コメント
4件
続きめっちゃ楽しみです(*´˘`*)♡
めっちゃいい話続き楽しみにしてます!
【竜蘭】
(約10000文字)
○注意書きは1話参照です。
○モブ蘭が結構ガッツリあります。
診察室を出てから売店に寄り、竜胆が好きなプリンや飲み物を購入して病室に戻ろうとした。
少し遠回りをして歩いていると、途中で蘭を探していたらしい竜胆と合流した。
蘭はビニール袋を竜胆に渡そうとしたが、そうするより先に竜胆が大声を出した。
「兄ちゃん!」
「あ…りん…」
「何やってんのって!出歩いちゃダメだって言ったじゃん!また屋上行こうとしたんじゃないよね?」
「あの…」
「なんで言うこと聞いてくれないの?!心配してんだってば!勝手なことしないでよ…」
「ちが、くて…」
「まだ体調だって万全じゃないんだよ?」
「わか、ってる…」
「どこ行こうとしてたの?」
「うえ、の…」
「は?!だからさぁ、やめてって言ってんじゃん!なんでわかってくんないの?絶対死のうとなんかすんなって何回言ったら分かってくれんの?」
「…」
「俺の気持ち伝わらない?どうすれば伝わるの?」
「…」
「ねぇ、聞いてる?」
「…りんどうはやっぱり、おれにしんでほしいんでしょ…」
「だから何回も違うって言ってんじゃん!なんでそんなに…」
「おれ、おくじょうなんていってない、し…いこうともして、なかった…」
「え」
「…っ」
「まって!兄ちゃん!」
「竜胆、蘭明後日くらいには退院できるってよ」
「マジで?!やった…!!」
「…兄ちゃん?寝ちゃった?」
「…」
「あのね、兄ちゃん明後日くらいには退院できるって。退院したら一緒に買い物行こうよ。そんでオソロの服とアクセ買って、それ着けて水族館とかさ、イザナ達誘って遊園地とか。いっぱい兄ちゃんと出かけたいなぁ。」
「…俺なんかと出かけたってなんも楽しくないでしょ。イザナ達と一緒に行けばいいじゃん。」
「起きてたんだ?!…てか何言ってんの。俺は兄ちゃんと出かけたいの。」
「意味わかんない。前みたいに俺の事なんか家に放置して行けばいいでしょ。」
「…こっち向いてよ」
「…」
「兄ちゃん」
「…」
「ねぇ、涙は隠さなくていいんだよって言ったじゃん。」
「…いてないっ」
「兄ちゃん。」
「もう出てってよ」
「なんで?」
「1人にして!」
「心配だから嫌だ」
「…俺のために時間使いたくないって言ったくせに。」
「え…」
「嫌なら無理していなくていいよ。俺だってそんなに気使われたくない。出てってよ。」
「違う!兄ちゃん聞いて?ねぇ…」
「うるさい。竜胆が出てかないならいいよ。」
「ちょ、兄ちゃん!あんま出歩いちゃダメだってば…!!」
「ほっといてってば!!」
「!?」
「…しにたい…もうやだ…ここからおちれば…」
「蘭は?」
「さっき部屋から出てって…どこ行ったんだろ?」
「竜胆、知ってるか?」
「わかんない…でも、ほっといてって言われて…あんまり干渉しすぎるのも良くないのかな、って…」
「確かにそれもそうかもな…でも何かあった時のために場所くらい把握しておきてぇな」
「ん〜そう言ってもなぁ…」
「…俺やっぱり嫌われてんのかな…」
「なんでだよ。アイツはお前のこと大好きって言ってたしお前だって直接言われたんだろ?」
「そう、だけど…兄ちゃん俺に気使って言ってただけなのかも…」
「お前がネガティブになってどうすんだよ。」
「そう、だよね…ごめんごめん」
「蘭を救いたいとか言ってたけど、こうやって喋ってたってなんも変わんねぇよなぁ…」
「どうしたらいいんだろ…」
「…りんどう…」
「蘭…?!」
「兄ちゃん!?どうしたの?俺の事探してたの?」
「あ…あの…俺、また竜胆にキツく当たっちゃった、から…謝りたくて…」
「…なんで兄ちゃんがそんなに気にすんのって。いいんだよ。いくらでも俺のこと傷つけて?絶対恨みもしないし嫌いにもならないよ。」
「だめ、だめ…!!俺はそんなこと…していい人間じゃないよ…さっきだって、言いたくて言ったわけじゃないの…勝手に…」
「兄ちゃん。兄ちゃんだけが人を傷つけちゃダメとか、俺だけが傷つけていいとか、そういうの無いよ。俺達は対等な関係でしょ?」
「でも…」
「とりあえず蘭、こっち座りな」
「いいの…?」
「いいに決まってんだろ〜?ほら、おいで。」
「ありがと…」
(雑談中・・・)
「…ごめん、俺もう部屋戻る…」
「どっか痛んだりする?体調悪い?」
「…大丈夫。ごめん」
「俺また後で行ってもいい?」
「…うん」
「ありがと!」
「じゃ…」
「また明日な!」
「う、うん…」
「兄ちゃ〜ん?起きてる?」
「…」
「あれ…?兄ちゃん?」
「またどっか行ったの…?」
「これ以上動いたらまた倒れちゃうかもしんないのに…兄ちゃんすぐ点滴抜いちゃうし…」
「とにかく探さなきゃ!」
「…竜胆どうした?」
「あれ、帰ったんじゃなかったの」
「忘れもん取りに来た」
「あーそう。」
「で、なんかあったん?」
「いや、兄ちゃんいなくて…」
「はぁ?!早く探さねぇと!」
「うん、だから今から行こうとして…」
「九井呼ぶか?」
「いや…帰ったんでしょ?悪いしいいよ…」
「そうだな」
「…きらわれたくない…あいがほしい…りんど…」
「本当に浮気したらどうなっちゃうんだろ。殺されるかな?」
「あ、もう恋人じゃないんだった…」
「だったら他の男に抱かれたっていいよね…そうすれば少しくらいは埋められる…?」
自分は随分前に竜胆に別れを切り出されていた事を忘れていた。
考えてみれば、自分と竜胆の間に恋人関係はなくなってしまったのだから、自分が誰に抱かれようと関係ないはずだ。
そう思った蘭はすぐに携帯を取りだし、セフレの1人である男にメッセージを送信した。
「予定合うかな…」
メッセージを送ると、すぐに男から返事が返ってきた。
どうやら相手も暇していたようだった。
もう随分会っていなかったので、なんだか嬉しく思った。
特別その男が好きなわけでもないが、久しぶりだからか妙に楽しみだった。
“愛が欲しいだけ”
誰でもいい。
ただ自分の心を満たしてくれるのならそれで。
これは浮気じゃない。
そもそも相手はセフレだし。
竜胆とは恋人関係を絶ったのだから。
何も悪いことなんてない。
そのはずなのに、何故こんなにも後ろめたさがあるのだろう。
自分は何も悪くない。
自分は何も過ちを犯していない。
そう胸を張って言えるはずなのに。
「久しぶりっスね、蘭さん。」
「うん…久しぶり…」
「見ないうちになんか痩せました?それに目元腫れてますよ…隈も酷いし…なんかあったんスか…?」
「なんでもないよ、行こ…?」
「ハイ…」
「蘭さん…この腕、どうしたんスか…?マジで、何でも聞きますから。セックスより蘭さんの話聞く方が大事っスよ」
「いい。いいから…早く抱いて…酷くして…」
「でも…」
「いいから!」
「…わかりました。」
「…蘭さん。正直、気持ちかったけど蘭さんのこと心配でそれしか考えらんなかったっス。こんなに腰も細くなっちまって…足まで傷まみれ…」
「…」
「なんでこんなことしたんスか…」
「…ラクになるにはそれしか無かったの。今だってずっと…全部忘れたくてお前に抱かれに来たの」
「蘭さん…」
「じゃ、俺こっちなんで…またいつでも呼んでください。俺でよければ話聞きますから。」
「うん、ありがと。…ねぇ、」
「はい、なんスか蘭さ…」
「…お前も…俺のこと嫌い…?」
「え…?」
「みんな、俺のこと嫌い、だから…お前も…っ」
「蘭さん…俺はアンタのこと好きですよ。まず好きでもねぇヤツはセフレでも抱かねぇし心配もしません。」
「…あ、はは…そ、だよね…ごめんね」
「謝んないで。きっと竜胆さんも同じ気持ちですよ。」
「なんで…」
「あ、すみません。何となく竜胆さんのことかなーって…」
「…好きって言って…」
「好きですよ。」
「愛してるって言って…」
「愛してます。」
「…キスは…?」
「いいんですか?」
「…いいよ。」
「後で怒んないでくださいよ?」
「うん…」
帰りたくない。
ずっとこの人のそばにいたい。
この人は俺が欲しい言葉をくれる。
俺を愛してくれる。
だってこの人は俺に好きって言ってくれた。
愛してるって言ってくれた。
キスもしてくれた。
酷くしてって言ったら酷く抱いてくれたし、心配もしてくれた。
この人が俺を愛してくれる人なんだ。
「…りんどう」
「…兄ちゃん!」
「…りん、ど…」
「まだ外出ちゃダメって言ったでしょ!ほんとに…めっちゃ探したよ…」
「…ごめん」
「いいけど…」
「俺もう寝たいからどいて…?」
「あ、うん…」
「…」
「…まって!」
「…なに?」
「…いや、明日でいいや。おやすみ」
「うん。」
「竜胆おはよー。昨日夜大変だったんだってな。呼んでくれればすぐ行ったのに」
「あーいや、帰ったのに呼ぶのも悪いかなって」
「気にすんなよな」
「あはは…」
「今日九井来んの早ぇな。おはよ」
「おー三途はよー」
「はよー」
「蘭起きたか?」
「まだ部屋行ってないからわかんない。今から行くとこ」
「タイミングばっちり」
「…竜胆?」
「…え?あ、ごめん。なに?」
「いや、特になんもねぇけどボーッとしてっから」
「…ちょっと考え事」
「珍しい」
「まぁね」
「行くかー」
「蘭、入るぞー」
「蘭!お前また切ったのか…?!」
「…ごめん」
「いや、俺たちにじゃなくて…」
「…嫌だよね。無理に来なくたっていいよ。」
「そんなことねぇって。どうしたんだよ」
「…俺売店行ってくる。帰ってもいいよ」
「蘭!あんま出歩くなって…!」
「竜胆からも言ってやれよ!」
「…兄ちゃん、昨日の夜言ったこと覚えてる?」
「…うん。なに…?」
「…今度は合成じゃないよ。コレ。」
「竜胆お前…!!今はそんな話いいだろ!」
「…」
「スマホのトーク履歴もスクショして俺のスマホに送ったから持ってるし、こん時の録音もしてる。コレは確実に黒だよね?」
「…」
「竜胆!いくらそれが黒だったとしたって今の蘭にそんなこと…」
「浮気は浮気だよ。俺のこと好きって言ったのに。俺だってやり直そうって思ったのに。なんでこうやって…あん時は全部俺が悪いけど今回は違うよね?」
「…」
「何か言ってよ」
「…なに?」
「は?何ってなに?兄ちゃんが浮気したから怒ってんの。話聞いてた?証拠だってある。」
「浮気…?してないよ俺…」
「はぁ?この写真もスクショも録音も全部俺が撮ったの!ここに嘘なんて何一つない!」
「…嘘はなかったとしたって俺は浮気なんてしてない…」
「コイツに抱かれに行ったんだろ?!浮気だろーが!」
「竜胆!」
「…確かに抱かれたよ。でも浮気なんてしてないって言ってるでしょ…なんで竜胆はいつも信じてくれないの…?」
「他の男に抱かれた時点で浮気だろーが!ンなことも理解できねぇの?」
「…だから、俺は…」
「俺には促されてようやく言ってくれてた好きも愛してるもこの男にはすんなり言うのだって本当は前からコイツと浮気してたからなんじゃねーの?だったら俺が今まで謝ってたのも全部バカみてぇじゃん。ふざけんなよ」
「竜胆、聞いて」
「つーか自分から誘ってんだもんな。脅迫されてるとかなら違ったけど完全に黒じゃん。裏切り者。」
「ちが…」
「竜胆お前いい加減にしろって!なんでまた自分で蘭のこと傷付けてんだよ!」
「うるせぇよ。コイツが俺のこと裏切ったのが悪ぃんだろ」
「ちがうよ…だって…おれは…おれたち、は…」
「蘭、大丈夫だ…落ち着いてな…?」
「お前忘れたのかよ!お前がそうやって蘭を責め続けたから前も蘭が自分で…」
「ぁ…おれは…わるくない…」
「蘭、あっち行ってよう、な?」
「あれは最初から兄ちゃんが悪くなかったから傷付いただけだろ。今回とは訳が違う。」
「そもそも蘭はお前の言葉で傷付いてんだ。興奮した時の口の悪さ治せ。蘭を失ってもいいのかよ」
「…」
「…ちゃんと蘭の話聞いてやれよ」
「…そう、だね、ごめん…俺また…」
「謝んなら俺じゃなくて蘭に謝れ。」
「うん、あり、がと…」
「おう」
「兄ちゃん…」
「おれがまたわるいことしちゃったから…おれがわるいの…」
「蘭、落ち着けってば…あ、竜胆…」
「ココ、ごめんね…少し兄ちゃんと話したいんだけどダメかな…」
「…いいけど、傷付けんなよ。」
「うん、ありがと」
「兄ちゃん」
「ひっ…」
「ごめんね…兄ちゃんの話聞いてあげられなかったから…」
「…」
「浮気してないって言ってたけどさ、この証拠からして明らかに浮気だと思うんだよね。兄ちゃんはどう思ってんの?」
「…浮気じゃない…浮気なんてしてない…」
「…抱かれたんだよね?キスもしたよね?」
「だって、俺は…誰とも付き合ってない…」
「…は?」
「ひっ…」
「いやいや、ねぇ、兄ちゃん?俺は?俺のこと忘れたの?」
「ちが…だって、竜胆は…」
「なに」
「別れよ、って…言ってきたじゃん…」
「…」
「も、恋人じゃない…って、思った、から…」
「…」
「ぁ…ごめん、なさい…」
「兄ちゃん」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「兄ちゃんってば」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
「ねぇこっち見て。」
「…?」
「…ごめんね。」
「…なに、…?」
「ごめん…ごめんね…俺が全部悪いよ。ごめん」
「りんど…」
「俺が勘違いしてた。許してなんて言わない。また兄ちゃん何も悪くないのに傷付けちゃった…」
「りんど…ないてる…?」
「ごめんね…ごめんなさい…」
「あやまんないで…なかないで…」
「兄ちゃん…」
「りんど…おれおこってないよ?」
「え…?」
「おこってないし あやまってほしくないよ…」
「でも…全部俺が悪いんだよ…?それなのに兄ちゃんのこと責めちゃって…」
「いいの。」
「なんで…怒ってよ…殴ってよ。俺が兄ちゃんにしたみたいに傷付けてよ…おかしいじゃん、こんなの…」
「俺は竜胆に幸せになって欲しいの…それに俺なんかが竜胆を傷付けるなんてできないよ…」
「やだ…ダメだよ…対等がいいの…兄ちゃん」
「ごめんね」
「…もう1回、付き合いたいって、最初からやり直したいって言ったら…ダメ?」
「…竜胆がしたいようにして?」
「そんなのダメだよ。兄ちゃんの気持ちが知りたいの」
「…俺は竜胆がいいならそれでいいし…」
「俺のこと好き?」
「え…?」
「俺のこと好き?」
「…うん」
「…嘘はいらないよ?」
「…好き、だよ…」
「…返事は今度でいいよ。ゆっくりでいいからちゃんと本当のこと教えて?」
「…本当のこと、だよ…」
「うん、それでも。」
「…」
「大好き」
「…売店行ってくる」
「兄ちゃん今は…」
バタッ
「兄ちゃん!!」
「なぁんで兄ちゃんはいっつも点滴抜いて出歩いて倒れるまでがオチなのかなぁ…」
「まず点滴抜くのを阻止しねぇとダメだな」
「なんで抜くんだろうなぁ…」
「…なんでだろうね」
「はぁ…お前たち兄弟は本当に…」
「お前らは目離しておけねぇな」
「ほんとそれ」
「あはは…え、俺も?!」
「当たりめぇだろ」
「えぇ…」
「…もしもし…あ、うん…大丈夫だよ…え?切ってないよ…うん、今日も会いたい…だめ…?…ほんと?やった…じゃあ抜けれる時に抜けるから…うん、近くまで行ったらメールね…わかった…」
「兄ちゃん」
「あ…竜胆…」
「行かせないから。」
「…なんで…?」
「…兄ちゃんの体が心配なの…それと…俺のわがままだよ」
「…知らない。俺の体なんてどうだっていい。」
「よくない。これ以上点滴抜かないで。抜きたいならせめてご飯食べて。」
「やだ。」
「お願い…そうじゃないと死んじゃう…」
「じゃあ尚更だよ。点滴も抜くしご飯も食べない。」
「なんで?!死んじゃうって言ってんの!」
「…それだけで死ねるなら幸せでしょ?」
「そんなわけない!死ぬ事が幸せなんて…おかしいじゃん…」
「…どいてよ、早く会いたいの」
「…そんなにあの男が好きなの」
「うん。大好き。」
「なんで」
「だってあの人は俺の欲しい言葉をくれるもん…優しいし、誰よりも1番に俺のこと考えてくれる…大切にしてくれるの…」
「…俺じゃダメなの?」
「…」
「…」
「…竜胆はやだ…」
「…」
「…竜胆のこと大好きだけど…竜胆には俺なんかよりよっぽどお似合いな人がいっぱい…」
「もういいよ。」
「え…?」
「その男と一緒にいればいいじゃん。俺じゃ嫌なんでしょ?」
「りん、ど…?」
「もう知らない。勝手にして。」
「なん…りんど…」
「竜胆、どうだった?」
「ここ…さんず…俺…もうやだ…」
「竜胆?!何かあったのかよ…?」
「兄ちゃんが…」
(説明中・・・)
「本心ではないと思うけどなぁ…」
「うーん…」
「兄ちゃんに恋人できちゃう…俺以外の…知らないやつに取られちゃう…」
「大丈夫だって…!ほら、蘭って自分の思い話すの下手だろ…?多分竜胆のこと大好きだからこそそういう言葉選びになっちまったんだよ…」
「そんなんじゃなかった…もう俺じゃダメなんだ…兄ちゃん…」
「どうしたもんかな…」
「蘭の様子見てくるわ」
「おー頼んだ」
「あれ、蘭…?」
「…」
「おーい、蘭!」
「…」
「蘭!」
「…」
「点滴抜くなって何回言ったら分かんだ?竜胆だって言ってただろ?」
「…」
「おい待て!蘭!」
「…近付かないで。」
「は?」
「構わないで。1人にして。」
「お前また泣いてたろ。目元赤いぞ」
「関係ないでしょ。」
「関係ある。心配してんだよ。身体大切にしろ。誰でもいいから頼れ。」
「…頼れる相手なんていない。自分の体なんてどうでもいい。」
「どうでもよくなんかねぇ。相手なんて竜胆でも九井でもいいだろ。俺だっていい。」
「…誰も信用できない。てか、頼らなくたっていい。」
「そうじゃねぇとお前溜め込むだろ。」
「いいでしょ別に。三途が気にすることじゃない。」
「…蘭、竜胆が」
「竜胆の話しないで…!やめて…お願い…」
「…お前にとって竜胆ってなんなの。怖い存在なの?」
「…嘘ばっかりつくの…俺のこと嫌いなのに好きって言ったり…もういいでしょ…1人にしてよ…関わんなくていいから…」
「…じゃあせめて俺にくらいは気持ち吐き出せよ。ちょっとは楽になるかもしんねぇよ?」
「…いいよ。迷惑でしょ…構わないで…」
「…大丈夫だって。蘭がしたい事とか今の気持ちとか何だっていいから口に出してみろよ。」
「…死にたい。」
「…なんで。」
「ずっと生きてる意味が分からなかった。竜胆のために家事やって、何も悪いことしてないのに暴言吐かれて、辛いことばっか。」
「蘭…」
「どんなに頑張っても褒めてくれることなんてなくて、なのに失敗すればすっごい怒られて。役立たずとか、無能だとか、いっぱい言われた。」
「…」
「もう分かるでしょ?嫌われてんの。必要とされてないの。だから生きる意味もない。早く死にたい。消えたい。どんな方法でもいい。」
「蘭、そんなこと言うな…」
「価値ないんだよ。俺なんてさ。竜胆だってそう思ってるよ。」
「…竜胆だって本心でお前を傷付けていた訳ではないよ。アイツはお前のこと本気で愛してるから…」
「そういうのいいよ。竜胆が俺のこと嫌いなのは確実だから。変に期待したところで後悔するだけだよ。」
「蘭…」
「…三途、携帯鳴ってる。」
「あ、ほんとだ…」
「三途、兄ちゃんは…?」
「今部屋じゃねぇか?」
「いや、部屋にいなくて…」
「は?アイツまた…!」
「俺もう1回行ってみる。」
「竜胆、分かってるな?」
「うん…」
「三途、ココ…!!」
「竜胆、どうだった?」
「それが…兄ちゃんいなくて机にこれあって…」
「『ありがとう。ごめんね。』…?」
「ンだよコレ…アイツ今どこだ…!?」
「どうしよう…また前みたいに…」
「竜胆、早く蘭探すぞ!!」
「…はぁ…」
「…ここどこ…?」
「誰も見つけてくれないね…あはは…」
「…電話…誰だろ…」
『三途』
「…はぁ…」
「蘭!」
「…」
「おまっ…こんなとこにいたのかよ!遠すぎだろ…怪我とかしてねぇ?大丈夫?」
「え…?あ…」
「蘭?」
「あ…三途、ココ…どうしたの?」
「え?いや、怪我とかねぇかって…」
「ないよ?」
「よかった…てか、お前なんだよこれ!マジで心配したんだかんな!」
「そうだったんだ。」
「そうだったんだって…お前なんか変だぞ…?」
「そんなことないよ。」
「なんでこんなとこまで来たんだよ」
「わかんない」
「わかんない…?」
「死のうと思って歩いてたらここに来てたの。」
「…勝手に死んだら許さないから。」
「…なんで?」
「なんでじゃないでしょ。兄ちゃんはもっと自分の体大事にして!」
「…竜胆が勝手にしろって言ったんじゃん。」
「…だからって死ぬのは違うでしょ…」
「…竜胆は俺がしたい事全部否定するよね。」
「それは…!」
「いいよもう。否定したければ否定してて。俺はそれでももういいやって思えるから。」
「どういうこと…?」
「これ以上竜胆のこと好きでいてもしょうがないなって思ったの。」
「なんで…?関係ない、じゃん…」
「…竜胆に好かれたくて否定されても笑って我慢してたけど、竜胆は何したって俺のこと嫌いなままだから諦めるの。もう嫌い。どんなに好きだって思ってても、嫌いを演じることにした。」
「なんだよそれ…おかしいだろ…!」
「…まぁ、どうせもうじき死ぬしどうでもいいんだけど。」
「ふざけんな!!」
「竜胆!!」
「…なに。」
「なんなの…好きなのに嫌い演じるとか、俺が兄ちゃんのこと嫌いとか…もうじき死ぬ、とか…勝手に死のうとすんな…」
「…疲れたの。苦しいのも辛いのも悲しいのも、全部我慢して竜胆と一緒にいるのが。あの日から俺に幸せな瞬間なんて1秒もなかったの。」
「…ごめん…でももう1回だけ…もう1回だけ俺にチャンスをちょうだい…?絶対もう傷付けたりしないから…お願い…」
「…なんで竜胆は俺のこと1回も信じてくれなかったのに俺が竜胆を信じなくちゃいけないの?」
「ごめんね…ごめん…でもお願い…」
「…俺はお願いすらできなかったのに。」
「ごめん、ほんとに…ごめん…」
「…なんでそんな顔すんの。俺がいじめてるみたい。」
「違うよ…全部俺が悪いから…」
「…何のためにそこまでするの?俺のこと嫌いなくせに。嫌いなら嫌いって切り捨ててよ。何回も言ったよね。中途半端な好きはいらないって。」
「中途半端なんかじゃない…!!俺は本気だよ、兄ちゃん。本気で愛してるの。嫌いなんて有り得ない。」
「…そう。」
「ねぇ、なんで?なんで信じてくんないの…!?」
「…竜胆が俺にしたことと同じだよ。少しはわかってくれた?」
「…」
「…ごめんね。早くいい人見つけなよ。」
「まって、兄ちゃん!」
「蘭、頼む…もう1回だけでいいから…」
「…何のため?家事も留守番もまともに出来ない俺を必要とする理由なんてないじゃん。竜胆言ったよね。俺よりそこらの女の方がよっぽどいいって。」
「あんなの嘘だって…!それに俺は兄ちゃんと一緒にいれたらそれだけでいいの…!!」
「…嘘ばっかだもんね。なんも信用できないよ。いくらでも時間があったのに俺と一緒にいたくないって突き放してたのはそっちでしょ?俺だって竜胆と一緒にいたかったのに。」
「ごめんなさい…兄ちゃん…」
「…ばいばい。」
「兄ちゃん!!」
「蘭、まて!!もうこれ以上歩くな…!!」
「っ…兄ちゃん!!」
「わっ」
「お願い…愛してるの…兄ちゃん以外何もいらないから…信じて…」
「…」
「兄ちゃん…?」
「……き…」
「え?にい…兄ちゃん…?ねぇ、返事して…兄ちゃん!」
「…」
「竜胆…?どうしたんだよ…」
「…気絶…だと思う…」
「…気絶だな。ったく…」
「とりあえず病院戻るか。」
「このままだと蘭拘束されんじゃねぇか?」
「それはまずいな…」
「…」
「…竜胆」
「…俺、最低だ…」
「…蘭が死なねぇ限りいくらでもやり直せるから。今はできることを精一杯やろう。」
「…うん。」
【あとがき】
ここら辺から徐々に話が適当になっていく…
次で最後です👍🏻
全っ然伸びないので近々消す&投稿辞めるかもですがとりあえずあと1話だけ付き合ってください🙏🏻
ばいばい!