルーは置いといて、僕はもう一度二人を見た。
「ねぇ、何か聞いてるの。」
「・・・まだ・・・調整が効くかはムラがあって・・・40%位の確率でしか調整が効かない・・・」
「それじゃだめでしょ!?”また”誰かが怪我したらどうするの?!」
「わかってるよ!!もう!!」
やっべ、本格的に喧嘩になったぞ・・・
「練習ちょっとやってみてよ。調整効かせてみてよ」
「効かせてやるよ」
ふたりとも、口調はさっきより落ち着いてるし、表情もさっきよりは真顔になった。
けど、態度の裏で、しっかりと怒っているのが分かった。
エドガーSide
「で、部費は一ヶ月4000円以内に収めてください。」
「はい」
部費、月4000円。
覚えた。
「で―――」
その後も長々と色々言われた。
「あぁ、そうそう。」
先生が何かを思い出したようで、言った。
「あの兄弟は、あんまり怒らせすぎないほうが良いですよ」
「わかりました」
ノエル兄弟、怒らせすぎないほうが・・・
「!・・・・!」
もう一度反芻して、きちんと記憶しようとした時、したから何やら声が聞こえた。
「・・・何の騒ぎ?」
僕は眉根を寄せる。
あいつらは騒いでないと気がすまないわけ?
「へあぁ・・・また喧嘩ですかねぇ・・・」
そう言って先生は席を立つ。
喧嘩?もしかして、やばい感じ?
僕は先生の後をついて行った。
・・・・バスケだよね?
イタカさんがバスケットボールを壁打ちしている(なんで?)。
壁に当たるたびに鈍い音がして、ナザニールさんからの注意が飛ぶ。
「え、は?ん?」
なに?なに?なに?
どんな状況?てかあいつらいなくね?
何事だとルカたちに聞こうと鞄からスマホを取り出した。
「ん?」
もうすでにあちらから連絡が来ていた。
なになに?
【部活部グループラ◯ン】
『ルカ:エドガーくん、2階から降りないほうが良い。さもなければ剛速球バスケットボールの餌食になるよ』
・・・はい?
僕は返信した。
『エドガー:はい?どういうこと?何が起こってんの?剛速球バスケットボールの餌食って何?ただバスケするだけじゃないの?てかなんで君たち居ないの?どこにいんの?』
『ノートン:僕らは今実況用の部屋っぽいとこに避難してる』
・・・避難?へ?
『エドガー:避難って何?何が起きてんの?』
『アンドルー:力の加減の効かせ方の練習・・・・と言う名の兄弟喧嘩・・・』
『エドガー:え?』
『ビクター:とにかく!危険なので上に居てください!』
『エドガー:よく分からんけど分かった。』
僕はスマホから顔を上げて、先生に行った。
「下降りないほうが良いっぽいですよ」
「・・・ですよね」
僕は先生と顔を見合わせ、静かに兄弟喧嘩を見ていた。