この作品は某戦争屋の詐欺師様、外資系様、味方最大の脅威様の名前をお借りした二次創作作品になります。
ボーイズラブですが本人様方が同性愛者という訳では一切ございませんのでご了承ください。
なお性的描写が含まれる場合がございますのでご注意ください。
この世には、”第2の性”が存在している。
それは主に3種あり、α、β、Ωの3つに分けられる。αは1番少ない性で、全体的に優秀な人が多い。βは1番多い性で、特に第2の性に影響を受けにくい。Ωは弱い人が多い。そして1ヶ月に1度程の周期で”発情期”がやってくる。その発情期でΩはαに効くフェロモンを振りまくんだ。そして発情期中αがΩの首筋に食いつくと”番”が成立する。番になるとどうなるのかというと、そのΩのフェロモンは番のαにしか効かなくなる。そしてΩの発情期が番のαとの行為でしか解消されなくなる。α側には特に利益も不利益もない。
この話はそんな第2の性がある世界での話だ。
「今日も学校か…」
俺はそう項垂れて玄関扉の前でがくりと肩を落とす。大きな溜息を着くと肩にかけたスクールバッグを持ち直して歩き出した。すると家の門を潜ったところで親友と目が合う。
「おはようチーノ」
「おはよう、ショッピ」
互いに笑いあって、当然の様に並んで歩き出す。
「お前そろそろヒート、近いんちゃう?」
「ばっ、!お前声でかいねん!」
朝で人通りが少なかったから良かったものの、もしこれで誰か来てたら確実に変な目で見られるところだ。
「誰もおらんからええやん」
「そういう問題ちゃうわ!」
そう俺が声を荒らげて言うも、ショッピには響いていない様だ。
「で、実際どうなん」
「…まぁ、そうなんとちゃうの…。今日朝から気ぃ悪いねんな」
するとやろな、と軽く帰ってきた。
「お前死にそうな顔してっから。具合悪なったら言えよ。俺の薬やるから」
「ええのん?まぁ…酷くなったら言うわ」
「ん。無理すんなよ」
すると丁度学校の校門が見えてきたので、ここで会話は一旦の終わりとなった。
靴箱で靴を履き替えてから各々の教室へ向かう。ドアを開けるとクラスメイトから挨拶をされるのでおはようと返して自分の席へと向かった。鞄を机の横に掛けて、そしてぐったりと頭を垂れる。さっき薬を貰っておけば良かったかもしれない。俺はそこそこ顔は立つほうだから、クラスメイトから口々に「大丈夫?」だの「保健室行く?」だの声をかけらたが怠いだけだから大丈夫だと答え、話を終わらせた。
席の近くだった友人にも心配されるが、大丈夫と笑ってみせる。辛くはあるが、この調子ならば本当に発情期が来るのは明日だろうから、今日耐えれば良い。明日学校を休めば大丈夫だ。
と、そう考えていたのが間違いだったか…時間が経つにつれ体調不良は悪化してしまう。前の授業が体育だった為であろうが体温も少し上がっている気がする。友人たちに先に行ってくれと言い俺は更衣室に残った。収まってくれとただ願うが俺の願いは届かず悪化悪化で遂に部屋の隅に蹲ってしまった。
「あか、あかん…これ……」
誰かに助けて貰わないとだめだ。この状態では1人で動くことすらままならない。体温が上昇していくのを感じる。だめだだめだだめだだめだだめだだめだ。俺のフェロモンは結構強いから、下手をすれば部屋の外まで漏れてしまう。部屋にαが入ってきた暁には…もう…。ゾッとした。そんな事あっちゃいけない。俺と番だなんて、だめだ。
するとガラッと音がしてドアが開けられた。最悪だ。
「う”ぁ…ッ!?なんや……ッこの匂い」
入ってきたのは同じクラスのαの、ゾムさんだった。きっと更衣室に忘れ物でもしたのだろう。最悪だ。「や、ぁ……ッ!こっち、きちゃ…っ」
「このフェロモン…チーノの?」
「ちがぅ……っ!ちがうからっ、来ないで…!」
そう必死に否定するもゾムには届いていない様で。ゾムは俺に近付いてきた。
「だめだめッゾムさんっだめ、!」
「分かってる…そんな、事」
俺だってダメだダメだと言っても体はゾムに縋りつこうとしていた。ゾムだってそうなのだろう。本能に刻み込まれた習性には抗えない。互いの息遣いが感じられるほどすぐ近く、ゾムさんは垂れる唾液を拭い続けていた。怖かった。ゾムさんが少し理性に負けてしまえば、と。でも自分は動けなくて、どうにも出来なくて、ただ掴まれた腕をそのままに震えることしか出来なかった。
静寂の中チャイムの音が鳴り、また静かになる。とてつもない緊張感と乾き。欲しい、欲しい、ゾムが。ゾムに噛まれれば自分は楽になれる。でも、それじゃダメだ。ゾムにも俺にも、この先の人生がある。こんな所で番になっちゃだめだ。
だめだ…けど…。もう、これ以上我慢出来ない。ゾムはこちらを見て、俺の頬を撫でる。それに少しだけ快感を得てしまって体を震わせた。
「だめや……ッぞむさん、だめだから、離れてよぉ」
「チーノ…」
もう駄目だった。互いに理性の無い顔をしているのが瞳に映っていた。
そうだ、αはΩと番っても別のΩとも番えるのだ。この状況下、ゾムにとってのデメリットが…
「少な…すぎる…」その呟きと、ゾムの理性が途切れるのはほぼ同時だった。ガっと勢い任せに噛み付かれた先には大きな幸福感と快楽が待っていた。
「ッあ゛ぁッッ……♡♡」
俺を噛んだのゾムの口元は薄らと赤くなっていて。嗚呼、番になってしまったんだなと、何処か他人事のように思ってしまった。
「あ……、俺……っ今…」
ゾムが瞳を見開く。こんな顔するんだと初めて知った。そして、とても申し訳なくなった。
「ごめん、ゾムさん…ごめん、なさい…」
震える体もそこそこに俺は地べたに頭をつけた。唖然とするゾムに向けて、頭を下げた。
「……ごめっなさッごめんなさい…!」
涙腺が馬鹿になったのか俺は大粒の涙を流して泣きじゃくる。馬鹿みたいに、泣きながら地べたに頭を擦りつけた。
「俺の事、気にしなくていいから、他のΩと番って…下さい、ごめんなさい…」
溢れる感情が抑えられなかった。ゾムの事が申し訳なくて、俺のせいでゾムの人生が滅茶苦茶になってしまうのが苦しくて、申し訳なくて堪らなくて。
謝罪ばかりを繰り返すもゾムは俺に向けて手を差し出し、言う。
「謝らんで、お前が悪い訳やないんやから…」
その顔はとても悔しそうで、苦い顔だ。
「俺が、噛まなければ…良かったんや」
互いに謝罪の言葉を並べるこの空間を一言で表すとすればまさに地獄、と言えただろう。それくらいの修羅場だったのだ。
俺からすれば数時間ほど時が経ったようにも思ったが、実際はそこまで時間は過ぎていなかった。俺とゾムを探しに来た教師によって修羅場は1度幕を閉じることとなったのだ。
「ゾムとチーノが番らしい」と、そんなどこからたったのか分からない噂をショッピが嗅ぎつけたのはそれから2年ほど経った頃だ。俺はその話は無かったことにしようと思っていて、誰にも言っていなかった。十中八九ゾムが漏らした種だ。別にゾムを責める気持ちは湧いてこなかった。「その噂は本当なのか」とショッピに聞かれた俺は首を縦に振った。
「そっか、そうか……」
「なに?なんかあるん?」と俺がそう問うが彼は首を横に振る。
「いや……何もあらへん」
「ふーん」
俺とゾムはたまに会うようになっていた。学校でも会えば軽く挨拶するし、放課後少し会うこともあった。それなりの関係は築けていたはずだ。俺に発情期が来れば、ゾムさんが何とかしてくれた。けど、やっぱり無理になってしまった関係で時間とともに気まずさばかり積み上がって行った。そして、その関係はずっとずっと続いた。高校卒業後も義務みたいに会っては世間話をしてぎこちなくも笑いあって、お互い働きながらもたまの休日には会って。けど、申し訳なくなって俺が謝る度「ええよ、別に」って彼は言う。何も良くない。けど俺に出来る事は今も昔も何も無い。彼が俺の申し出を断る限り。
「どうして、他のΩと一緒にならないんですか、ロボロさんとか、エミさんとか、もっとゾムさんに合う人はいるのに」
俺がそう問うと、彼は少しだけ傷ついた顔を浮かべた。何かを迷っている様だった。
「お前はどうして自分をそんなに酷く扱えるんだ」と言われてしまった。「俺は、別に自分を酷く扱ってなんてない」とそう言うと彼は更に顔を歪ませた。そして溜息を吐く。
「なぁチーノ、お前は俺の事、好きやないやろ…そんなに尽くさなくてもええねん。そんなに背負わなくていい。」
彼は大きく息を吸い、また吐いてから言う。
「俺はなチーノ、お前と番になったこと後悔してへんねん」と。
「え?」と思わず声が出るが、彼は続けた。「確かに最初は事故やったけど、でも今は違う。俺はお前の事本気で好きや」「何を言ってるんだ」と言いかけて口を噤む。そしてゾムは俺の事を真っ直ぐ見つめて、言った。
「お前の事が好きやから、今までずっと大切に扱ってきたつもりなんや。チーノが俺の事好きじゃないなんて分かってるけど…でも好きなんや」
だから、と彼は続ける。
「お前が無理して自分を酷く扱う必要なんてないんやで。俺はお前の事大切に思ってるし、そんなに気に病むことはないねんから」
2人で暮らすリビングに、ゾムの言葉が妙に響いた気がした。そして自分の体温もむん、と上がる。
「チーノは、俺の事、嫌い?」
その言葉に驚いて首を振った。
「…俺の事…す、好き?」問われた言葉に、しっかりと頭を回転させて答えを出した。
「………好き。俺ずっと、ゾムの事愛してる」
こんな事を言ったのは初めてだ。こんなこと許されるとは思ってなかったから。けど初めて言ったはずなのに、その言葉がすとんと胸に落ちてくるような感覚がした。何故だろう、何故かこの言葉が出てきて、胸が暖かくなる気がしたんだ。ゾムにどう思われてるか不安で顔を下に向けるとゾムの手が俺の頬を撫でた。
「俺も、大好き」
そうやって言う彼はとても嬉しそうで、幸福そうで。その顔を見てまた涙が出てきた。幸せそうな顔だったから。そんな顔をさせてるのが俺であるなら尚更に。
俺達はどちらからともなく唇を重ね、2人でベッドに腰掛ける。
「いい、やんな…?」どこか不安そうな問にこくりと頷いて見せた。重なり合う身体が妙に暑くて汗ばむ。彼とまた口付けをした。優しく、優しく交わる。愛おしいとでも言わんばかりの熱の篭った瞳が好きになった。
「チーノ、首噛んでいい?」
そう聞かれて静かに首を動かす。
俺の首へ歯を立てる。そして、
「愛してる。チーノ」
と一言添えるんだ。俺もてそれに対しておれもだよ」と答える。
とても長いけど、愛しい夜だった。
なんだろうこの作者はBSS(僕が 先に 好きだった)が好きなんすよね。この作品の場合自分の方が相手を知ってて本当は両思いだったのにー、本能的な力で横取りされるって凄く興奮するじゃないですか。煽り猫様にはーこれから先幸せが待ってるってデータがあるんすよね。
みんなもー、BSS書いて欲しいすね
コメント
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天才すぎるー!!!!ciとzmの関係めっさ好きです!!立場が弱い方が劣等感だったりを抱いていたけどちゃんと愛されてることが分かって自分の気持ちに素直になれる...的な! sypciも両思いだったのか、だからciとzmが番であること知った時微妙な反応だったんですね...「項垂れるsypの背中を摩る短い金髪のα」!!これだけで飯食える!!ガチで好きです!
もう 、 好き だ ぁ 、 !!
BSS最高か、???? え 天才すぎる💞💞💞 てかあの最後の絵のカルマさん描いていいすか、!?!??!どタイプだった。遅くなると思うケド、