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なぎ
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ゆき
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「帰ってほしくない」
すちがそう言った瞬間、部屋の空気が止まった。
父親がすちを見る。
父「……何?」
すちは俯いたまま、もう一度小さく口を開く。
すち「……今日は、みんなにいてほしいです」
父親の表情が険しくなる。
父「すち。何を勝手なことを言っている」
すち「……すみません」
すぐに謝る。
その様子を見ていたらんが、一歩前に出た。
らん「……すみません」
父親がらんを見る。
らん「俺、言いたいことがあります」
父「何だ」
らんは一度息を吸う。
らん「確かに、体調管理は自分でするものなのかもしれません」
父親は黙っている。
らん「具合が悪いなら、自分で休むことも必要だと思います」
らん「でも」
らんの声が少し強くなる。
らん「親も協力するべきじゃないんですか?」
すちが顔を上げる。
らん「昨日からちゃんと食べられてなくて、今日も学校を休むくらい体調が悪くて」
らん「それなのに、水を持ってこい、飯を準備しろ、洗濯しろ、風呂を準備しろって……」
らんは父親を見る。
らん「こんな状態のすちを動かすって」
一度言葉を切る。
らん「それって、すちを奴隷にしているのと同等ですよ」
空気が凍った。
すち「……らんらん」
父「言葉を選べ」
らん「選んでます」
らんは目を逸らさない。
らん「俺たち、さっきから見てました」
父「……」
らん「すちが何を言われても『はい』って答えてるのも」
らん「体調悪そうなのに、立とうとしてるのも」
らん「全部見てました」
すちが小さく呟く。
すち「……見ないでほしかった」
らん「ごめん」
らんはすちを見る。
らん「でも、もう見ちゃったから」
らん「なかったことにはできない」
こさめも頷く。
こさめ「……すっちー、ずっと『大丈夫』って言ってたけど」
こさめ「全然大丈夫じゃなかった」
なつも続ける。
なつ「それに、すちは自分から何かを頼むのが苦手なんだと思う」
いるま「だからって、何でも言うこと聞かせていい理由にはならねぇだろ」
みことはすちを見る。
みこと「……すっちーが『帰ってほしくない』って言ったの、初めてじゃない?」
すちは答えない。
ただ、膝の上で手を握っていた。
父親がすちを見る。
父「お前はどう思っている」
すちの身体が固まる。
すち「……」
父「言ってみろ」
すちはしばらく黙っていた。
そして。
すち「……分かりません」
父「何?」
すち「今まで、こういうものだと思ってたから……」
らんが目を見開く。
すち「だから、嫌なのかどうかも……よく分かりません」
静かな声だった。
でも。
今までとは少し違った。
自分の気持ちを、自分の言葉で話している。
らんはすちを見てから、もう一度父親を見る。
らん「……だからこそ、大人が気づいてあげるべきなんじゃないですか」
父親は何も答えなかった。
リビングには、重たい沈黙だけが残った。
コメント
1件
**碧さん、第19話読んだよ〜!!** らんの「奴隷と同等」発言、めっちゃ心臓ギュッてなった😭💔 すちが初めて自分の言葉で「分かりません」って言えたの、小さな一歩だけどすごい成長だよね…。みんながすちを守ろうとしてる空気が切なくて、でも同時に熱かった🥺✨ このまま連載追いかけるよ!次も楽しみにしてるね〜🌸