テラーノベル
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side:?
最近は日に日に涼しさが増す。
葉を赤く染め出した木々もこんな黄昏時では分からない。
部活終わりに、コートの脇で延々と続いた顧問の説教。
顧問の言うことは正しい。
正しいからこそ言い返せず悔しさが募る。
踏み出す靴底の音がいちいち苛立ちを映して不躾に鳴る。
角を曲がったところでふと影が二つ視界を掠めた。
街灯の点滅する下、幼い手を取って歩く男の背中が見える。
緑頭だった。
動きを止め物陰から目を細める。
なぜこんな時間にあの男がいるんだ?
今は部活動生、厳密には運動部員が帰宅するような遅い時間。
頭を過ったのは警戒と底暗い期待だった。
傍から見れば親を探しているように見えるが、もしあの子供に何かしてくれたら。
万が一、越えてはならない一線を踏み越えているのならば警察へ突き出せる。
あの腹立つ顔を排除できる好機を逃す訳にはいかない。
影を殺しつつ距離を保って後を追う。
十数分、人気が減っていく住宅街を巡る二人を追いかけてみた。
しかし幾度暮らせど怪しい影は差さなかった。
小さな歩幅に合わせ、時に屈み込みながらゆっくり歩いてる。
迷子助けなんて柄にも無さそうなことをしているのは意外だが、これ以上深堀したところで何も無いだろうな。
胸の奥で掠れた舌打ちが漏れる。
期待はあっけなく霧散し後には徒労感だけが残った。
爪先を返し立ち去ろうとしたその時だった。
「ちょっと! あんた、私の子に何しようとしたの!?」
静寂を切り裂く女性の怒号。
振り返ってみれば、子供の母親らしき女性が緑頭の胸元を突き飛ばさんばかりに詰め寄っていた。
迷子を見つけ出したというのに誘拐犯扱いされる理不尽。
高鳴る怒声に対し緑頭は言い返すこともなくただ静かに唇を閉ざしている。
しゃιϯ 𓂃🫧
53
tomato
103
# 綺麗 に 腐った 罰
37
反論することを放棄し、責め立てられる状況を受け入れ、澄ました表情で棒立ちしている。
胸の底から形容しがたい不快感が込み上がってくる。
被害者面で全てを飲み込んで流そうとする態度が無性に腹に据えかねる。
💜「そいつは何もやってねぇよ。」
気づけば足は前に動き、三人の空間に割り込んでいた。
大きな溜息を吐き、口調を整えようと切り替える。
💜「この人がお子さんを保護して、一緒にただ探していたところを俺が見ていました。警察を呼びますか? 経緯なら俺が証明しますけど。」
「んなっ………!」
すると女性はバツが悪そうに口を噤み、子供の手を引いて早足に去っていった。
静まり返った路上。
💚「……ありがとう、」
振り返った緑頭の顔に、普段の笑みはなかった。
影の落ちた瞳が柔らかく細められ、力なく目元が緩む。
あまりにも毒気のない反応に、わずかに眉が動くのを覚えた。
胸がざらりと揺れる。
初めて見るその素の表情に呆気にとられた。
💜「……行くぞ」
短く吐き捨てて背を向けた。
気付けば仄暗い景色はとっぷりと夜に浸かっていた。
並んで歩く夜道は悪くない静けさだった。
隣を歩く息遣いにどんな顔を向ければいいのか分からない。
家に帰り着き、薄暗い玄関で靴を脱ぐ。
💚「おやすみ」
振り向きざまに発された声は聞いたことのない、落ち着いた静かなものだった。
そのまま自室の方へ消えていく背中を見送る。
自室に入り、静かにドアを閉めた。
❤️「おっつー、遅かったやん。」
💜「………。」
今まで敵視していた男の見たことのない輪郭が頭に残っていた。
❤️「いーるにぃー?」
💜「ん?あぁ、何?」
❤️「何?って笑 どしたん?疲れとる?」
💜「いやー、まじで。今日めっちゃ怒られたんよね。だるいって〜」
なぜか適当にはぐらかしてしまった。
だが、もうこの整理のつかない気持ちに向き合うことはやめた。
家族と過ごす時間に目を向け、夜を更かしていった。
コメント
8件
え…楽しい………… 一気見してきました!控えめに言って神ということでよろしいでしょうか? 続き楽しみです。ゆっくり頑張ってください!応援してます!
予想当たっちゃいましたっ!!進展が嬉しいーっここから誰と仲良くなるのか…楽しみですっ頑張ってください!