君がいなけりゃ、意味がない

「お。ストライキせず？えらいじゃん、神崎くん」

「……おはようございます。寝不足ではある」

「え。私、”ファイトいっぱつ”持ってるよ。飲む？」

「いや、もう元気出たんでええです」

「あ、そうだ。

さっき見たけど、来月は［BBQ］らしいよ」

「そうなん？……って。

［海岸清掃］て書いてません？」

「うん。海岸清掃の後、BBQだって」

「会社的には、清掃のがメインイベントでしょ。

先輩、食べ物のことしか頭にないやん」

「『”な”いやん』……。『な”い”やん』？」

「…………え、何？」

「いやー。麗子ちゃんの関西弁、久しぶりに聞いたけど……

可愛いなぁって思ってさぁ。私にも教えてよ」

「絶対イヤや。先輩はそのままが一番ですよ」

「関西弁って、『めっちゃええなぁ』」

「うわぁ！あかんて。やめてください、エセ関西弁。

『めっちゃえぇ』のアクセントは、頭高やなくて中高やの」

「誰？」

「苗字の話やないです」

「『めっちゃえぇなぁ』？」

「うわぁ、それやと尾高……ってやめよ。

『総評：不毛』」

「ちょっと。私の真似しないで」

「ほら、朝礼始まりますよ」