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僕は忌み子だった。
忌み子とは、簡単に言えばいらない人間だ。
親からの虐待は当たり前。いつもサンドバッグみたいに扱われて、身体中アザだらけだった。殺されかけたこともあった。ある日、家に帰ってきたらいきなり包丁を振り回され、頬に深い傷が残ってしまった。
毎日毎日その繰り返しだった。なぜそこまでされなければいけないのだろう。なぜ僕が辛い思いをしなければならないのだろう。あのクソ親の顔が目に焼き付いている。嫌気がさす。忘れたい。あんな奴ら。
僕は意を決して、家を飛び出した。時刻は深夜二時だ。起きている人間はほとんどいない。それでも僕はあの二人の顔は見たくなかった。だから僕は走った。走り続けた。
気がつけば、森のなかにいた。そこはとても静かだった。風で木が揺れている。耳を澄ませば、川が流れている音が聞こえる。とても居心地が良い。
そんな森のなかを、僕は歩き続けた。そして僕は一人の少女に出会った。