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もうこうなったら逃げるしかない。兄さんたちを撒いて、ようやく掴んだチャンス。絶対に逃す訳にはいかない。
見つかった。やっぱりか。こうなれば逃げるが勝ちだ。
逃げて、逃げて、逃げまくる。足を止めたら最後、捕まってしまう。なんとしてもそれは避けなければならない。
あった。出口だ。これでようやく…
いや流石に銃弾撃ってくるってのは聞いてないよ??最後の悪足搔きってヤツかな…
距離はもう2mぐらいにまで迫ってきてる。間に合え。間に合ってほしい!!
出れた!!そして落ちる!!!誰か助けて…この街で誰に出会えるか分からないけど…助けてほしい…!!!!
【一方その頃】
アタシの名前は佐倉杏子。なんだかんだで魔法少女をやっている。そして相変わらずこの風見野の街にはなんの面白みもない。だが今日は出会っちまったんだ。その運命とやらに。そしてアタシの生活が一変する日に。全くもって幸運で、不幸だよな。
『ソイツ』は、道のど真ん中にうつ伏せになってたんだ。そしたらアタシのお人好しの性根が出て、つい声かけちまった。掛けなければ良かったんだけどな。
杏子「うおおおおおおい!!なんだよ!死んだふりか!?」
???「う、う〜ん……」
杏子「おい、大丈夫か?💦怪我とかないか?家はどこだ!!?見送ってやるよ!!」
???「お腹空いた…死にそう……何か食べ物を…」
杏子「あ!?餓死しそうなのか??チッ、今日という日に限って持ってねぇんだよな…」
ポケットを探る。携帯用の軽食を探しているのだ。まぁ今ではメインディッシュなのだが。
あった。一つだけ。これかよ…まぁでもないよりはマシだ。
杏子「おら、グミだ。食いな。」
???「えっ、グミ!!!?」
ソイツは飛び起きた。反応早えぇな。その調子ならもう元気になったくね??
???「うっ…早く頂戴…」
杏子「だから食えっつんてんだろ。」
???「あ、ありがとう。」
(´~`)モグモグ
???「あ〜、やっぱりこのぷにぷにした感触が最高!ありがとう、元気になったよ。」
杏子「なら結構だよ。じゃ、アタシはこれで…」
あ。クソ、こんな時に…
杏子「おいお前、逃げた方がいい。今すぐな。」
???「え、今すぐ!!?」
杏子「ああ、今すぐだ。でないと…」
あ〜あ。遅かったか。コイツごと結界に巻き込んじまった。仕方ない、誰かを守りながらってのは初めてだが…
杏子「おいお前、下がってろ。決してアタシに近づくんじゃねぇぞ。」
???「あ…うん!」
よし。素直で良かったな。取り敢えず、コイツを倒して、後ろのアイツを家に帰らせることが最優先事項だ。
アタシは魔法少女に変身する。なる早で片付けなければならない。
アタシは魔女に突っ込んでいった。
【ショウマside】
???→ショウマ「えっ、君は…?」
ポッピングミゴチゾウ「グミ、グミ」
グミを食べた後、なんか小さくて可愛らしい何かが出てきた。俺にも分からない、初めての体験だ。
その、『何か』は、俺の腹を突っついた。
ショウマ「え、ここに何かあるの??」
ポッピングミゴチゾウ「グミ!」
俺は服を捲って腹を見る。すると赤い何かが付いていた。
思い出した。『ガヴ』だ。グラニュート特有の器官。確か、人間にはない特別な能力があるんだっけ。俺のガヴは、機械みたいな見た目だった。
ポッピングミゴチゾウ「グミ!」
ショウマ「あぁ、分かった。君をここにセットすれば、何かが起きるんだね。よし。何かあったら試してみよう。」
ショウマ「ついでにオレンジ味のグミも試してみよう。うわ〜、美味そう。」
(´~`)モグモグ
ショウマ「うん、見た目通りの美味しさだ。あれ、何か腹が痛い。」
スポン!!
ショウマ「あ、さっきと同じ…じゃない??
君も、さっきの紫色の子と同じ種類の子だね。こっちは橙色だ。」
キッキングミゴチゾウ「グミ!」
ショウマ「よろしくね。
うん?後ろに何か気配が…」
振り返ってみると、この子たちと同じような子が沢山いた。
ショウマ「わぁ、他にも君たちと同じような子が沢山いるんだね!」
これだけいると心強い。
とその時、さっきの女の子が吹っ飛んできた。
杏子「くっ、強えな…だが諦める訳にはいかねぇ。おいお前、何があっても飛び出したりとかするんじゃねぇぞ!」
ショウマ「あっ…うん。分かった。」
杏子「素直で宜しい!たぁッ!!」
あの女の子は、今この時も全力で戦っている。俺にできることは…あっ!!
杏子「ぐはぁッ!!強すぎるだろ…」
ショウマ「ねぇ、この状況、俺ならなんとかできるかもしれない。」
杏子「あぁん!!?バカ言ってんじゃねぇよ!」
ショウマ「それでも、俺は君の力になりたい。だから…ごめんね。」
杏子「おいテメェ!!!」
ガヴの上顎を開ける。そしてさっきの紫色の子をセット。
『グミ!』
上顎を閉じる。すると俺にベルト帯が巻かれた。
『EATグミ!EATグミ!』
ハンドルを回す。俺はお菓子の袋のようなものに包まれ、中には色とりどりのグミのようなものが。
(ガヴ ガヴ ガヴ…)
ショウマ「変身!!」
横のボタンを押した。
すると、あの子の口が開いて…なるほど、本領発揮か。
『ポッピングミ!ジューシー!!』
俺はアーマーを纏いながら倒れて…気づいた時には全く別の姿になっていた。
そうか…俺も『変身』できたのか!!
杏子「お前…その姿って……」
ショウマ→ガヴ「これなら、いけるかもしれない!!!」
俺はその『化物』に向かって飛び込んだ。その正体が何であるかも知らずに。
ガヴ「うおりゃっ!!」
パンチ。効いてる。これなら行ける。
ただ、アッチもやられてばかりではない。怒って飛びかかってくるのは当然の話。
俺のアーマーは弾けてなくなってしまった。グミだからかな?
別のポッピングミゴチゾウ「イートグミ!」
ガヴ「そっか、君を使えばいいんだね。」
『グミ!』『EATグミ!EATグミ!』『ポッピングミ!ジューシー!!』
アーマーが復活した。なるほど、これなら何度でも!
『ポッピングミ!ジューシー!!』
『ポッピングミ!ジューシー!!』
『ポッピングミ!ジューシー!!』
何回修復しただろうか。さっきあんなに沢山いた子たちも、もう10人を切っているような…
ガヴ「そろそろアッチも疲れてきたんじゃないかな。もうダメージは相当与えたんだけど。」
ポッピングミゴチゾウ「チャージミー!!」
ガヴ「えっと…要はこういうこと?」
俺はガヴのハンドルを回した。
『Charge me! Charge me!』
横のボタンを押す。
『ポッピングミ!フィニッシュ!!』
飛び上がってキックの体勢。所謂ライダーキックだ。
見事、必殺技は『化物』に直撃。ソイツは叫び声…とも言うべき不協和音を出して消滅した。
ガヴ「一撃が重かっただけなのかな??」
俺はそう言いながら、変身を解除した。
ガヴ→ショウマ「あっちの女の子も終わったみたいだね。」
女の子は疲労困憊の顔色を浮かべながら近づいてきた。
杏子「全く…手間かけさせんじゃねぇよ!!!」
ショウマ「アハハ、ごめんね。」
杏子「ごめんねで済むか!!!!」
謎の空間が消え去り、変身を解除したその女の子と、俺は平和な会話をしていた。
杏子「……家、どこだよ。」
ショウマ「え、家??」
杏子「ああ。」
ショウマ「家は……家族に追い出されちゃった。」
杏子「ゑ!!?そんなヤツもいんのか!?ってアタシも同じか。」
ショウマ「えっ……?『アタシも同じ』って……?」
杏子「あーいや、気にすんな。だったら、これからちょっと一緒に行動しなくちゃならなくなりそうだな…なんて呼べばいい??」
ショウマ「あー……ショウマ。ショウマでいいよ。」
杏子「そうか。アタシは杏子。佐倉杏子だ。杏子って呼んでくれ。」
ショウマ「分かった。よろしくね杏子。」
杏子「あぁ、よろしくなショウマ。食うかい?」
互いに自己紹介をすると、杏子は急にフレンドリーになり、残りのグミを分けてくれた。
ショウマ「くれるの!?ありがとう!!」
だが平和な時間もそこまでだった。
眼鏡の男「おうおう、お前ら幸せそうだなぁ。俺の楽しみになってくれてありがとよ。」
杏子「あぁん?なんだテメェ。」
ここからが、絶望の始まりだった。
第1話「おカシなライダーと魔法少女」