テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
次の日の昼休み、憂鬱な数学の授業を乗り越えたあとの弁当は格別においしかった
昨日夕方話して以来、まだ一言も話していないが相変わらず教室の中心で光っているろぼろくんは眩しかった
「ろぼろくんっ、今日のバスケのシュートめっちゃかっこよかった~っ!!!」
「あたしも、もう惚れちゃいそうだったもん」
2時間目の体育の授業でのみんなの視線を陣取って活躍していたのはロボロくんだった
人の壁をぬけて華麗にシュートを決める姿は自分でもできてしまいそうと錯覚するほど爽やかで軽い動きだった
rb「はは、嬉しいな」
少し照れくさそうに笑う姿は表裏がない笑顔だ
楽しそうな会話に混ざれないで冷めた弁当を一人で食べるのは青春の無駄使いだろうか
食べ終わった弁当箱を綺麗に片付けると、そんな自分が情けなくなって屋上で不貞寝した
…
やっと放課後になるとフラフラと図書室に立ち寄った
今日の鍵当番はきっとろぼろくんなのだろう
閉まったままのドアには新作の映画のポスターと先日入荷した文庫本の紹介ポップが飾られていた
読みかけの小説を立ち読みしながらろぼろくんを待っていると、一直線の廊下の向こうからそれらしき影が見えた
こちらに気づくと小走りで向かって来てくれた
rb「ごめんごめん、待ったよね」
sha「ううん、それより鍵開けてくれてありがとね」
rb「図書委員だからあたりまえだよ」
ガラガラと古い扉が開くと、夕陽で赤く染った図書室にゆっくり足を踏み入れた
rb「今日さ、本当は話したかったんだ」
sh「…え?」
rb「本当に気が合う人を見つけた気がして時間が許すならずっと話したかったんだけどね」
ふふ、と少し寂しい笑顔を見せた
sh「でもろぼろくんみんなと話してる方が楽しそうだし、おれなんかと話しちゃったら変な目で見られるよ」
rb「ううん、シャオロンくんと話せたらなんでもいいんだよ」
綺麗な瞳が歪む瞬間は闇に飲み込まれそうで少し背筋が冷えた
sh「……そう?」
rb「もちろんあいつらと話すのも退屈じゃないけどシャオロンくんとだったら素で話せる気がするから、」
sh「それならよかったな…うん、もっと話そうよ」
rb「ほんと?嬉しいな、じゃあさ、シャオロンって呼んでいい?」
sh「もちろん!じゃあ俺もロボロって呼ぼうかな」
友だちってこういう感覚なのかな、心臓の奥が擽ったくて、嬉しさで鼓動が早くなった
rb「あした、話しかけてもいい?」
sha「…いいの?…その、さっき言ったみたいにやっぱり……」
話しかけて欲しい自分の気持ちより相手のことだけを考えてしまう悪い癖が出てしまっている
rb「大丈夫だよ。」
すぐ目の前にある整った顔、惹き込まれそうな目に見蕩れてしまいそうだった
sha「じゃぁ、話しかけてほしいかな」
はっとなって目を逸らして咄嗟に返事をした
rb「ほんと?嬉しいな」
sh「あ、それより、本返します」
先日読み終わった本をスクールバッグから慌てて取り出す
rb「あーそうだったごめんごめん」
カウンターでパソコンを弄っている横顔も綺麗だった
rb「はい、沢山借りてくれてありがとね」
バーコードをよみとられると丁寧に本を渡された
sh「ううん、」
rb「あーそうだ、シャオロンのおすすめの本教えてよ」
sh「知りたい?その言葉、待ってた」
ホントの友だちみたいな関係になれたみたいで嬉しくてつい舞い上がってしまう
rb「ふふ、シャオロンが読む本センスいいから聞きたくて」
sh「おれはね、この人の作品が好きでさぁ…」
924と書かれた棚の隣にあったのは好きな作家の本が何冊か並んだ棚だ
rb「去年映画化されてた小説書いた人だよね」
そう言ってロボロが1冊手に取ったのはこの人が初めて書いた恋愛ものの本だ
同性愛をテーマにした作品で、当事者の生きづらさの表現や甘酸っぱい恋愛表現がはいっているなんとも現代に沿った話だ
普段、同性愛などの類を見ないおれでも惹き込まれるような作品で心に残っている
sh「その作品読んだことある?結構おもしろいんだよ」
rb「読もうと思ってたけど中々手が出せなくて読めてなかったんだよね、シャオロンもおすすめしてるし借りちゃおうかな」
sh「うん、でも同性愛の物語だから好き嫌い別れちゃうのかも」
rb「ううん、大丈夫だよこういうのに偏見ないし、小説で読むのも結構好きなんだ」
sh「それならよかったな、あぁ、あとこの本も結構おもしろくて……」
rb「あ、それ読んだことあるよ。表紙のインパクト凄いよね」
sh「見入っちゃうよね、これもどんでん返しの小説ですごい面白いんだよ」
蛍光色と闇に飲まれそうなほど黒い色のデザインでつい目に入ってしまうような表紙だ
rb「へぇ、これはミステリーかな?」
sh「それはね、ミステリーと恋愛が混じったやつかな…」
rb「シャオロンミステリーと恋愛すきだよねほらさっき返した本だってそうでしょ」
sh「めっちゃすき。リアルでそういう体験できないからこそ、してみたいなって言う憧れもあるしこういうの見てるときゅんきゅんするから……ぁ、なんかごめん。気持ち悪いよね」
引かれちゃうかも、と一瞬でも思ってしまうと冷や汗が止まらなくなって咄嗟に謝ってしまう
rb「もっと自分に自信もっていいのに、気持ち悪くないしシャオロンならきっといい人見つかるよ。あ、俺とか?」
不安定な心を柔らかいクッションでぎゅっと抱きしめられた感覚を全身で感じた
こうやって、誰にでも優しいのかな
少し後ろめたい気持ちが頭の隅をよぎった
sh「ふはは、確かにろぼろイケメンだからありかも」
rb「…こういう風にだれでも言っちゃだめだよ」
sh「……どういうこと?」
rb「ううん!なんでもない、もう下校時間だし帰ろっか」
sh「ぇ、あ、うん…」
また寂しいような顔をしてパッと元通りの笑顔に戻った
rb「シャオロンって俺と帰り道一緒だよね?もう暗いし一緒に帰ろうよ」
図書室の鍵を閉めると、ろぼろの片手には俺がおすすめした本二冊が握られていた
sh「うん!」
♡ 2300 きたら続きかきます
よろしくお願いします
コメントもよろしくお願いします
コメント
4件
はぁぁ大好きですぅ〜!!!2人とも可愛すぎて困る。
奥手気味なshaさんに話しかけていい?って聞いちゃうrbrさん大好きです…!!陽キャrbrさんが本沢山みてるってだけでもう萌 続き待ってます♪