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轟くんと付き合って3ヶ月がたった現在、私は今日彼とデートしますッッ
夏の日差しが照りつける中、私は待ち合わせ場所の近くの公園のベンチに座っていた。喉が渇いたなと思い始めたとき、目の前にスポーツドリンクが現れて驚く。声のする方に目を向けると轟くんがいた。
「悪い、待たせた」
暑いからか、走ったからか、額に薄く汗が滲んでいる。
「おはよう!全然待ってないよ!」笑いながら言うと彼は少し安堵したように息を吐いた。
「そうか」
「うん!」今日も轟くんかっこいいな、なんて感慨に耽っていると目の前に彼の手が現れた。
「、、どっか行くか」
手を握り返すと薄っすら微笑んだ表情が見えて心臓がどくりと跳ねたような気がした。
轟くんの手はやっぱり大きくて、私の手をすっぽり包み込んでいた。
「どこ行こっか〜」
「どこでもいい」
その声色はどこかいつもより優しく、横をちらっと見やるとなんだか表情も穏やか。
「なんか嬉しそう笑」冗談まじりにそう言ってみた。
「、そうかも」
お?
彼の表情を盗み見ると頬がほんのり紅い気がするけど、きっとそれは暑さのせいだろうなと納得する。
「逆に名字はどこ行きたい?」
私の意見聞いてくれるとこ、優しいなあ。
「んー。私は轟くんの好きなとこに行きたい」
すると彼は困ったように目線を逸して少し考え込んだ。
「じゃあ、、俺の家」
予期せぬ反応にまた心臓がどくり。
「え〜?!気が早いよ〜、、」
、、轟くん。
「轟くんもそんなこと言うんだ〜w」
幼少期からあんまりどこかに遊びに行ったりとかしてないって言ってたから、そう言ってくれたのかな。質問失敗したかも。。
「そういう意味で言ったわけじゃない」
拗ねたようにムッとしながらこちらを見てくる相方に「どういう意味?」と聞くとぼそっと、
「、、名字のこと大事にしたいから、、、そういうのはまだ早いだろ」
え、そっちーーーーー???!!!ド天然だったーーーッッッッッッ
「もー誤解だよ///」
いつの間にか滲んだ手汗を気づかれないようにズボンで拭う。
轟くんも緊張しているのか、手汗をかいていた。
それに気づいた途端、尊さが押し寄せて思わず笑みが溢れた。それを見た彼は、不思議そうな顔をこてんと傾げながら「、何がおかしいんだ」と訊いて来た。
「ふふ、なんでもないよ。じゃあさ、私、轟くんと行ってみたいなってとこ思いついたから、そこでも良い?」
目線を合わせるように首を傾げると、おかしそうに微笑む彼に「ああ。わかった」の一言と抱き寄せるように腕を回され、少しの間お互いの温もりを感じた。
幸せだな、、なんて思いながら私達は共に歩き始めた。
轟くんが私の歩幅に合わせてくれるようにゆっくりと歩いてくれているのに気づいて、私はそんな彼にまた惚れ直すのだった。
好き。私は隣の恋人に聞こえないように小さく呟いた。伝えようか迷ったけど、恥ずかしくてやめた。その代わり、強く手を握ると彼は優しく握り返してくれた。
丁度よい風が吹く私達の周りには穏やかな時間が流れていた、
はずだった。