雨が静かに降りしきる夜。
廃れた駅のホームで、志乃と圭吾、そして颯太が最後の対峙を迎えた。
颯太の瞳は血走り、震える声で叫ぶ。
「圭吾、お前は俺から全てを奪った!
お前の影がある限り、俺は自由になれない!」
圭吾は静かに俯き、苦しそうに答えた。
「俺も苦しい。ずっと孤独だった。
でも、志乃がいる。彼女のために戦うしかないんだ」
志乃は二人の間に立ち、手を広げて叫んだ。
「やめて!もう誰も傷つけたくない!」
その瞬間、ホームにある古びた鏡が激しく光を放つ。
鏡の中から、陽一の影がゆっくりと姿を現した。
「志乃……圭吾……颯太……」
三人は呆然と見つめ合う。
陽一の影は静かに語り始めた。
「影は消せない。だが、痛みを共有し、赦し合うことはできる」
涙があふれ、三人の心が一つに溶けていく。
颯太の怒りは静まり、圭吾の痛みは和らぐ。
志乃は二人の手を強く握りしめた。
「これが私たちの、最後の約束。
傷ついても、離れても、心はずっと繋がっている」
その時、鏡の光が二人を包み込んだ。
影は消え、現実に戻るための代償だった。
圭吾は静かに微笑み、志乃を見つめた。
「ありがとう……君と出会えて、よかった」
颯太もまた、微笑みを浮かべて呟く。
「いつか、俺も自由になれる日が来るだろう」
雨は止み、朝日が差し込んだ。
三人の物語は終わり、
しかし新たな希望と共に未来が始まるのだった。