特別版【抱えていた恐怖】
もしも目の前で、沢山の命が消えたら?
もしも目の前で、大切な人を傷つけられたら?
オレは……どうしていた….?
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「….すぅ…….すぅ…」
マコトを救い出して1週間が経った。
でも…それでも、マコトの目が覚めない。
暴走していた影響なのかもしれないが、こんなに長く眠ることはなかった。
暴走が止まったのは良かったが、身体はツノが無くなっただけで、髪の色はまだ銀髪のままだ。
(早く…1度でもいいから起きてよ…っ)
そう、何度も何度も願いながら、今日もマコトの手を握る。
少しでもいいから、握り返して欲しい…
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2週間経っても、マコトは目覚めることはなかった。
どうして目覚めないんだろうか。
オレは何をしたらいいのか。
そういう疑問を持ちながら、マコトのシーツを強く握った。
マコトのことが心配で、夜は全く眠れないことがほとんどだ。そのせいか、みんなにまで心配をかけてしまう。
「ケイト、大丈夫か?ちゃんと寝れてるか?」
「あはは、大丈夫だよ〜。んも〜トレイくんは心配性だな〜w」
こうやって、またうまく誤魔化す。
本当は大丈夫じゃない。マコトのことが心配で心配で仕方ないんだよ。
(なんてこと…みんなには言えないよ…)
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「………..」
3日後。
朝。
晴れ☀
目覚めた。
まだ目覚めたばかりだからか、目が霞んで周りがよく見えない。だが、自分の身体の変化はわかる。なぜ髪が銀髪になっているのだろうか。
(私、何してたんだっけ…?)
少しずつ思い出してきた。
(そうだ……私また….みんなを困らせちゃった…)
みんなに申し訳ないと思ったその時、突然、ガチャっとドアが開く音がした。
(?誰…?)
霞んでいた目をよくこらして見る。
見慣れた橙色の髪。
トランプのダイヤマークのフェイスペイント。
間違いない。ケイトだ。最近眠れていなかったのか、目の下にクマができている。
「……..え?」
ケイトが珍しくポカンとした顔をする。そんなに驚くことなのだろうか。
私は一体どれ程眠っていたのだろうか。
ちょっと不安ながらも、私はケイトに声をかける。
「えっと…….ケイト…?」
「……..はぁ〜…」
ケイトは安心したのか、安堵のため息をもらし、その場でしゃがみこんだ。
私はベッドから降りようと思ったが、やめた。
何せまだ起きたばかりだし。
すぐにフラつくかもしれない。
でも一応、これだけは言いたい。
「えっと…..その……た、ただいま…。」
「うん。……おかえり…!」
3日経ち、私はすぐ元気になった。だけど、髪の色は毛先が黒くなっているだけで、元に戻ることはなかった。
(ま、痣が保っているよりはマシか…。)
もし痣が保っていたら、
みんなは…どうしていたのだろうか。
気持ち悪いと思われるのだろうか。
私から…離れていくのだろうか…。
ってダメダメ! と自分に言い聞かせながら、頭を振った。
(こんな調子じゃ、また暴走するかもしれないじゃんか!!)
そうやっていろいろと考えながら、空を見ていた。
雲一つない快晴で、小鳥の鳴き声がよく聞こえる。
「今日も平和だな…」
——-❁ ❁ ❁——-
(……..あれ?)
ベンチに腰掛けている彼女は、雲一つない青空を、目を細めて眺めている。
「マコト。」
「!!」
マコトの表情が一気に明るくなった。
いつものマコト。元気なマコトだった。
「マコト、身体はもう大丈夫そ?」
「うん!私は平気。ケイトこそ大丈夫?疲れてない?ちゃんと寝れてる?」
「ちょ、質問多いよ〜w」
「だって心配なんだもん!」
オレは、マコトがいつも通りに表情が豊かでホッとした。
それに気づいたのか、マコトは微笑んだ。
「え、何笑ってんの?w」
「ん〜?なんでもないよ〜。」
「え〜何それ〜w」
何かを隠すように話をはぐらかす。
そういう、いつも通りの会話が安心する。
その時だった。
「……ありがとね。あの時、私を止めてくれて。」
「え…?」
感謝の言葉が聞こえた。
それは安心したような、悲しそうな声だった。
「私ね、自分のことが嫌いなんだ。」
マコトは何かを我慢するように語り出した。
「嫌いというか…怖いと思ってる。半分鬼だから、いつ暴走するかわかんないし、いつ人を殺すかわからない。そんな自分が…..怖い…。」
「………」
オレは、黙って聞くことしかできなかった。
「もしあの時、ケイトが私を呼びかけても暴走が治まらなかったら?本当の鬼になっちゃったら?」
マコトは震えた声で言った。
「人を……殺しちゃうんじゃないか…..っ?」
「っ……」
「そんな、悪い想像ばっかりして…その想像が本当になっちゃったらって思うと…..怖いの…っ」
すごく怖いの と涙を流しながら言った。
体は震え、スカートが涙で濡れていく。
(オレも辛いけど、1番辛いのは…..マコトなんだ…)
マコトは優しくて、誰よりも優しくて、
自分の命より他人の命を大切に思う強い意思を持っている。
でも、自分は人間じゃないから、みんなとは違うからとそう言って、自分の心を不安で傷つけてしまう。
不安で不安で、仕方ないのだろう。
オレは経験したことはないが、マコトは、どれだけの人が目の前で失ったことか。
どれだけの人を助けられなかったのか。
オレにはわからない。だけど
(辛い気持ちはわかる…..。)
もしも目の前で、沢山の命が消えたら?
もしも目の前で、大切な人を傷つけられたら?
オレは……自分の命を捨てていたかもしれない。
「……でもね」
マコトは息をのみ、ベンチから立ち上がり、こう言った。
「私は、この世界が好き。この世界のみんなのことが好き。」
そして、オレの方を見やり、
「ケイトが好き。」
「!!」
あの時、告白した時よりも、声は明るかった。
「あと、そんな自分が好きだと思ってる。」
「マコト…」
この世界に来て、マコトの心は少し変わったのかもしれない。
元の世界のマコトのことは知らないけど、そんな気がした。
「私をここまで変えてくれたのは、ケイトなんだよ。本当にありがとう。」
マコトは涙目になりながらもう一度、感謝の気持ちをオレに伝えた。
その時、オレは決意した。
今度こそ、マコトに辛い思いはさせないと…
END
【あとがき】
どうも主のマコトです!『真琴誘拐事件』を最後までお読みくださりありがとうございます。こちらの特別版は、pixivの創作小説を読んで参考にした小説となっております。
自信作です!(笑)
ちなみに、私が読んだpixivの創作小説はプロセカのやつです。
なかなか面白くて最高な展開でもう
「わんだほーい!!」
な感じでした!(←語彙力皆無)作品名は言いませんが、とにかく面白かったです!私もいつか、あんな展開を書いてみたい…!!
ま、どーでもいい話はさておき、
ここで宣伝します!
チャットノベルストーリー
【暁のエンニチ】
8月25日投稿予定
〜あらすじ〜
鬼殺隊のお仕事から帰った真琴、 元の世界で縁日が開かれると知り、 大正時代へ!!
縁日を楽しんでいる時…
「あら?もしかして、 真琴さんですか?」
まさかの展開に…!?
お楽しみに!
それではまたいつかばいばいハニー!