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夜の街は21時頃までは店舗の明かりもついて
賑わっていたからか、寂しくなかった。
1時頃になると、人の気配もなくなって急に
気温も寒くなった。心も凍る思いだった。
「ふぅ…寒い。なんで家出なんかしたんだろ」
いつしか後悔までするようになった。
夕飯の匂いがする。肉じゃがだろうか。
お腹は減っても缶詰はないし、限りある食料に
手を出すのは、かなり悩む。
実家の夕飯の記憶が脳裏をよぎる。置いてきて
しまった愛猫も、寂しがってるんじゃないかと
不安に駆られる。
離れてから気づく事がある。愛する動物や人に、 会いたい。心が自然と引き合ってしまう。
誰も自分に見向きもせず通り過ぎる。
寝る場所も見つからなくて、路地裏に
迷い込んだ。
今思えば大学まで何不自由なく行かせて
貰えていたこと自体が愛だったのかと思う。
仮に愛だとしても幼少期に受けた精神的苦痛は
許されるわけじゃない。そう。許されない。
帰る家を無くした僕は固い地面に腰掛けて
まぶたを閉じた。