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檻の中の苺
エピソード9
レッド
「お皿やフォークはどこにある?」
ブルー
「えーと、たしか一番右の棚に…あ、でもしばらく使ってないから洗ったほうがいいかも…」
そんなことを話しながら、ケーキを食べる準備をする。
2人でそっと声を合わせる
「ご先祖様…いただきます」
ただケーキを食べる準備をするだけなのに、いつもどおり、食事のあいさつをするだけなのに、心臓の鼓動が早くなり、言葉が詰まりそうになる。
その鼓動が収まらないままフォークを手にとって食べようとする…が、
カタッカタッ
ぼやけた視界の中に映る白いショートケーキと白い皿。見分けがつかず、フォークが空振って皿に当たる音ばかり聞こえる
レッド
「…食べにくい…?」
ブルー
「う、うん…」
申し訳なさそうに、目を細めるブルーを見た僕はいてもたってもいられなくなって
レッド
「僕が…手伝おうか…?」
一瞬空気が止まった
ブルーは数秒黙ったあと、小さな声を漏らす
ブルー
「いいのか…?」
困ったように眉を下げて、こちらを見つめるブルー…。
レッド
「も、もちろん…!」
少し震える手でフォークを手に取り、一口分のケーキを取る
ただ、ケーキを食べるのを手伝うだけなのに、
ただ、ケーキを食べさせてもらうだけなのに、
それなのに、なぜこんなにも体が熱くなるのだろう
レッド
「じゃあ…口…開けて…」
ブルー
「ん…」
小さな口を軽く震わせながら、めいいっぱい開ける様子を見ると、胸の中でなにかが動く感覚がする
甘い匂いがより一層強くなるのを感じると、口に冷たいケーキが入ってくる。ケーキも、シルバーも…甘くて、甘くて…溶けてしまいそうだ
レッド
「失礼…口元にクリーム…付いてるから拭くね…」
まだ食べさせてもらった余韻のまま、さらに匂いが近くなる…
ティッシュ越しで…くちびるの端に指先が当たる…。匂いだけでなく、体温までじん…と遅れて伝わってくる…
あまりにも胸が高鳴って、目を合わせられず、しばらく言葉が出なかった
ブルー
「あっ…ありがとう…シルバー…」
このぬるい空気に気づいて縮こまるような声で偽名を呼ぶ声を聞いて、一気に現実に引き戻される。そうだ。僕はまだ、こんなに愛らしいブルーに……嘘をついているのだ。
コメント
1件
みぅです🤍🥀読んだよ…「ケーキを食べさせ合う」っていうただの行為が、こんなに甘くて苦しいなんて思わなかった。フォークが空振る音とか、クリームを拭く時の指先の温度——そういう細かい描写が全部、二人の距離と想いを伝えてくるんだね。最後の「嘘をついている」であっという間に現実に戻される感じ、本当に心臓がぎゅってなった。重くて繊細で、でも温かい…素敵な話をありがとう🌙
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