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Tとなりのおはぎ
『クラスの陰キャ男子は”元”不良でした。』
Episode.30
ぷちぷち→👀
ぽん太→🐤
いむ→🐾
ひなこ→🎀
のあ→🍪
るな→❄️
じゃぱぱ→🟢
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
side:綾咲碧 -ayasaki midori
息が、苦しくない。
最初に思ったのは、それだけだった。
🟢『ごめん、百石さん。教科書貸してくれないかな?俺まだ持ってなくて……』
🍪「もちろん。どうぞ、”綾咲くん”。」
「”じゃぱぱさん”!」
でも……どうしてかな。
苦しくないはずなのに、なんで前より、ずっとずっと…辛いんだろう。
──────────────
ここはいつも、俺に寄り添ってくれる。
錆びたフェンスも、砂埃の溜まった冷たい石の床も、じめじめとした空気が充満する雨上がりの日陰も。
全てが俺みたいで、俺に、ほとんど意味のない安心をくれた。
🟢『…あ、ここって生徒会じゃなきゃ駄目なんだっけ……』
記憶の片隅にしか入れていなかったけど、ここ…前に自殺した子が居たんだっけ。
十年以上前のことだし、今はほとんどここに出入りする人も居ないから、本当に気楽に過ごせる。
🟢『……あーあ。やっぱり覚えてないのかな、のあさん…』
あの時には言えなかったこと。
…「生まれ変わったら」、なんて、
本当にあるとか、誰も思わないじゃんか。
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side:Midwinter
短く切り揃えた茶髪が、風に靡いてふわりと舞う。
それがまだ絶世の美女ならまだ良い。俺なのが本当に残念だ。
(あれ、今日は先客が居んのか…つまんねーの。)
緑がかった艶々の髪が、幻想的に靡く。 どこからか秋の暖かいながら冷たくもある風が鼻腔を擽るせいか、まるで秋の精霊みたく思えた。
🟢「…あれ、貴方は……?」
“っ、あぁ…えっと……”
振り返ると、その顔の良さがより伝わって来る。
顔のパーツの一つ一つが整っていて、そのバランスも一級品並み。
上履きの色は二年の緑だけど、今まで何度か顔を出しても見たことは無いし、そこまでここに慣れたような仕草も見て取れない。
転校生か…不登校、か。
🟢「赤……ってことは、三年生なんですか?」
“えッ……あ、おう。オレ、三年の…、
……わり、邪魔しちまったよな。じゃ、オレはここで…。”
一目見ただけでも分かる。コイツ、オレの苦手なタイプだ。
陽キャのオーラが全身から溢れだしてる癖に自覚はねぇわ、
顔が良い癖に整えた形跡が見られねぇわ。
…神は人に万物を与えたっつーけど、
神様は不平等だな、やっぱ。
──────────────
「みっど~!あーそーぼーーっ!!」
“お前なぁ…毎回遊ぶっつーけど、具体的にはどーすんだよ。”
「え~……あ~……う~ん……」
“やっぱ考えてねぇじゃん”
「考えてるし!」
幼げな口振りにお似合いの、中学生くらいの背。
色素の薄い「紫色」の、肩より下まで伸びた、雑にバラバラに切られた髪を揺らしていた。
それだけが、「彼」に関する記憶だった。
「…あ、ビー玉あるよ!投げて遊ぶ?」
話し方も、身振り手振りも、
まるで子供みたいだった。
「む~っ…」
すぐ拗ねるし、
すぐいじけて何処かに居なくなる。
「ねーねーっ、次は何する?なんでも良いよ!」
『なんでも良い』って言われたから、を言い訳にして、どうでも良いことを話したら…
なぜか喜ばれた。
あぁ、そう言えばその理由を聞いたことがあるんだっけ。
「え?理由~…うーん……あんま無いかな!オレ、遊べたらなんでもいーし!」
かまってほしいだけ、と結論を付けた。
……結局、
彼がどうしてここに来てしまったのかも、
何がしたくてここ留まるのかも、
今まで何一つ、分かっていない。
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side:猫宮伊舞 -nekomiya imu
夢を見たんだ。
いつかは分からない。
きっと、いつでも無いから。
🐾『……ここ、どこだろ…』
小学生くらいの見た目だった。
ずっと続いて行くような、綺麗で透き通る青空まで手が届かなくて、届かせたくて…
そんな風に思うくらいの年頃だった。
男にしては珍しい、肩くらいまでのストレートの髪を、きょろきょろと辺りを見回す度に揺らした。
綺麗に切り揃えられた、明るい紫色の、サラサラの髪。
櫛で丁寧に梳かされて、光を反射してキラキラと輝いていた。
「…おはよ。起きた?」
この前見たばかりの、中学生くらいの男の子。
俺より薄い紫色で、黒色のメッシュが一部にだけ入っていた。
「ごめんねぇ、急に呼んじゃって…」
「オレもオマエを狙ったんじゃないよ?他の子にすると怒られちゃうから…… 」
🐾『……だれに、怒られるの?』
「…おとーさんだよ。鬼みたいに怖いの。」
考え事が見透かされるように感じたのは、
きっと、彼もそうやって生きて来たからだと気付いた。
🐾『…綺麗だね、髪の毛。』
「そーだね、きれーだね~…。」
ニコニコと笑みを絶やさずに笑う人だった。
健康ってほど血色感のある肌じゃなかったけど、笑う声も顔も、見入ってしまうくらい綺麗だったから…気にしなかった。
……いや、俺は気にしなかったんじゃない。
気付けなかったんだ。
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side:本田歩都 -honda poto
🐤『いむさーん!一緒に帰りません?』
🐾「は~い、今行く~。」
いつからか、こうやって貴方の隣に立つことが当たり前になった。
…どうしてなのかな。
おれより少しだけ高い貴方の背が、
おれより低いように見えてしまったのは。
「頼って。」
「一人で抱え込まないで。」
彼を見て、そう思った。
「ここに居て良いって、言って。」
「助けて。」
彼を見て、そう読み取った。
きっと、
おれを助けられたのは、最初から貴方だけだったんだ。
──だって、
貴方も、そうなんですよね。
いむさん。
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Episode.30
「青空」 終了
Episode.31・・・4/5公開
次回もお楽しみに。
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