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「へし切長谷部、と言います。主命とあらば、なんでもこなしますよ」
グレーのような茶髪に美しい青紫の瞳。武装の下にはストラと紫色のカソック、まるで神父のような見た目をしている
「わぁ…」
「貴女が俺の主ですか?」
「は、はい」
あまりにも顔面が強い。強過ぎる。刀ってなんでこんな顔面偏差値高いんだおかしくないか神様だからか
唖然としていると
「長谷部くん!」
「お前は…燭台切光忠」
「俺達もいるぜ」
「薬研もか」
何か昔から関わりがあったのだろうか刀に関しては知識が微塵もないから後で調べよう…!!!
「へし切長谷部さんいきなりで申し訳ないのですが大事なお話があります」
「長谷部でかまいません主」
「…じゃあ長谷部…まずこの本丸は普通ではありません」
「いわゆるブラック本丸というものです」
こんのすけが割って入ってくる
「なるほど」
「今回貴方を顕現させたのはこの本丸に立ち向かう戦力を増やす為です。」
こんな所へ呼び出してしまうのもなかなか申し訳ないなと思ってしまう。もしかしたら普通の本丸で幸せに暮らせたかもしれないのに
「主命とあらば、貴女に仇なす敵全てを押し切ってみせましょう」
でもなんだかそこまで嫌そうではないらしい。普通にニコニコしてる。営業スマイルか…?
「主さまそろそろ結界が消えてしまいます。離れに戻りましょう」
「あぁわかった」
こんのすけに連れられて元の道を辿り外に出る。何もなかったからこそ油断していた。
「ここで何をしているのですか」
「やべ見つかった」
ジリジリと距離を詰めてくる。
「いち兄…」
「いち兄?」
「僕達の兄です…」
まさかのお兄ちゃん登場ですか…
「主先に逃げてここは僕達が食い止める」
「でもそしたらまた燭台切がぼろぼろに…」
「大丈夫。死にはしないよ。」
「長谷部くん!こんのすけくん!主の護衛は任せたよ!」
「言われなくとも分かっている!」
主緊急の為無礼をお許しくださいと言われて気が付いたら抱き抱えられていた。
「うわわ」
「しっかり捕まってください」
すると長谷部は私を抱えているにも関わらずかなりの速さで走りだした。重くないのか…?
「ちょっと待ってよ!あの子達だけに戦わせる訳にはいかない!」
「主は人間でしょう。刀剣男士相手に戦闘経験のない一般人ではすぐ斬り殺されてしまいます」
「…っ」
その通りだ。普通勝てるはずない
「それでも」
「主!?」
長谷部の腕から飛び出して燭台切達の元へ向かう。
「チッ逃がしましたか」
「あの子に手を出そうとするなら許さないよ」
「いち兄…」
昔の優しかったいち兄とは違う。今は目がギラギラと光って常に殺気で包まれている
「邪魔をしないでください」
「やめてくれいち兄。あいつは、大将は悪いやつじゃない」
「そうです…!!優しい方なんです!!」
「あぁ私の可愛い弟達。あの人間に騙されているのですね」
すぐ解放してあげますから。そう言いながら刀を鞘から抜いて距離を詰めてくる。
「…っ」
あの子を失う訳にはいかない。失えばまた逆戻りして犠牲者を増やす事になる。
「先に僕の相手をしてもらえるかな…!」
「はぁっはぁっ」
私が走って戻った頃には燭台切とあのいち兄さんがやり合っていた。
「無理してんなぁ…!!」
遠目からでも分かる。何度か斬られた跡が
「どうしようか…」
咄嗟に出てきたは良いけど何も考えてない
その時お守りの短刀の事を思い出した。
「どうか…力を貸してね…」
ぎゅっと握り締めて刀を引き抜く。
「ぐっ…!!」
致命傷ではないけど傷が多すぎる。このままじゃ出血多量で倒れるか…
その時だった。
「うちの!!燭台切に!!!!何してくれてんだぁーーーーー!!!!!」
「主…?」
呆気に取られているとガキンッと刀と刀がぶつかる音がした。
「ほう?獲物が自らやってくるなんて好都合ですね」
「大将!!なんで戻ってきた!!」
「もう…君たちが!!傷付くの見てられなかったの…!!」
流石に短刀で立ち向かうのはまずかったか…押し切られてしまいそうだ…
「ぐぅ…!!」
「人間とは哀れなものですね。敵わないのに必死に立ち向かうなんて」
「敵わなくても…」
「それでも…!!この命を削ってでも大事なこの子達を守りたいから!!!」
「なっ…」
危機一髪で刀を跳ね除けてお兄さんは尻もちをついた
「貴方も同じではないんですか。」
「何をほざいて…」
「大事な弟なんでしょうこの子達は」
「えぇそうです。それがなんですか」
キッとこちらを睨みながら返事を返してくる
「大事な弟の話くらいちゃんと聞いてあげてくださいよ。お兄ちゃんなんでしょう」
「…っどうせ貴女に惑わされているんでしょう。聞いても無駄です」
「惑わしてなんかない。あの子達は自分の意思で、貴女達の元主を救いたいとそう思って私の元へ来てくれたんです。」
「彼らの意思を聞きもせず、無駄だと吐き捨てるのなら私は許しませんよ」
「…」
「いち兄…」
「貴女には分からないでしょう。弟が目の前で無惨に折られていく恐怖を。私から見た人間がどれほど愚かで恐ろしいかを」
「確かに私は貴方達の苦しみや悲しみは理解しきれない。」
「だけど大切な人がいなくなる怖さは苦しみは十分にわかるよ」
私の両親はもう何年も前に死んでしまった。
事故に巻き込まれて、私を庇って
「信じろとは言わない。私が貴方の弟達を傷付けた時は容赦なく斬っても構わない。約束する。だからどうかせめてこの子達の話だけでも聞いてほしい。」
「神の前で約束するなんて随分と大胆な方ですね」
どうなっても知りませんよと彼は言う。
「これくらいしないと主としてカッコつきませんからね」
「1度頭を冷やして考え直してください。今の自分の考えが本当に正しいのか。弟達の考えが間違っているのか。必要なら私の監視でもなんでもやってもらって構いません。」
「…分かりました。今日のところは引いて差しあげましょう。」
「私の弟達に手出ししたら絶対に許しませんからね」
そう言うと彼はゆっくり立ち上がり刀を納めて屋敷に帰っていった。
「……終わったぁ…」
「大将、大丈夫か傷は?」
「少しかすり傷ができた程度です大丈夫ですよ」
「もう!!君って人はなんて無茶をするんだ!!」
「本当ですよ主!!いきなり飛び出してあんな無茶をするだなんて!!」
「ごめんなさい長谷部…燭台切…でも燭台切も無茶してたじゃないですか…」
「確かにそうだけど…」
「早く手入れ部屋に行きましょう。出血が酷いし傷が痛々しいです…」
「うん…」
「4振りとも燭台切を手入れ部屋まで支えてあげてください。私も手伝います」
「ごめんね、何度も手入れしてもらって…僕ってホントにかっこ悪いな…」
「大丈夫です。いつでも燭台切はかっこいいし頼りになりますから安心してください」
「あぁこら大将動くな。治療できん」
「ごめん…」
仲良く手入れ部屋で治療をしていく
「いち兄、考え直してくれますかね…」
「さぁどうでしょうね、でも大事な弟達の為に頑張ろうと思うのが兄というものです」
きっと大丈夫ですよと秋田藤四郎さんと五虎退さんに微笑む
「さて大将消毒するぞ。」
「あっちょっと待ってまだ覚悟が」
「菌が入っちまう」
「イヤダー!!!」
「長谷部の旦那主を抑えててくれ」
「失礼しますよ主」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」
「まさか消毒如きにあそこまで叫ぶとはな」
「さっきまで神の前で約束するとか言い出した人には思えないね」
「仕方ないじゃないですか!!痛いの嫌いなんです!!」
結局治療は夕方までかかってしまった。
「さて夕餉にしようか」
「今日は何を作るんですか?」
「んーハンバーグにしようか」
「はんばーぐか」
「僕手伝います!」
「ぼ、僕も手伝います…!」
「俺も主の為に極上のはんばーぐを作ってみせましょう!」
「それじゃあ皆で作りましょうか夜ご飯!」