神風の一撃が冠者に命中し、一瞬静寂が訪れる。だが、その静けさは束の間だった。突然、冠者の体が赤く発光し始め、周囲の空気が不穏に震え出す。
「何だ…これは?」神風は一瞬の違和感を感じ取る。
「貴様は理解していない…」冠者はかすかに笑い、体中から湧き上がるエネルギーを放出し始めた。「私の力は爆発の異能。その一撃など、私にとっては始まりに過ぎん。」
冠者の体全体から炎のような赤い光が巻き起こり、瞬時に周囲を包み込んだ。彼の異能は、物理的なダメージを受けるたびにエネルギーが蓄積し、それを爆発として放出する力だった。
「くっ、まずい…!」神風は冠者の異常な力に気づき、距離を取ろうとする。
「逃げられると思うか?」冠者はゆっくりと手をかざし、地面を揺らすように巨大な爆発を引き起こした。周囲の建物が次々と崩れ、空には爆風の衝撃波が広がっていく。
「この力は…想像以上だ!」総理は爆風に巻き込まれないように防御術を展開しながら呟いた。「このままでは、周囲の住民にも甚大な被害が出るぞ!」
「分かってる!だが、奴を止めなければ、さらに大きな爆発が起こる!」神風は再び前線に立ち、冠者に向けて攻撃を仕掛ける。
神風は冠者の爆発を避けつつ、慎重に戦う。しかし、冠者の力は増幅し続けていた。攻撃するたびに、そのエネルギーが冠者の体内に蓄積されていく。
「これはまずいな…一撃で仕留めるしかないか…」神風は内心で決断を下す。冠者の力を封じるためには、彼が爆発を起こす前に完全に倒す必要があった。
神風は全力を込めた術式を発動させた。「これが最後だ、冠者!」
彼は空中で術式を描き、全エネルギーを込めた一撃を冠者に向けて放った。その攻撃は、冠者の体に直撃し、爆発の光が一瞬空を埋め尽くす。
「ふはは…!だが、この力、制御できぬ!」冠者は最後の瞬間に笑いながら、自らの爆発の力を解き放った。
爆発は冠者の体を包み込み、巨大な閃光が街全体を照らした。神風と総理は防御術を全力で展開し、その衝撃に耐えた。
数秒後、静寂が戻った。冠者の姿は跡形もなく消え、ただ瓦礫と焼け焦げた地面だけが残されていた。
「冠者は…消えたか?」神風は荒い息をつきながら、辺りを見回した。
「だが、これが終わりではない。」総理は険しい表情で言った。「冠者の力はただの序章に過ぎない。他にも同じ力を持つ者が現れるかもしれん。」