テラーノベル
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「私を食べたら後戻りはできなくなるよ。」
そう言われたのはいつの事だろうか。
やけに柔らかそうな肉体、しなやかに動く尾、灰色の身体に映える青。美しく、強者のように感じることもない穏やかなその龍に襲いかかり、組み敷き、噛みつこうとした瞬間、するりと抜け出されふわふわとした毛に覆われた尾で口を塞がれ、耳元でそう囁かれた。
その時は不思議と食らう気も、そしてその龍に勝つ予感も無く、ただ龍のふわふわとした尾がするりと自らの体を撫でながら離れていくのを見送るだけ。
なぜ、その龍に襲いかかったのかなど一切わからない。
だが、あっさりとあしらわれ、柔らかな身体に包まれた時、俺は一目惚れしてしまったのだろうと理解した。
それから、何回か日が落ちては上り、その龍が揺籃と呼ばれていることを知ったり、もう一頭、藍銀と呼ばれている龍と出会ったり、藍銀に悉滅のと呼ばれるようになったり、揺籃にルギガと呼ばれるようになったり。
その暮らしの中で、確かに揺籃に抱いていた感情を、藍銀にも抱いていることに気付く。
食いたいという欲望とはまた違った欲。
揺籃に抱いていた感情を藍銀は恋だと言った。
「私たちは、ある意味仲間ですね。」
そう言った藍銀は俺が藍銀にもその感情を抱いていることに気がついてないようで。
そしてその果てのある日、俺たちは一線を越えた。
揺籃と、藍銀と、絡み合い、甘い言葉を吐かれ、体液を欲し、ただひたすらに気持ちいいという感覚を与えられたあの夜から、揺籃の心の中に芽生えていた恋心は多少強引な形であろうと自覚され、そしてあの日言われた言葉の意味を思い知らされた。
体内に入った瞬間、頭の中が焼き切れるような快感と共に一気に満たされる感覚がし、そのことしか考えられなくなるあの快楽。
それを何度も何度も与えられたせいで俺はもう揺籃以外の龍を食っても真の意味で満たされることは無くなってしまった。
恋心を自覚してタガが外れたのか戻れなくなってしまえばいいと言わんばかりに与えられる血肉と、他の龍を自ら狩ってこようとした時の隠そうともしない嫉妬心。
それを身に受ける度に感じる甘い疼きを何と呼ぶのだろうか。一切わからないまま俺は今日も眠った。
数日後、揺籃と藍銀に連れられどこかにとんで行くことになった。
この2頭のことだ。きっと悪いことにはならないだろう。そう、思っている。
コメント
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読んだ…🥀 しんどい。揺籃に一目惚れした時点でもう引き返せなかったんだなって、読みながら息止まった。藍銀が「恋だ」って言ったシーン、あれ二人ともそうだったんだ…って後から気づく感じがすごく沁みる。食べる=満たされるって概念がもう崩れてて、戻れなくなったルギガの甘い疼き、言葉にできないもどかしさがそのまま伝わってきた。まだ続きがあるなら読みたい。作者さんの描写が綺麗すぎて、痛いくらいだった🖤