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「仕方ないじゃないですか。それに、私の創作意欲を湧かせたのも彼なんですから」
私の口から発せられるさらなる事実に奥様は驚きの連続のようです。
「あ、そうそう、私はまだ残している仕事があったんだった」
そう言って、奥様は席を立ちました。
「終わっていなかったのですか」
「私は恋バナなんて性に合わないから逃げる言い訳だ」
私の顔を一切見ず、奥様はそう言いました。
「奥様、本音と建前が逆になってます」
「あ」
奥様も随分と可愛らしい所があるようです。
「では、いってらっしゃいませ」
私はそう言って、優雅にお辞儀をして奥様は送りました。
さて、これから私はアトリエに籠って絵を描きましょうかね。
そう思って軽快な足取りでアトリエへと向かいます。
「お姉様、これからどこへ行くのですか?」
相変わらず無表情のままの炎加が私にそう尋ねてきました。
「これからアトリエに行く所です。ついて来ないで下さいね」
私はそう言い残し、英厳の絵が沢山飾られているアトリエに向かいました。
そんなふうに過ごしていて、どれ程時が経ったのでしょうか。