テラーノベル
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空が紫色に変わる頃、学校を出ると、少し寂しい田んぼ道をぬけた
rb「シャオロンはゲームとかしないの」
sh「結構するよ!ヅマブラとか」
本を読むのを飽きた時にはよくゲームをしているのだ
rb「俺も結構してる!俺マリオ得意だよ」
少し興奮気味で言われると、俺も舞い上がってしまう
sh「俺ドンキーコング上手いよ」
rb「ふはは、ドンキーコングて、」
sh「…ほんとに気合うんだねすごい嬉しい」
ボソッとそんなことを言うとろぼろも嬉しそうな顔をしてくれた
rb「前世夫婦だったんじゃない?」
sh「ふ、なにそれ笑」
rb「shaがお嫁さんだったら生活めっちゃ楽しくなりそうだなぁ」
sha「…ろぼろのこと楽しくさせてあげられないよ」
rb「なんで、こんな優しいのに」
sh「だって……」
rb「しゃお、こっち向いて」
困惑する間もなく首の方向を変えられると、ろぼろの顔面が自分の顔にかぶさった
そのまま唇同士がぶつかる
sh「…ぁ、♡」
sh「な…なんでいま、キスしたの」
脳の処理も追いつけないまま自然と口からそんな言葉が漏れた
rb「えー、悩んでるしゃおが可愛いから~?」
おれのファーストキスを奪っておいてそんなすっとぼけたような反応をする
sh「ぁの、おれ…はじめてなんだけど、キス…」
rb「…かわいいよ」
sh「友だちってこんなことするの…」
少しテンションが上がって軽い足取りで進むろぼろにそう言った
rb「するよ?しゃおろんの初めての友達もおれだし、はじめてのキスもおれだし…うれしいなあ」
sh「…ろぼろのばか」
rb「っえ?ごめん…」
困惑して焦るろぼろのネクタイを引っ張って自分の顔の方に引き寄せると、さっきのろぼろみたいにキスをした
rb「… 」
sh「仕返し」
rb「そういうとこ、めっちゃすき」
sh「んふふ…」
なんだか少しだけ大人になれたような気がした
rb「毎日一緒に帰りたいし、毎日お昼ご飯一緒に食べたい」
sh「ろぼろはちゃんとした友達がいるんだから、その友達と遊びなよ」
こんな自分と曲線に立つろぼろのスター性には叶わないおれとは一切釣り合わないんだ
rb「シャオロンさ、勘違いしてない?」
sh「…え?」
rb「俺はシャオロンがいいの。ね、だからずっと一緒にいよ」
街灯の下でちょうど照らされたろぼろの顔が眩しかった
前みたいに胸がキュッと締まる感覚がわからなかった
sh「…ふはは、なにそれ告白みたい」
rb「たしかに…告白みたい」
こんなバカみたいなことで笑うのは今まで棒に振るって来た青春を満喫してるみたいで
すごくすごく楽しかった
住宅街を抜けたところで、一際目立つ豪邸でろぼろが立ち止まる
rb「じゃあ、俺ここだから」
sh「え、ここの豪邸なの…」
思わず飛び出した言葉がろぼろの足を止めた
rb「うん、あ、もう遅いしご飯食べてく?」
sh「…い、いいの?」
こんなこと誘われるのは初めてで、おろおろしていると、ろぼろは俺の手を引っ張って大きな玄関の中まで連行されてしまった
rb「いいの、シャオロンは特別だから」
…
sh「おじゃまします…」
見た目に反して豪邸の中は静まり返っていた
rb「あ、スリッパそこあるから履いていいよ」
綺麗に整列されたスリッパは御客さんが沢山来るように並べられているようだが、少しホコリを被っていた
sh「ろぼろ、お母さんとかはいないの?」
rb「居るんだけど出張だったり、仕事部屋に引きこもってるからね〜」
ろぼろはキッチンに立ってエプロンを着ると早速フライパンを準備して料理をし始めた
sh「そうなんだ…ぁ、俺も手伝うよ」
rb「まじ?じゃあ野菜切ってほしいんだけど」
sh「うん!任せて」
じぶんだけ何もしない訳にはいかないと自分から提案したが、正直包丁を持ったことは家庭科の調理実習の時間でしか経験したことがないのだ
まな板の上に置かれた人参を切ろうと、包丁を持った右手に力を込めた
すると、換気扇の下でおれを見守っていたろぼろが咄嗟に俺の背中にぴったりくっついて包丁を一緒に持ってくれた
sh「ぇ…あの、」
rb「シャオロン手怪我しそうで怖いから」
頭のすぐ近くで聴こえる声で心臓がおかしくなりそうなくらいに鼓動を打っている
温かい手が自分の冷たい手に重なって包丁を持った。トン、とひとつ切れると「上手」と囁いた
いけないことをしてるみたいで、ムズムズしてしまう
rb「……シャオロン耳真っ赤じゃん」
そう言われるとどこか突き刺されたように心臓がズキっとなる
sh「ぃゃ、そんなことないし…」
rb「照れてんの」
sh「……照れてない」
rb「…くっつくの恥ずかしい?」
sh「……ちょっとだけ、その…ムズムズする……」
絞り出したような自分でも小さく感じる声でそういった
rb「んふふ、かわいいね」
sh「……」
やっぱり、耳元で聴こえる声は何かを含んでいるようにみえた
rb「今日家に親居るの?」
リズム良くとん、とん、と切れる音がすると人参も綺麗にいちょう切りになっていた
sh「ううん、出張とかで忙しいからほぼ居ない」
rb「おんなじだね、寂しくなったらまたここおいでよ」
sh「いいの…?」
rb「ひとりでご飯食べるのは広すぎるんだよふたりで食べた方が寂しさ埋められるでしょ」
sh「うれしい…じゃあまた遊びに来るね」
rb「うん、また一緒にご飯食べよ」
人参は平等な全て大きさで切られていて、1寸の狂いもなく綺麗だった
そのあとも肉を炒めたり、また野菜を切ったりして料理が完成した
sh「ごめん、なんかおれのせいで時間かかっちゃったよね」
18時頃から調理し始めて時刻はもう20時にかかっていた
rb「人に教えるの結構楽しいんだ、だから気にしないで」
にこっと笑いかけるとまた箸をもって料理を食べ始めた
sh「…うん、ありがとね」
ろぼろくんを見て、おれも箸を持って料理を食べ始める
sh「ん、おいしい…!」
rb「でしょ!大成功だね」
…
sh「今日はありがとね、じゃあ……」
rb「家まで送ってくよ」
またね、と言いかけたところでろぼろがそう、一言
sh「大丈夫だよ、遅いし」
rb「しゃおろん女の子みたいだから狙われちゃうよ、そっちの方がだめだから」
ともだちなのにいつでも守られてる感じでその優しさもどこか安心した
ろぼろは靴箱から出したサンダルを履いておれと一緒に玄関を出る
sh「なんかごめんね、いつも守ってくれて」
rb「俺がそうしたいだけだから気にしないで」
sh「…ありがと」
守ってくれるところもすごくかっこよくて優しかった
sh「ほんとにそういうとこ男女にモテる理由だよね」
rb「…しゃおろんだけだよ、優しくしてるの」
少し寂しいような声でボソッと呟く
sh「なんでおれなの」
疑問に思いながらも少し嬉しかった
自分だけ贔屓されたことなんて人生で一回もなかったから
rb「だってしゃおろん、おんなじ男なのに可愛いんだもん」
そう言われた後に目をじっと見つめられるとなんだか恥ずかしくなって目を逸らした
sh「な、なにそれ…」
rb「そういうとこ、ほんとにずるいよ」
ほっぺをつねられて、ろぼろもまた恥ずかしがるような顔をした
sh「はぁ…?」
住宅街に入ったところで、ちょうど自分の家が見えた
sh「ぁ、あれおれの家」
ろぼろにもわかるように指を指す
rb「意外と近いじゃん、今度遊び行っちゃおうかな」
sh「んふふ、いつでも来ていいよ」
そう返すと、ろぼろはまたふっと笑った
rb「やっぱりおれたちだけだとのびのびできていいね」
sh「うん!また遊ぼうね」
ちょうど玄関の前に着くと、ろぼろから手を握られた
sh「え?どうした…」
言い終わる前に顔を引き寄せられた
チュ、とリップ音が鳴る
sh「ぁ、ま、また……」
rb「反応が可愛いからまたやってみたくてさ」
恥ずかしくて目をそらす俺とは正反対にろぼろは、にまにま笑う
sh「……バカ」
rb「ごめん、でもその反応嫌じゃなかったでしょ」
sh「……うん」
rb「…ふふ、良かった。じゃあまた明日!あ、明日はお弁当一緒に食べようね」
さっきまで頬を撫でられていた暖かい手がはなれるとなんだか寂しかった
sh「……ぁ、うん…!またあした……」
ぎこちない返事をすると、恥ずかしさでパンクしそうなおれは逃げるように玄関に入った
♡2000で続き!
↑こういうのやってみたかっただけ🙄
しゃおろんは人見知りであんまり人と深く関わったことがないから距離感も掴めないけどそんなしゃおろんをリードするイケメンすぎるロボロすごくいいですね
コメント
5件
この作品大好きです愛してます多分小説出せます
初コメ?失礼します! とてもほのぼのしてて尊いですしrbさんがshoさんを守る感じなどのスパダリ感があって最高すぎました!!
ちょ、むり…神作すぎて…しぬ…