誕生日。それは人間にとって【生まれた日】というとても大切なものである。まぁそれが全員とは限らないが。
蒼斗(誕生日、ですか…)
自分は長く生きてきた。祝ってくれるような人も居ないし、必要のないものだと思い込んでいた。其れ故なのだろうか。いつからか自身の誕生日など忘れてしまっていた。
〜回想〜
雨宮「ねぇねぇ、蒼斗さんって自分の誕生日とか覚えてる?」
蒼斗「な、なんで急に…?貴方は知っているでしょう…?」
雨宮「まぁまぁ、いいじゃないの〜♪」
蒼斗「え、えぇっと…」
唐突すぎる質問だ。自分の名字でさえ思い出すのに時間がかかったというのに、誕生日など覚えているわけがない。それに、この人なのかすらわからない人物は今まで私しか知らないはずのことを知っている。誕生日なんて聞かなくても知っているはずだ。
雨宮「なるほどぉ…やっぱりわかんないのかぁ…」
ニヤニヤした顔でこちらを見つめてくる。『やっぱり』とはどういう意味なのか。この人の考えていることはまるでわからない。
雨宮「まぁいいよ、教えてあげる。」
頼んでもないだろうけどね、と笑いながらそんなことを言う。
雨宮「キミの…相星蒼斗の誕生日は9月25日。覚えといてよぉ〜?」
蒼斗「は、はぁ…」
なぜフルネームで言い直したんだろう、と思いながらちゃんと言われた通り覚えてはおく。何がしたいのだろう。
蒼斗「そんなことも、あったなぁ…」
結構前の話だ。そして今日は9月25日。誕生日だ。正直どうでもいい。 考えても整理しきれないので今日は帰ることにした。
蒼斗「ただいま帰りました。」
雨宮「お、おかえり〜」
いつものニヤケ顔でおかえりと言ってくる。
雨宮「ねぇ蒼斗さん、ちょっと来てほしいとこがあるんだけど。」
来てくれない?と言われる。暇だし断るような理由はないので言ってみることにした。
蒼斗「いいですよ。」
雨宮「そうこなくっちゃ!じゃあ、ちょっといいかな?」
そう言って後ろに回ってくる。すると突然目の前が真っ暗になった。
蒼斗「な、なんですか?」
雨宮「見ての通り目隠し。さ、行こか」
あ、見えないか、と笑いながら言う。目隠しされたまま手を引かれ、どこかへ連れて行かれる。
雨宮「よぉし、着いたよ」
そう言って目隠しを解く。目の前にはドアが1つ。
雨宮「開けてみて」
指示通り目の前のドアを開ける。
「「「「「蒼斗さん!!誕生日おめでとう!!!」」」」」
クラッカーの音と共に5人の声が響き渡る。
蒼斗「…へっ?」
思わず間の抜けた声を出してしまう。
蒼斗「え…あ…っ」
ポロポロと冷たい涙が頬を伝っていく。
紅林「なっなんで泣いてるの!!??い、いやだった…?」
自分が急に泣き出してしまったからだろう。純粋に心配してくれる。
蒼斗「いや、じゃなくてッ…グスッ…とても、なんだろう…グスッ」
涙でぐしゃぐしゃにしまった顔で無理矢理笑顔を作る。 これが“嬉しい”という感情なのだろうか。それすらも考える余裕はなかった。
雨宮「はは、改めて…お誕生日おめでとう!蒼斗さん!」
蒼斗「うん!!ありがとう!!!」
___今日だけは、懐かしいあの頃に戻れそうな気がした。
コメント
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遅れたァァァおめでとううううううう
小説書くの上手すぎて尊敬する…蒼斗さん大好き愛してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅあ!!!