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会議室の空気は、重かった。教師たちは円卓を囲み、
誰もが苛立ちを隠していない。
「……ここまで失敗が続くとは思わなかった」
低い声が落ちる。
「事故に見せかけた。環境も整えた。
それでも、あの生徒は一切崩れない」
別の教師が、机を指で叩く。
「剣を抜かせることすらできていない。
こちらの“手段”が読まれている」
「いや」
誰かが首を振る。
「読まれているというより――通用していない」
沈黙。
それが一番、苛立ちを煽った。
「教師が直接相手をする段階ではないと判断したはずだ」
「それなのに、この結果だ」
「生徒への被害が出ていないのが救いだが……」
「本当に、救いか?」
視線が交差する。
リンクという存在は、
想定していた“異物”より、はるかに厄介だった。
排除できない。
誘導もできない。
疲弊すらしない。
「……次の段階を考える必要がある」
その言葉に、
誰もすぐには応じなかった。
会議は、
結論の出ないまま続く。
一方――。
昨晩、
リンクの耳が捉えたあの感覚。
それは、
校舎の外でも、内でもない場所で、
確かに動き始めていた。
連続する、薄められた殺意。
明確ではないが、途切れない意図。
それらが、
一点に集まりつつある。
どろり、と。
形を持たないものが、
ゆっくりと“方向”を得ていく。
教師たちは知らない。
自分たちの苛立ちが、
何かを呼び寄せていることを。
それは、
管理の外にある存在。
剣を向けるかどうかすら、
判断が遅れるもの。
会議室の外では、
昼のチャイムが鳴った。
日常は、続く。
だがその裏で。
昨晩の“何か”は、
確実に蠢いていた。
――殺意に反応して。
次に動くのは、
教師だけではない。
それだけが、
静かに、決まりつつあった。