テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
🦍視点
翼を折る気はない。
でも飛ぼうとするなら
その足を切り落としてでも傍に置く。
🦍「飛び立つ前に翼ごと
抱きしめてしまえばいいだけの話だ。」
🍌視点
手首を掴まれたままただ足を動かした。
抵抗しても無駄だと
どこかでは分かっていた。
けれど心の奥底でまだ叫んでいた。
部屋へ戻る途中廊下の曲がり角で
一瞬めんさんの手の力が緩んだ。
その瞬間チャンスだと思って
手を振りほどいた。
たまたまほどけたというよりかは
わざとそうさせたような気がした。
だがそんなことを考えている暇はなかった。
全速力で廊下を走る。
心臓の音が耳をつんざく。
出口はないかもしれない。
でも止まったらまた終わりだと
自分に言い聞かせた。
扉は目の前にあった。
まるで救いのように
そこだけ光が差して見えた。
転びそうな足を引きずって
全身でその取っ手を掴む。
『お願い……開いてよ…。
どうして…!なんで開かないの……!』
どれだけ回してもどれだけ叩いても
扉は固く閉ざされたままだった。
希望の出口が最初から
存在してなかったみたいに。
閉じ込められている。
その事実がようやく心を貫いた。
『うそ……やだ……。』
ガクッと膝が落ちる。
扉にもたれかかった自分の耳に
足音が近づいてきた。
🐷視点
🐷「おんりーちゃん
檻の方が安全なんだよ。
ここに居ればみんなが愛してくれる。
愛された事ないおんりーちゃんには
ここはとても魅力的なはずだよ。」
扉の前で膝をついたまま
おんりーちゃんは肩を震わせた。
涙が頬を伝い
床に小さな水音を立てて落ちていく。
🍆「ここに居てくれれば俺は
精一杯おんりーちゃんに尽くしてあげるよ。
俺を必要として。俺の存在意義として。」
ふるふると首を横に振るおんりーちゃん。
⛄️「僕怒ってるんやけど。
帰る場所も分からないくせに
ここから出たい?一体どこに帰るの?」
おらふくんがおんりーちゃんの
視線の先にしゃがみこみ
首に巻かれた包帯を指でなぞる。
笑っているのに
まるで氷のような感情のない瞳。
そんな事を話していると
廊下の奥から重い足音が響く。
この場にいる全員が息を飲む。
誰が話していようが
泣いていようが関係ない。
その場の空気が足音ひとつで変わった。
やがて暗がりから姿を現す。
🦍「ここは僕の屋敷だよ。
…誰の許可でおんりーに手を出してるの?」
🦍視点
空気が凍りついた。
僕はゆっくりとおんりーのもとへ歩く。
彼の肩が小刻みに震えていた。
それは逃げることすら
諦めそうな絶望の揺れだ。
🦍「……怖かったよね。」
おんりーに目線を合わせるようにしゃがみ
小さな体を包み込んであげる。
🦍「みんなはこの檻に逃げてるだけだよ。
それを居場所とか愛とか言って
誤魔化してるだけ。」
🦍「本当に愛してあげたいなら
翼を折ってはいけない。」
おんりーの頬をそっと
撫でながら耳元に囁く。
🦍「どうしても飛びたいって言うなら
飛べないようにしてでもここに居させる。」
静かにだが確実に牙を見せる。
誰も言葉を発さなかった。
一転柔らかく微笑む。
🦍「僕は賢い鷹だから。
今は爪を隠しておくよ。」
おんりーの頭を優しく撫でながら
振り返る。
🦍「戻る場所があるそう信じ
どうしても行きたいっていうなら…ほら。」
そう言って扉の鍵を音もなく外す。
🦍「おんりー。君の選択を尊重しよう。」
だがその場にいる誰もが知っていた。
この優しさの下にどれほど深い
執着と支配が隠されているかを。
1000❤︎↑
楽しくなってきました☺️
コメント
7件
🍌チャンが羽を広げるのは🦍さんだって嫌なはず……それでも選択をさせるのは……あえて、なのか……??
一見優しくて1番安全そうなDzさんが実は1番愛が重いのかもしれない...
わぁ✨😭😭すごくいい!! 🦍さんの優しさの裏にある黒さが最高に好きです!! 続き楽しみにしてます!!✨🙏