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その頃、上空――
「っ、わ、わああぁ! か、かぁぁいいいぃぃぃ!!」
ミミカは頬を真っ赤に染め、思わず空中で跳ねた。
前髪の隙間からのぞく赤い瞳が、興奮でキラリと光る。
「……やばい……やばいってこれ……ッ! 理想の魔法少女来ちゃったじゃん……!!」
さっきまでの丁寧な口調はどこへやら。完全にオタク全開だ。
舞台は揃った――。
鍵を手にした少女と、腹に鍵穴を持つ怪物。
そして、空から迫る謎の爆乳魔法少女オタク。
場所は商店街近く、破壊されたショッピングモール前。
「はっ……い、いけませんね……っ」
さっきまでのガチ恋テンションを振り切り、ミミカは怪物に向かって叫んだ。
「さ、さぁモングー! やってくださいッ!!」
「グァオオオオォォン!!!」
モンスターが咆哮する。
黒紫に濁った粘土のような巨体。腕はビルの柱よりも太く、真紅の双眸が怪しく光る。
その口からは、黒い煙と、どろりとしたピンク色の粘液が垂れ落ちた。
「さ、させません!」
愛梨は震える声で言った――が、心の中は混乱の渦だ。
(えっ……どうすればいいの!? 攻撃の仕方とか説明書どこ!?!?)
とにかく、マイクステッキを両手で握りしめる。
「えっと、えっと……こ、こう? 振ればいいの??」
ブンッ――!
シャリーン!
ピンク色の星屑とリボンの光が、ステッキの先から弾けるように舞い上がった。